建物は◯◯を模している?

建物は◯◯を模している?

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2024.10.08

3 min read

2023年3月に発売した『TRANSIT59号』では、ベンガル語話者が多く暮らす東インド・バングラデシュを特集しました。東インドとバングラデシュの人びとが育んできた、独自の芸術や工芸、食文化など、ベンガルの魅力をたくさん詰め込んだ一冊となりました。 さらにベンガル地方のこと知るべく、編集部は駐日バングラデシュ大使館を訪問することに。なかなか入ることのできない大使館の奥までお邪魔しました!

Text:TRANSIT

東京の千代田区紀尾井町。皇居・国会議事堂・官庁街といった日本の中枢機能が集中しているエリアに、バングラデシュ大使館はあります。 
 
地下鉄の永田町駅や麹町駅から歩いて数分。オフィス街をすり抜けてひとつ路地に入ると、何やらひと際目立つ白い建物が……。

バングラデシュ大使館に到着! 
 
こんな場所にあったんだという驚きと、建物の佇まいの美しさに、ダブルの衝撃が。なんでも建築の意匠は、「船の帆」をイメージしているのだそう。低地で川が多いバングラデシュは、地方によっては隣の村へ行くのに船が必要だったり、日常的に魚を食べる習慣があるので漁のために船が欠かせないということもあって、船が身近な存在なのだそう。船の帆を模したファサードに刻まれているのは、バングラデシュを代表する工芸・ノクシカタの刺繍の模様。シンプルでいて風通しのよい爽やかなデザインです。

バングラデシュの村でノクシカタをつくっている人たち。『TRANSIT59号』より

バングラデシュの村でノクシカタをつくっている人たち。『TRANSIT59号』より

© Takehiro Goto

さっそく館内へ。門を抜けてすぐ左側の通路には、バングラデシュの国花でもあるシャープラ(睡蓮)がお出迎え。通路の奥には、ビザやパスポートなどの交付を行っている領事部があります。日本人も、日本に暮らすバングラデシュ人も、バングラデシュへの渡航手続きをするときの窓口となるのがこの領事部。 
 
日本のパスポートでバングラデシュへ渡航する場合、目的(観光、就労、非営利活動)に合わせてビザが必要なのです。バングラデシュの空港でもアライバルビザを取得することができますが、日本の領事館で取得して準備しておいたほうがよいでしょう。

『TRANSIT59号』より

『TRANSIT59号』より

© Takehiro Goto

大使館の報道部の職員の方に案内されて、大使館内をまわることに。 まずはお祝いごとやセミナーや会議でも使われるホールへ。広々とした空間には、バングラデシュと日本の国交50周年をお祝いするフラッグや、バングラデシュの楽器、国家の父ボンゴボンドゥ・シェイク・ムジブル・ラーマンのバナーなどが飾られています。

館内には絨毯が敷き詰められたお部屋も。ここは礼拝室。自分のペースでお祈りすることができます。ちょうど取材に訪れた正午にも、職員のケータイからお祈りの時間を報せるアザーンが鳴っていました。ムスリムが多く暮らすバングラデシュならでは。

『TRANSIT59号』より

『TRANSIT59号』より

© Takehiro Goto

そして大使のお部屋へ。出迎えてくれたのは、シャハブッディン・アーメド駐日バングラデシュ大使閣下。2020年に着任、大使館の代表として日本との外交、経済協力、貿易・投資、人材交流、技術移転、教育、文化交流の強化に努めるなか、日本に居住、就労、留学、旅行するバングラデシュ国民のサポートはじめとした福祉支援を行っています。

大使の部屋には、現大統領のモハンマド・シャハブッディン氏(左)、現首相のシェイク・ハシナ氏(右)と、バングラデシュ独立の父でありハシナ首相の実父でもある国父ボンゴボンドゥ・シェイク・ムジブル・ラーマン氏(中)の写真が掲げられている。

大使の部屋には、現大統領のモハンマド・シャハブッディン氏(左)、現首相のシェイク・ハシナ氏(右)と、バングラデシュ独立の父でありハシナ首相の実父でもある国父ボンゴボンドゥ・シェイク・ムジブル・ラーマン氏(中)の写真が掲げられている。

いざインタビュー!とその前に、大使館にとっておきの場所があるとのことで、館内をさらに案内してくださることに。 
 
廊下ではベンガルタイガーに遭遇。現在は狩猟が禁止されているので、この剥製もかなり珍しいもの。大使にベンガルタイガーのことを尋ねると……。「本物を見たことがあるかって? バングラデシュで見たことありますよ。動物園の中でですけど(笑)」との返答。絶滅危惧種なので、現地でも滅多に見られないのだ。

シャヒナ・アクタル大使夫人も一緒に、外階段を登って屋上へ向かいます。 
 
何とそこには、野菜を栽培している空中菜園がありました! バングラデシュチリやカボチャ、トマト、ナス、ダタ(アスパラガスのようなバングラデシュの野菜)などを育てていて、ここで栽培した野菜を使って料理を振る舞うこともあるのだそう。

料理好きな大使夫人が、栽培する野菜を選定。屋上菜園には野菜が生き生きと実っていました。

次に案内してくださったのが、「バングラデシュハウス」と書かれたお部屋。蓮模様の大きな扉を開けると、自然光の入る広い応接間になっていて、バングラデシュと日本の調度品が並びます。その名前の通り、バングラデシュの邸宅に招かれたようで、華やかだけれどどこかアットホームな雰囲気。

「お茶でもいかがですか?」と大使夫人が誘ってくださり、長テーブルに着席すると、そこにはバングラデシュの軽食の用意が。「日本にも客人を大切に扱う文化がありますが、バングラデシュでもおもてなしの習慣があるんですよ」とアーメド大使。 
 
テーブルには大使館の料理人たちと、大使夫人お手製のバングラデシュ料理が並びます。おいしそうな食事を前に、取材を忘れてついついお皿によそい過ぎてしまいました。

左奥にあるのは牛肉とジャガイモのカレー。スパイスはたっぷり使っているけれど、編集部のために辛さ控えめに作ってくださってとってもおいしい。バングラデシュのパン、ポロタをディップしていただきます!相性抜群で食欲が掻き立てられます。 
 
大きなお皿の手前に見えるのがバングラデシュの天ぷら、ベグニ。カボチャ粉で揚げた、ナス、タマネギのベグニが、シンプルでとてもおいしい。バングラデシュの天ぷらは、真っ白の小麦粉ではなく、茶色いひよこ豆の粉を使って衣をつけます。クミンなどのスパイスも混ぜてマスタードオイルで揚げます。ほのかにスパイスの香りがして、食欲がさらにそそられます。 
 
右奥の小皿にあるのは、パエシェと呼ばれるスイーツ。アロマティックライスに牛乳と砂糖、カルダモン、シナモンで味つけ。やさしい甘みでほっとするおいしさです。 
 
カレーとパエシェは大使夫人の手料理。大使館にはお抱えシェフがいて、彼らの料理も絶品なのだけど、料理好きな大使夫人もときどきキッチンに入って一緒に料理をしているのだとか。野菜は日本で仕入れて、スパイスはバングラデシュで調達したものも使っているのだそう。

『TRANSIT59号』より

© Takehiro Goto

大使館を充分に満喫したところで、いよいよ後編はアーメド大使へのインタビュー。 バングラデッシュの歴史や、日本とバングラデシュの関係、未来のバングラデシュのことなど貴重なお話を伺いました。取材記事はこちらから!

Information

駐日バングラデシュ大使館

住所

東京都千代田区紀尾井町3-29

休み

土・日曜、主要なバングラデシュと日本の祝日

01

*2023年7月時点の情報です

BENGAL

East India / Bangladesh

TRANSIT59号
東インド・バングラデシュ
混沌と神秘のベンガルへ

2023

SPRING

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Masumi Ishida

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