つかず離れずの距離感をキープ。
2024年はノルマンディー上陸の80周年として、米仏関係では節目の年。自由の女神像はフランスからのプレゼントというのは有名な話で、核保有国、第二次世界大戦戦勝国として両国の関係は深いが、バイデン政権下では豪が仏から購入するはずだった潜水艦の契約の破棄をめぐり駐米フランス大使を帰任させる事態に発展した。さらに2024年米大統領選の結果も米仏関係に大きく影響しそうだ。
「同盟すれども、同調せず」。自律外交をモットーにし、どの陣営にもつかず離れずの上手な距離感を保ちつづけているフランス。多くの国と仲よくしているフランスだけど、そのホンネとリアルな関係性は......!?
Text:Yuta Yagishita
対アメリカ🇺🇸
2024年はノルマンディー上陸の80周年として、米仏関係では節目の年。自由の女神像はフランスからのプレゼントというのは有名な話で、核保有国、第二次世界大戦戦勝国として両国の関係は深いが、バイデン政権下では豪が仏から購入するはずだった潜水艦の契約の破棄をめぐり駐米フランス大使を帰任させる事態に発展した。さらに2024年米大統領選の結果も米仏関係に大きく影響しそうだ。
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対イギリス🇬🇧
歴史的にライバルとされ、お互いにどこかそう思っている節もある両国。ブレグジットにはじまり、ノルマンディー沖の漁業権を争い、英仏海峡の移民問題などで英仏関係は悪化、結果2018年から5年間一度も首脳会談が開かれないという異例の事態に。もっともスナク首相就任以降はチャールズ3世が国賓としてフランスに招かれ、首脳会談も再開するなど関係は改善傾向にある。
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対ウクライナ🇺🇦
プーチン大統領のロシアをヨーロッパの安全保障の脅威と考えるフランスは、戦争開始以来一貫してウクライナ側にまわり、11万人超の難民の受け入れ、合計で6000億円超の武器支援、ロシアへの経済制裁などを通して支持してきた。長期化する戦況に、マクロン大統領が戦地への西側の軍隊の派遣も「排除しない」と2月に発言したことで他国と軋轢を生む事態にもなっている。
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対中国🇨🇳
ちょうど60年前、フランスは1964年に西側の主要国としてかなり早く中国と国交を樹立した。中国は現在とくに経済面でフランスにとって欠かせないパートナーだが、対中貿易赤字は500億ユーロと膨大な額に。台湾情勢が緊迫するなか、NATOやEUは中国に対し厳しい姿勢を強めるが、フランスは中国を気候変動問題、ウクライナ戦争などでの重要なカウンターパートと考え、柔軟に対応する傾向がある。
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対EU🇪🇺
EU設立国のひとつであるフランス。互いにあらゆる面でなくてはならない存在となっているが、決してフランス人全体がEUを好意的に見ているわけではなく、非正規移民が増える、新自由主義傾向が強すぎるなどの理由で批判も存在する。2024年6月の欧州議会選挙は緊迫する世界情勢や、11月の米大統領選を控えて重要になるが、世論調査ではEUに批判的な極右の国民連合がトップに立っている。
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対アルジェリア🇩🇿
フランスの旧植民地で、1848~1962年まで県としてフランスの一部扱いだった。テロや独立派の虐殺、拷問などを伴ったアルジェリア戦争(1954-1962)はフランスにとって現在もトラウマだ。アルジェリアルーツの移民2世の数が120万人に達するなど、その関係は深く経済的な結びつきも強いが、政治面では近年アルジェリアにおけるフランス語の地位、ビザ発給問題などをめぐり、不穏な雰囲気も。
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対ドイツ🇩🇪
第一次・二次世界大戦の主要敵国だが、現在はEUの主要メンバーとして、独仏の関係は欧州の鍵を握る重要な関係とみなされており、両国が共同出資する公共テレビ局アルテが存在するほど。経済的にもフランスの最重要パートナーであり、協調が既定路線だが、最近はウクライナ戦争の対応をめぐって積極派のマクロン大統領と慎重派のショルツ首相がぎくしゃくする場面も。
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対日本🇯🇵
日仏関係は1858年の日仏修好通商条約まで遡り、軍事・文化・経済面で両国は影響し合いつつ発展を遂げてきた。近年のフランス内での漫画・アニメブームも良好だった関係を盛り上げている。太平洋にも領土を有する仏は、安全保障面でも日本と連携拡大を図っており、2024年5月の日仏首脳会談では自衛隊と仏軍の連携を容易にする「円滑化協定」締結に向けての交渉を始めることが決定された。
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対イスラエル🇮🇱
第二次世界大戦中、ペタン政権下でユダヤ人の強制移送にかかわったことはフランスにとって歴史的なトラウマの一つ。フランスはイスラエルを国家として最初に承認した国の一つでもあるが、イスラエル・ガザ問題では公式には二国家解決を支持している。今回の戦争でもマクロン大統領は休戦を呼びかけるものの正面切ってイスラエルを批判するところまではいかず、煮え切らない状況がつづく。
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