〈いいちこ〉の原点と
新たな挑戦をめぐる旅
大分から世界へ届ける
「iichiko彩天」

〈いいちこ〉の原点と
新たな挑戦をめぐる旅
大分から世界へ届ける
「iichiko彩天」

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2025.12.24

7 min read

大分は、古来より山々に抱かれ、神と仏が共存する独自の精神文化を育んできた場所。 古くから祈りが折り重なったこの土地で、〈いいちこ〉の新しい物語が始まる。

Photo : Kanta Ishikawa

Text:Shiho Temporin(TRANSIT)

大分県生まれの本格麦焼酎〈いいちこ〉。豊かな水の恵みと発酵文化、焼酎造りを誇る大分だけれど、なぜいいちこのようなお酒が生まれてきたのか。そのルーツと新しい挑戦にふれようと、大分県の日田と宇佐・国東半島を訪れた。

大分の水と発酵文化が育てた〈いいちこ〉

いいちこを製造している三和酒類株式会社は、1958年、大分県宇佐市に三軒の造り酒屋(翌年四軒となる)の共同瓶詰場として誕生した。宇佐市は、市の中央部を流れる駅館(やっかん)川とその支流により水が豊かで、古くから米・麦・大豆もなんでも獲れる裕福な場所だったという。そのため、三和酒類も、大分の水の恵みや発酵文化に影響を受けながら酒造りをしてきた。

山紫水明の地として知られる日田市にある「いいちこ日田蒸留所」を訪ねてみると、外気にまでほんのり漂う麦と麹の香りが出迎えてくれた。蒸留所に所狭しと並ぶタンクに近づくと、泡がぷくぷくと湧き上がり、ここでまさに発酵が起きていると確かに感じることができる。ここで10日間かけて発酵させた麦と麹が、やがて皆に愛されるいいちこになるのだ。

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〈いいちこ〉生誕の地、神秘の国東半島

つづいて訪れたのが、大分県北部にある国東(くにさき)半島。いいちこが生まれた宇佐市は国東半島の付け根に位置している。ちなみに、いいちこというのは、大分県北部の方言で「いいですよ」という意味もある。
国東半島に一歩足を踏み入れると、まず空気が違うと感じる。山々が幾重にも重なる土地独特の静けさからだろうか。ゆっくりと時が流れているように感じさせる風景は、人の意識を落ち着かせ、ここが特別な風土であることを知らせてくれる。

国東半島がもつ静けさの奥には、古くから受け継がれる精神文化がある。奈良時代、仁聞(にんもん)菩薩が国東半島一帯の6つの郷を中心に寺院を開いたことで、古来の山岳信仰に天台・密教・修験の思想が交わり、やがて神仏が共存する「六郷満山(ろくごうまんざん)」の文化が開花。
 
この国東半島の険しい山々に点在する寺院や神社は、自然への畏敬を抱きながら、外からの思想や宗教を柔軟に取り込む、独自の精神文化を育んできた。いまでも実際に歩ける修験の道が残っていたり、山中の岩に仏や菩薩を掘った磨崖仏(まがいぶつ)があったり、畏れの対象であることも多い”鬼”が幸せを運んでくる存在として国東のお寺に祀られていたりと、 そこかしこに古からつづく祈りの気配を感じる。

宇佐神宮への祈りと〈いいちこ〉の挑戦

そんな大分県の精神文化の中心のひとつに位置づけられるのが宇佐神宮だ。宇佐神宮は、全国約11万の神社のうち4万600社余りを占める八幡さまの総本宮で、神亀2年(西暦725年)に創建された歴史ある神社。ここでは、自然・信仰・人の営みが対立せず、緩やかに混じり合いながら続いてきた。

宇佐神宮の歴史は、571年に、応神天皇のご神霊である八幡大神さまが宇佐の地にご示顕になったことから始まる。その後、奈良時代に、南九州の人びと(当時、隼人と呼ばれる)が律令国家の建設に抵抗して起こした、隼人の反乱で、殺生の罪を悔いた八幡大神さまが、仏教に救いを求めたことから、宇佐での神と仏が習合した先進的な思想が成立した。宇佐神宮には、現在もこの神仏習合文化が脈々と受け継がれており、古くから人びとが祈りを託している。
宇佐神宮のお膝元にある三和酒類も、祈りを捧げてきた。かつて、いいちこの命名披露を行ったのもこの宇佐神宮だ。そして、三和酒類は今新たな挑戦へと向かっている。その挑戦への想いをかけたのも、ここ宇佐神宮。その特別なひとときにも立ち会わせてもらった。

和のスピリッツとしての挑戦 — iichiko彩天

この日、宇佐神宮の本殿に掲げられたのが「iichiko彩天」。三和酒類の新しい挑戦が込められた和のスピリッツだ。「日本の焼酎を世界基準のスピリッツに」という新しい価値の創出を目指し、焼酎の固定観念を壊した、驚きを与えてくれるお酒だ。

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宇佐神宮にて、「iichiko彩天」の祈願奉納、そしてカクテル奉納が行われた

日本から世界へ挑戦するにあたって、三和酒類が着目したのは日本と海外での飲酒文化の違い。日本では、醸造酒(原料を酵母で発酵させて造るお酒)・蒸留酒(発酵させた醸造酒をさらに加熱・蒸留してアルコール分を濃縮したお酒)が飲まれる場面は、同じことが多い。たとえば、バーでも、ご飯処でも、家で飲むシーンも、醸造酒と蒸留酒が隣同士で並ぶことがある。しかし海外では、焼酎が分類される蒸留酒は、バーで飲まれることが多い。そのため、iichiko彩天は、海外の嗜好性に合わせ、バーで飲まれるお酒を目指し、米国のトップバーテンダーとの共同開発により誕生した。
 
まずほかと違うのが、麹由来のうまみ。従来の麦焼酎は大麦と大麦麹を組み合わせて発酵させるが、iichiko彩天は大麦麹100%の全麹仕込みのため、麹由来のうまみをたっぷり楽しめる。そしてもう一つのこだわりが、カクテルの香味。原料の風味が活きる蒸留方法(常圧蒸留)を主に採用し、アルコール度数を43%としたことで、カクテルにしても負けない香味が残り、個性的な味わいとなっている。
 
そのため、これまで「割る」文化で飲まれることが多かった焼酎だが、このiichiko彩天で試してみてほしいのは「掛け合わせて」飲む楽しみ。宇佐神宮での祈願奉納では、iichiko彩天・コアントロー・フレッシュレモンジュースを掛け合わせた「白麹麗人」(ホワイト麹レディ)をはじめ、それぞれ味わいの異なる3種のカクテルが振舞われた。

もちろん、親しみやすい割りものもいい。iichiko彩天の開発担当者のおすすめの飲み方は、トニック割、コーヒー割、パイナップルジュース割、炭酸割にレモン、そしてなんと、炭酸割に少し醤油を垂らすのもおいしいのだとか。
 
いいちこが生まれた国東半島は、九州のなかでも瀬戸内海へせり出して、常に海の向こう側を見つめてきた、まさに「くにのさき」だった場所。この日本の先端から世界へと挑む三和酒類。カクテル一杯の向こう側にある風土や文化、その重なりを思いながら、自由にiichiko彩天を味わってみてほしい。

Information

【iichiko彩天】

希望小売価格 3,080円(税込)

アルコール度数 43%

問:三和酒類株式会社

 

iichiko彩天はこちらから

https://www.wa-spirits.com/ja

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Photo by

Yayoi Arimoto

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