チリ初の女性大統領が誕生した日!

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チリ初の女性大統領が誕生した日!

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2025.03.11

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3月11日は、ミシェル・バチェレがチリ初の女性大統領に就任した日!
 
チリの歴史における重要な転換点であり、軍事政権を乗り越え、民主的な選挙をへて誕生した彼女のリーダーシップは、多くの国民に希望をもたらしました。

ミシェル・バチェレは、1951年、チリの首都サンティアゴで生まれました。空軍将校の父をもち、バチェレ自身も幼い頃から公共サービスや政治に関心を抱きながら育ちます。
 
しかし、彼女の人生は順風満帆とはいえませんでした。
 
1973年、アウグスト・ピノチェト率いる軍事クーデターが発生し、民主的に選ばれたサルバドール・アジェンデ政権が倒されます。このクーデターにより、バチェレの家族も大きな影響を受けました。父親は軍事政権に反対したことで逮捕され、拷問の末に獄中死。バチェレ自身も母親と共に拘束され、国外追放されることとなります。

パレードを行うピノチェト(1982年)。

© Ben2

クーデター後のスタジアムの様子(1973年)。

© santiagonostalgico

亡命先の東ドイツでは医学を学びながら、社会貢献の道を模索しつづけたバチェレ。1980年代に入るとチリへ帰国し、医師として働くかたわら、軍事政権の抑圧に苦しむ市民を支援しました。やがて民主化の流れが進むなか、彼女は政治の世界へ足を踏み入れます。1990年代には保健省や国防省の要職を歴任し、とくに女性として初めて国防相を務めたことは、大きな注目を集めました。
 
そして、2006年の大統領選挙において、中道左派連合「コンセルタシオン」の候補として出馬し、見事に当選。チリ初の女性大統領として国内外から祝福され、女性の社会進出を象徴する歴史的な瞬間となりました。

ミシェル・バチェレと、アルゼンチン第55、56代大統領を務めたクリスティーナ・フェルナンデス。

© Presidencia de la Nación Argentina

バチェレ政権では、貧困対策や教育改革、ジェンダー平等の推進に力を注ぎました。また、年金制度の改革にも取り組み、社会的に弱い立場にある人びとへの支援を強化。こうした施策は多くの国民から支持を得た一方で、経済成長の鈍化や格差の拡大といった課題も浮かび上がりました。
 
2014年には再び大統領に就任し、教育の無償化や労働改革を推進。退任後は国際連合人権高等弁務官としての役割を担い、世界各地の人権問題に積極的に関わりつづけています。

© Alessandro

現在のチリは、かつての軍事政権の影を乗り越え、民主主義の道を歩んでいます。
 
世界的に多様性を重視する動きが加速するなか、2021年には史上初めて左派系のガブリエル・ボリッチ氏が大統領に就任。世代交代が目覚ましい一方で、格差や社会的不平等といった課題は依然として根深く、多くの市民がより公正な社会の実現を求めつづけています。
 
バチェレが示したのは、逆境にあっても信念を貫くことの重要性でした。彼女が築いた政治の流れは、今後もチリの未来に大きな影響を与えつづけることでしょう。

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Yayoi Arimoto

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