特集:月刊TRANSIT

Another TAIWAN Story
もうひとつの台湾特集

2024.01.18

60 min read

1カ月間、東京から台北へ拠点を移して滞在制作した「TRANSIT66台湾」。
校了を終えた後も、編集部員の台湾愛が止まらない!
というわけで、「もうひとつの台湾特集」をTRANSIT.jpにて公開。
本誌と合わせて、まなぶ、みる、きく、旅する、くらす……の動詞別で、台湾をたっぷり楽しんでください!

Photo : Kris Kang

台湾×まなぶ編
台湾を知るための10のQ&A

月刊TRANSIT/もうひとつの台湾特集

台湾×まなぶ編
台湾を知るための10のQ&A

LEARN

2024.01.18

7 min read

動詞別で台湾を読み深める「もうひとつの台湾特集」の「まなぶ編」!

ここででは、台湾にまつわるQ&Aを用意しました。毎年多くの人が訪れる、もっとも身近な国の一つであるはずの台湾。しかし、お隣さんだからこそ知った気になっていることも多いのでは?以下の10の質問のうち、いくつ正解できるか試してみて。

Text:TRANSIT

A1 台湾の正式名称は……

 中華民国

台湾の近現代史を振り返ると、オランダ統治時代、鄭成功の政権時代、清朝の統治時代があり、日清戦争後の1895年から第二次世界大戦が終わる1945年までは日本が台湾を統治していた過去がある。
 
第二次世界大戦後、台湾は中華民国の領土になるが、中国で内戦が勃発。蔣介石率いる中国国民党(中華民国)と毛沢東率いる中国共産党(中華人民共和国)が中国大陸で争うこととなる。その結果、内戦に敗れた蒋介石は1949年に台湾に拠点を移し、中国国民党は台湾で「中華民国」を継続するかたちをとった。
 
ちなみに、日本は台湾を未承認国家としていて、正式には国家として認めていない。背景には、1972年に中華人民共和国と日本が国交を正常化する際、中国側の要求で日本は台湾との政治・外交関係を断つこととなった経緯がある。

© CEphoto, Uwe Aranas

A2 台湾の公用語は……

台湾華語

台湾の公用語は「台湾華語」で、中国の北京語に近い。だが、中国語とは発音や単語が違っていたり、文字表記には「繁体字」を使用していたり(中国は簡体字)、発音記号のような漢字由来の台湾独自の文字「ボポモフォ」を使うなど、中国大陸の標準語とは異なる要素もあって「國語」とも呼ばれる。ほかに福建の閩南語に似た「台湾語」や、客家の人が使う「客家語」、「アミ語」をはじめとする原住民族語などもある。

© Raki_Man

A3 台湾に居住していない民族は……

アカ

台湾で公式に認められている原住民族は16で、アミ(約20万人)やタイヤル(約10万人)が代表的。ちなみにアカは主にタイの北部からラオス、ミャンマー、中国雲南省にかけて暮らす少数民族。

© Stanislav Kozlovskiy

A4 台湾の面積に近い日本の地域は……

 九州

メインの台湾島は九州ほどの面積の小さな島だが、澎湖(ポンフー)諸島や緑島(リュウダオ)、金門島など、中華民国が実効支配する島は86に及び、すべてを合わせた面積は3万6,197 ㎢。

台湾島の西方約50kmに浮かぶ澎湖諸島。

© Kris Kang

A5 台湾の人口と近しい都市は……

 ダッカ(2,393万人)

台湾全土における2024年1月時点の人口は約2,342万人で、バングラデシュの首都ダッカの人口と近しい数字に。日本と比べると、1番人口の多い東京都の約1,400万人と、2番目に多い神奈川県の920万人を合わせた数に近い。
 
※出典:国際連合人口部 https://www.un.org/development/desa/pd/

© Lindsay Bernsten

A6 台湾でもっとも高い玉山の標高は……

3,952m

台湾島は3分の2が森林に覆われ、中央部には3,000m級の山々を擁する山脈が走る。その最高峰は、標高3,776mを誇る日本の富士山よりも高い、標高3,952mの玉山(ユイシャン)だ。

最高峰である玉山の峰 。

© bactizzy

A7 台湾でもっとも信仰されている神様は……

媽祖

諸説あるが、台湾の半数近くの人びとが何らかの神を信仰しているといわれ、「媽祖(まそ)」と呼ばれる「天上聖母」への信仰はとくに篤い。毎年3~4月にかけて行われる「迎(迓)媽祖」は、台湾でもっともにぎやかな伝統の祭り。

© Zairon、鎮邦

A8 台湾でもっとも従事者が多い産業は……

製造業

もっとも従事者が多いのは製造業で、全体の31.7%を占める。次いで卸小売が16.8%、不動産が7.9%とつづく。農業の従事者は全体の2%以下で、観光業はそれ以下の数字。

© 鎮邦

A9 台湾のユニークな教育法として知られている義務教育制度は……

昼食後の20〜30分の昼寝

義務教育は6~15歳の9年間で、さらに18歳までの3年間を加えた12年を国民基本教育期間としている。効率UPのため、昼食後は机に突っ伏して20~30分ほど睡眠をとるのが通例。テストや宿題や生徒の学力のランクづけが禁止されているのは、デンマークの小中学校。学習内容をゲーム化するゲーミフィケーション教育が取り入れられているのはフィンランド。

談笑しながら歩く学生たち。

© Dquai

A10 台湾においてアジアで初めて合法化された制度は……

同性婚

2019年5月、台湾においてアジアで初めて同性婚の合法化が実現された。その後、何度か改正がなされ、現在では台湾の人は国籍を問わず、すべての国の人と同性婚が可能に。2024年現在の同性婚の成婚数は1万組を超える。

© Vian Chen

台湾×みる編
旅熱をあったためる台湾映画

月刊TRANSIT/もうひとつの台湾特集

台湾×みる編
旅熱をあったためる台湾映画

WATCH

2024.01.18

6 min read

動詞別で台湾を読み深める「もうひとつの台湾特集」の「みる編」!

ここでは、台湾旅を計画中の人も台湾帰りの人にも観てほしい、台湾熱をあっためてくれる映画を編集部員が選びました。新作から台湾ニューシネマを代表する巨匠の作品まで、台湾の熱気を届けてくれる名作揃いです。

© 2023 Bole Film Co., Ltd. ASOBI Production Co., Ltd. All Rights Reserved

『本日公休』

本日公休/Day Off
*一部ネタバレを含みます。
 
舞台は、台中にある昔ながらの理髪店。店主のアールイさんは、40年もこの店を切り盛りしている。女手一つで3人の子どもを育てあげ、赤ちゃんの初散髪、思春期真っ只中の高校生、先立ってしまった妻が天国でも気づけるようにと白髪染めを頼んだ男性など、ずっと地域の人びとの人生に寄り添ってきた。ある日、常連だった“先生”が病に倒れたことを知ったアールイさんは、店に「本日公休」の札を掲げ、愛車に乗って遠方の先生の元へと向かうーー。
 
病床に臥した先生に施す散髪シーンは涙なしには見られない。意識のない本人も、見守る家族にとっても、弱った身体を清潔に整えてもらうことがどんなにありがたいことかわかるから。アールイさんにとっても、長年通ってくれた先生へのお別れと感謝の時間だったのだろう。人は誰しも老いていく。健康に仕事をつづけられること、家族や友人がいることのありがたみを忘れてはいけないよ、と言われたようだ。
 
フー・ティエンユー監督の実家で撮影したというこちらの理髪店。レトロでかわいいだけでなく、掃除が行き届いた店内に、仕事への真摯な姿勢と誇りが表れている。アールイさんが田園をかっとばすドライブシーンもまたすばらしい。(編集S)

 
全国順次公開中
監督:フー・ティエンユー/製作:2023年/配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ

『ひとつの太陽』

陽光普照/A Sun
 
自動車教習所の教官である父、ナイトクラブで美容師として働く母、医大を目指す優秀な長男、素行不良の次男。次男が事件を起こして少年院に入ったことで家族のほころびがじわじわと広がっていく。家族のかたちが変化しながらも、どうにか再生しようともがく人たちの物語。
 
時間としては一瞬の、父と長男、父と次男、それぞれの会話が印象的。親も子も、家族を守るために間違った選択をしてしまうところが切ない。この世で唯一太陽だけが平等、という言葉に長男がどのような思いを抱いていたのかは語られないけれど、影としてしか生きてこられなかった次男が、過去から逃げずに精算しようとするまなざしには希望があった。台北の濃い青空、豪雨、路地、動物園、山。コンビニや自動車洗浄場の人工的な光。その対比、陰影がどれも美しい。(編集S)

 
監督:チョン・モンホン/製作:2019年 *Netflix映画『ひとつの太陽』独占配信中

© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.

『愛情萬歳』

愛情萬歲/Vive L’Amour
 
見知らぬ3人がそれぞれ台北のアパートで過ごす。大都会でつながることの孤独と困難を描いたこの映画は、1980年代の台北の急成長と、そのスピードについていくことの難しさをよく表している。美しく撮影されているが、ツァイ・ミンリャン監督作品のほとんどがそうであるように、セリフが本当に少ないので、アートハウス映画に慣れていない方にはハードルが高いかもしれないけど、ぜひ観てほしい。(編集J)
 
監督:ツァイ・ミンリャン/製作:1994年

© 2015 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.

『青春神話』

青少年哪吒/Rebels of the Neon God
 

土砂降りのなかで公衆電話から小銭を盗み取る青年たち、ゴキブリをコンパスの針で突き刺す予備校生、ローラースケートリンクで働く女の子。それぞれに別の日常を送る若者たちが、台北の街角でひととき出合う。部屋が浸水してきたり、男女3人でホテルに入っていったり、不良の青年たちを追って閉店後のゲームセンターに侵入したり……次に何が起こるかわからない、映画の登場人物たちもわかっていないんじゃないかという予測不可能な疾走感がいい。ツァイ・ミンリャン監督のデビュー作。(編集T)
 
監督:ツァイ・ミンリャン/製作:1992年

© 2014 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.

『恋恋風塵』

戀戀風塵/Dust in the wind
*一部ネタバレを含みます。
 
主人公は、貧しい鉱山の村で育った幼なじみの少年アワン、少女アフン。それぞれ中学を卒業すると台北へ働きに出て、アワンは印刷工から運送業、アフンは洋裁店でお針子として互いに助け合いながら、言葉にはせずとも将来を意識していた。アワンが徴兵されてからも、アフンはアワンに頻繁に手紙を送っていたのだがーー。
 
広東省で生まれ1歳で台湾に移住し、いくつかの地方都市で育ったホウ・シャオシェン監督。彼の自伝的作品「青春4部作」の最後に位置づけられる本作は、さまざまな緑色のグラデーションがノスタルジックに輝いている。1960年代後半を舞台に、故郷のロケ地となった十份と九份、都会の台北、アワンが兵役で行った金門島など、美しい昔の台湾の姿に魅せられる。兵役によって終わってしまった恋と青春が物悲しい。(編集S)
 
監督:ホウ・シャオシェン/製作:1987年

© 1+2 Seisaku Iinkai

『ヤンヤン夏の想い出』

YIYI/a one & a two…
*一部ネタバレを含みます。
 
台北の中流家庭に焦点を当てたエドワード・ヤン監督の遺作となった作品。結婚式で始まり、葬式で終わるこの映画は、家族の日常を彩るさまざまな出来事を描いている。主人公は人の背中を写真に撮っている小学生の男の子ヤンヤン。ヤンヤンが家族の前で、祖母に向けたお別れの作文を読むラストシーンは、涙をこらえきれない。(編集J)

 
監督:エドワード・ヤン/製作:2000年

『エドワード・ヤンの恋愛時代』

獨立時代/A Confucian Confusion
 

邦題は「恋愛時代」で、原題は「獨立時代」。たしかに恋愛も描かれているけれど(三角関係が多発)、どちらかというと恋愛の甘さより苦さが残るし、キャリアウーマンで自由気ままなモーリーとその会社で働く優秀で健気なチチがとにかくかわいくて、2人の友情の行く先も気になっていく。恋人、友人、仕事……結局何をみんな選ぶのか。
 
最後のほうで、チチとタクシー運転手を前に、登場人物のひとりの作家が独り言をはじめるのだけど、そこで作家がこの世の真理がわかったというようなことを言っていて、その言葉にハッとさせられたはずなのに一瞬で通り過ぎていってしまってなんと言っていたか覚えていない。また観ないと……。でも、その掴みきれない感じも含めてとてもリアル。状況は悲惨だけれど、シニカル&コミカルで、暗くはない会話劇。モダンな台北が映っていて、ウディ・アレンが描くNYみたい!と思って観ていたけど、実際、エドワード・ヤン監督はウディ・アレンが好きなのだそう。(編集T)

 
監督:エドワード・ヤン/製作:1994年

<p>DVD:4,400円(税込)<br />
Blu-ray:5,500円(税込)<br />
発売元:ビターズ・エンド<br />
販売元:ハピネット・メディアマーケティング<br />
© Kailidoscope Picture</p>

4Kレストア版 DVD&Blu-ray発売中

DVD:4,400円(税込)
Blu-ray:5,500円(税込)
発売元:ビターズ・エンド
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
© Kailidoscope Picture

『牯嶺街少年殺人事件』

牯嶺街少年殺人事件/A Brighter Summer Day

 
1961年に台北で実際に起きた、14歳の少年がガールフレンドを殺害した事件に着想を得た作品。青春時代ならではのストーリーはもちろん、当時の外省人(第二次世界大戦後に中国大陸から台湾に移住した人びと)の立場など、当時の複雑な社会の様相が、牯嶺街(クーリンチェ)を舞台に描かれています。(編集O)
 

監督:エドワード・ヤン/製作:2017年

<p>Blu-ray:7,480円(税込)<br />
DVD:6,380円(税込)<br />
発売元:ハピネットファントム・スタジオ<br />
販売元:ハピネット・メディアマーケティング<br />
©1991 Kailidoscope</p>

Blu-ray&DVD発売中

Blu-ray:7,480円(税込)
DVD:6,380円(税込)
発売元:ハピネットファントム・スタジオ
販売元:ハピネット・メディアマーケティング
©1991 Kailidoscope

© 3H productions ltd. All Rights Reserved

『台北ストーリー』

青梅竹馬/Taipei Story

 
どんより曇り空の台北の下で、想いが叶わずみんな少しずつ不機嫌で、それが生々しくてもの凄く生きているって感じがする。車が行き交ってなかなか道路を渡れない女。フジカラーのネオンサイン。照明の消えたクラブでライターを灯して踊る若者たち……どのシーンも瞬きできないくらいよくて、ストーリーがなくても台北を生きる人たちの光景だけで成立してしまう。夜の街や明度の低い室内の場面が多くて、映画館で観ていると台北の湿度の高い闇に包まれているようで心地よい。そこに時折差し込む電飾の眩しさが、台北の街に立っているような気分になる。監督はエドワード・ヤン、主演と共同脚本にホウ・シャオシェンという、台湾ニューシネマの豪華キャスト。(編集T)

 
監督:エドワード・ヤン/製作:1985年

台湾×旅する編
旅の予算はどれくらい?
気になる台湾の物価のこと

月刊TRANSIT/もうひとつの台湾特集

台湾×旅する編
旅の予算はどれくらい?
気になる台湾の物価のこと

TRAVEL

2024.01.18

10 min read

動詞別で台湾を読み深める「もうひとつの台湾特集」の「旅する編」!

いったい旅の予算はいくら必要? 異国を旅するにあたって、やはり気になるのは現地の物価のこと。とある編集者の旅日記から「旅の初日」「デスクワークの1日」「地方を訪れた週末」を抜粋して、気になる台湾旅の予算についてお届けします。

台湾到着、旅の初日!

▶入国〜両替〜市内へ移動

2024年10月某日、台北へと降り立つ。東京・羽田空港からエバー航空の直行便で約4時間。往復航空券がエコノミーで5万円ほど。桃園空港着の便もあったけど、台北市内の宿に近い松山空港着を選択。ちなみに観光などの目的で台湾に90日以内滞在する場合はビザが不要なため、さながら国内旅行のように気軽だ(なお中国ではビザ免除の滞在は30日以内)。
 
空港内の両替所でとりあえず1万円を両替。手数料などを鑑みると、1台湾元≒4.9円!(ネットで検索した2020年の為替レートは1台湾元=3.6円だったのに……)円安に落胆しつつ、以後、1台湾元を5円で計算することにする。暗算しやすくていい。
 
松山空港からTRANSIT宿舎がある象山エリアまではバスを乗り継いで行くこともできるけど、荷物が多いので車で宿まで直行したい。ここはUberかタクシーか。Uberでクレジットカード払いもできたけど、まだ海外SIMが手元になくて空港を一歩出たときのネット接続が不安だったので、タクシーを選択。目的地まで、6kmほど約20分乗車して280元。タクシーは日本よりも割安な印象。支払いはクレジットカード不可、キャッシュレス決済も不可で、現金払いのみ。

▶交通系ICカード&SIMカードをGet

宿に荷物を下ろし、まずはケータイ用のSIMカードを購入するためにコンビニへ。〈ファミリーマート〉と〈セブンイレブン〉は、通りを見渡して1軒くらいはある印象でコンビニ探しには苦労しない。つまり急な日用品の調達も問題なし。しかし肝心のSIMカードが売られていない。
 
というわけでコンビニで、交通系ICカードの「悠遊カード(EasyCard)」を購入。この「悠遊カード」は、日本のPASMOやSuicaのようにお金をチャージして、地下鉄やバスなどの公共交通機関、自販機やコンビニの買い物でも使えるので、1枚持っておくと便利。ノーマルなカードなら100元だが、凝ったイラストタイプや、セーラームーンやドラゴンボールなどのキャラクターものまで、絵柄が豊富。せっかくなので、スヌーピーのキーホルダータイプ(250元)を選択。ちなみに「悠遊カード」そのものはクレジットカードで購入できたけど、チャージは現金しかできなかった。コンビニで200元分をチャージしておく。
 
SIMカードを求めて、散歩がてら市街地にある大手通信会社「中華電信」の店舗へ向かう。そこで待っていたのは長蛇の列。自分の番号が呼ばれるまでに、1時間半以上を要した。SIMカードは空港や日本で購入すべし(あるいはeSIM対応の機種に)。
日数別の定額プラン(4G対応GB無制限の3日間で300元、7日間で500元など)もあったけど、滞在に必要な15日間モデルが700元ということで、迷って(ケチって)使用量に応じて金額が異なる4G対応3GBで400元のプランを選択。というのも、台北では、台北市政府が提供しているフリーWi-Fiサービス「Taipei Free WiFi」が使える場所も多く、各コンビニでも無料Wi-Fiサービスが使えるからだ。ちなみにこの通信会社の店舗でも、現金でしか支払いができなかった。台湾は現金社会だということを改めて知る。

▶本格的に台湾滞在がスタート!

ケータイも通常運転となったところで、腹ごしらえに宿の近所の〈美而美〉で軽食をとる。蛋餅(ダンピン)やトースト、パスタなど朝食メニューが手書きのお品書きにずらりと並ぶ味な店だ。もっともシンプルな「原味蛋餅」30元、「高山茶・中」30元を選ぶ。
 
その後、旅の日記を書くため書店兼文房具店へ。日本の文具メーカーのものも多かったが、店員さんに「Made in Taiwanはどれ?」と聞いてノート2冊とペン2本を購入、計150元。
 
夜、地下鉄MRT淡水信義線で象山駅から東門駅へ移動、片道20元。バッグに引っ掛けた「悠遊カード」で改札もビッと、ローカル気分で通り抜ける。運賃は距離や路線によって変わる。たとえば象山駅から港町の淡水駅までは、淡水信義線で直通60元で行ける!
 
ローカルが集う永康街の客家料理店〈家家客家菜館〉で編集部メンバー4人が集い、夕食をともにする。メインの蒸し鶏料理、筍の煮物や牛肉の甘辛炒めなどの副菜4品に魚のスープ、ビール瓶を2〜3本注文。舌もお腹も大満足。割り勘して1人540元。コンビニで水と缶ビール、ヨーグルトを購入して宿舎に帰る。日本のビールやお菓子は割高だけど、台湾産のものはだいたい日本と同じくらいの価格だ。

05

01/紛失しないようにキーホルダータイプの「悠遊カード」を選択。
02/台湾産の文房具。これに旅日記を綴ります。
03/象山の近隣のマンション、35坪(約118平米)で3530万元也。不動産店、ついチェックしてしまう。
04/怒涛のメニューに目が眩む。Googleレンズで翻訳して注文。
05/客家料理店での食事。複数人いるといろいろと注文できてうれしい。

▷旅の初日の明細書

タクシー代(空港〜象山)…… 280元
「悠遊カード」+チャージ代……450元
SIMカード代(4G/3GB)……400元
軽食代……60元
文房具代……150元
夕食代……540元
水(2L×2本)……50元
缶ビール(350ml×2本)……70元
ヨーグルト……35元
計2035元

※航空券代は含まず。地下鉄代(象山〜東門往復40元)はチャージ代に含む

台北でデスクワークの1日!

▶市場で朝食を調達&プールで朝活

今日は取材がないので、台北で丸一日デスクワークをする。
朝、散歩がてら永春駅前にある昔ながらの〈虎林市場〉へ歩いてみる。店の軒先や露天で、青果やお惣菜、乾物や魚介などが売られている様子にワクワク。目移りしつつも、パパイヤ1個35元と、油条入りの紫米おにぎり1つ30元をGet。宿舎に戻ってヨーグルトとともに、朝ごはんを済ませる。
 
せっかく台北にいるのに、日がな一日宿舎で過ごすのはもったいない。というわけで、台北市内でリモートワークをすることに。国立台湾大学の社会科学院の施設〈辜振甫紀念圖書館〉へ。時計を確認するとまだ朝8時半。始業前にプールでひと泳ぎすることにした。場所は国立台湾大学からもほど近い、〈国立台北教育大学泳健館〉。象山から「悠遊カード」を利用してバスで向かう(一段運賃で15元)。バスは何もしないと停留所を通りすぎてしまうので、お目当ての路線バスが来たら手を挙げよう。学生だけでなく市民にも開かれている国立台北教育大学のプールは、1回の利用で120元。別の日に訪れた大学の公共プールは110元だったので、だいたいそれくらいの金額なのだろう。50mプールを5往復、500mほど泳ぎ、ジャグジーとサウナに入って朝活終了。

▶リモートワーク@台北大学&昼食

体がスッキリしたところで、歩いて〈辜振甫紀念圖書館〉へ戻る。台湾大学の学生以外はIDカードが必要で、受付でパスポートを渡し、リュックなどの大きな鞄をロッカーに入れると入室が許可された。伊東豊雄が設計したこちらの図書館へは、見学にやってくる日本人も多いよう。受付のスタッフの方が、「写真を撮ってもいいし、デスクも使っていいですよ」そう言って、日本語パンフレットを渡してくれた。利用料はタダ。懐が深い。
 
心地よい空間で、仕事も捗る(ような気がする)。2時間半ほどパソコンに向き合い、お待ちかねの昼食の時間。学食棟へ行き、「自助餐(ビュッフェ式)」の店で野菜中心のお惣菜をお皿にのせる。料金は重さで決まるようで、お会計では79元と示された。構内のコンビニで500mlペットボトルのお水20元を買い、カフェテラスの席についた。周囲を見渡すと、ほとんどの人が水筒を持参。図書室にも学食にもウォーターサーバーがあって、マイボトルに水を汲んでいる。今度来るときは水筒を持ってくることにしよう。
 
台湾大学の敷地内には農学部が運営する売店〈台大農場農産品展示中心〉があると聞いて、せっかくなので行ってみる。手づくりのアイスクリームやパン、オーガニック食品などが販売されていて興味をそそられる。しかしお腹は空いてないので、名物の牛乳・小、35元を買って木陰で小休止。

▶リモートワーク@スタバ&夕食

お腹は空いてない、と言ったものの豆花は別腹である。Google検索で見つけた〈甜逗〉で、檸檬豆花を注文。65元。とろけるようにクリーミーな豆花に甘酸っぱい檸檬ソースがたまらない。この旅No.1の豆花に出合えた。
 
スイーツのあとはやはりコーヒーが恋しい。そんなわけで午後は場所を変えて、〈スターバックス〉で仕事をすることに。Wi-Fiも電源もあるので作業にはもってこい。トールサイズのアメリカーノを注文。95元、日本よりもやや割高か。勉強をしている若者やビジネスマンなど、ローカルにまじってせっせと作業を進める。
 
夜の帳が下りる頃、編集部メンバー2名と連絡をとりあう。メニューは小籠包と海老焼売、酸辣湯の3品のみという通化街にある店で合流し、夕食を一緒に食べる。小籠包(8個入り120元)×2と海老焼売(8個入り120元)×1をシェアし、酸辣湯(45元)はそれぞれオーダー。1人165元。宿舎がある象山まで約3kmの帰路は3人でUberに乗車、180元。今日も1日お疲れさま。コンビニでいつもの台湾ビールとヨーグルトを買って帰る。

06

01/〈虎林市場〉のお惣菜店で朝食を購入。
02/バスは、バス停でも手を挙げて止める必要がある。路線は電光掲示のサインでチェック。
03/公共プールはジャグジーやサウナつきの場所も多いので、泳がない人にも。
04/〈辜振甫紀念圖書館〉でリモートワーク。清潔だし静かだし、作業にも集中できた。
05/台湾大学の学食。選んだ惣菜の分量で値段が決まる。白米と紫米のどちらかを選べるのもうれしい。
06/キャンパスライフ気分で、台北大学で1日を過ごすのもよさそう。

▷デスクワークの1日の明細書

朝食代(パパイヤ、おにぎり)……65元
プール入場料……120元
昼食代(惣菜、水)……99元
牛乳代……35元
豆花代……65元
コーヒー代……95元
夕食代……165元
Uber代……180元
缶ビール(350ml)…… 35元
ヨーグルト……35元
計894元

※地下鉄代やバス代は初日のチャージ代に含む

地方都市で過ごした週末!

▶チケット購入&高鐵で嘉義へ移動

取材で嘉義を訪れるため移動手段を宿舎でリサーチしていると、同部屋の編集者が、「『KKday』なら台湾高鐵(新幹線)の乗車券がお値打ち価格で買えるらしい」と耳寄りな情報を教えてくれた。「KKday」とは、旅先のアクティビティや現地ツアーをお得に予約できるウェブサイト・アプリ。早速検索、いくつかあった外国人限定の台湾高鐵バウチャーのなかから「高鐵3日間乗り放題券(2200元)」をゲット!
 
嘉義取材後は台南や高雄も訪れたいと思っていたので、割安で高鐵乗車券を買えてよかった(台北→嘉義間の普通料金は片道約1000元ほど)。
乗り放題券は、はじめにオンラインで利用登録をすれば事前に座席まで予約できるのでとても便利。ただ、混雑する時間帯の便は選べないこともあるので、移動時間に余裕がある人におすすめしたい。私も希望の便には乗ることができず、想定よりも1時間ほど早い早朝便で嘉義へ向かうことになった。
ちなみに台湾高鐵は台湾高鐵のサイトで日時指定の予約もできる。しかし台湾で発行したクレジットカードでしかオンライン決済ができず、やや不便。駅の窓口でなら日本で発行したクレジットカードでも購入できるよう。
 
いよいよ嘉義旅へ!当日、台北駅の高鐵乗り場に着いて、時間に余裕をもってホームに降りる。朝ごはんでも食べながら電車を待とうと思っていたけど、改札内には飲食店やコンビニはナシ。改札に入る前に買っておけばよかったと学ぶ。高鐵に乗ると、日本と同様に車内販売があるのが救いだった。とりあえずコーヒーを飲んで気持ちを落ち着けることに。1杯50元。

▶嘉義の街歩きとごはん

台湾高鐵で約1時間半、高鉄嘉義駅で下車。バスに乗り換え、町の中心エリアである嘉義駅まで約40分で到着。駅によって高鐵の駅とローカル線や私鉄の駅が離れているので、移動に余裕をもったほうがよさそう。運賃は悠遊カードで51元を支払った(運賃はルートによる)。
 
いよいよ嘉義散歩スタート!嘉義は、“レトロな街”と称される台南を、さらにのんびりさせて小さくしたような町。徒歩でももちろん楽しめるけれど、台北よりも気候が暑いこともあり、町中の移動は自転車をおすすめしたい。嘉義駅前にはシェアサイクルサービス「YouBike」があるし、自転車を貸し出しているホテルもある。私はちょうど自転車を無料レンタルできるホテルを予約していたので、荷物を預けて自転車で街へ繰り出した。
 
まずは朝ごはん抜きの空腹を満たすため、嘉義名物の七面鳥ご飯、火雞肉飯(フォージーロウファン)の専門店へ。火雞肉飯・小とスープを頼んで45元。お肉の味が濃いのにさっぱりしていて、臭みもなく絶品! その後は嘉義のローカルに大人気のフルーツがどっさり入ったお茶が楽しめるドリンクショップ〈源興御香屋〉で、一番人気の「グレープフルーツ×緑茶」65元を買い、水分補給しながらまた自転車を漕いだ。
 
時間が許す限り、嘉義を巡る。〈台湾花甎博物館〉で(入場料100元)可愛らしいマジョリカタイルを眺めたり、阿里山森林鉄道を走っていた赤い列車が見られる〈阿里山森林鐵路車庫園區〉(入場無料)や、日本式の木造建築群を展示している〈檜意森活村〉(入場無料)を見学して取材をつづけた。(TRANSIT66号の南台湾ガイドの嘉義ページもぜひご覧ください!)

▶取材後の夕食とホテル宿泊

日が暮れてあたりが暗くなってきた。暑いなか動きつづけて体力を使い果たしたので、夕食はテイクアウトしてホテルの部屋でゆっくり過ごすことにした。町の中心エリアで毎夜開催しているナイトマーケット〈文化路夜市〉に立ち寄り、ひと際長い行列だった〈黄毛ㄚ頭東山鴨頭専売店〉へ。ここは甘辛い味つけをした鴨肉が部位ごとに売られていて、欲しいものをビュッフェのように自分の皿に取り会計するというシステム。臓物らしきものから、足、血を固めたもの、頭(!)まで、たくさんの種類があるなかから気になるものを選び取り、合計330元(思っていたよりいっぱい買ってしまった)。最後に近くのコンビニで台湾ビール(35元)を買って終了。
 
泊まったのは〈永悦商務大飯店〉というホテル。宿泊前日に予約したから選択肢が少なかったけど、清潔なホテルが空いていてよかった。翌日の朝食つきで、部屋はエアコンと冷蔵庫を完備。駅から離れているけれど、自転車レンタル無料もありがたい◎ 宿代は日本円で6500円(≒約1405元)。

06

01/パスポートと「KKday」の引き換え券を台湾高鐵乗り場の窓口で提示して、3日間乗り放題の冊子をもらう。
02/台北から高雄(左営駅)まで1445元、時間にして約90分でつなぐ台湾の新幹線こと、台湾高鐵。
03/高鐵嘉義駅のホーム。台北と違って空が広い。嘉義駅へは、高鐵+バスのほか、Tze-Chiang Limited Express(自強号)でもアクセスしやすい。
04/嘉義の町中には名物・火雞肉飯の店が多数。せっかくなので何軒か食べ比べてみるのもおすすめ。
05/鴨の人気店〈黄毛ㄚ頭東山鴨頭専売店〉。どれがどの部位かわからず直感で選んだけれど、それはそれで楽しめる。
06/嘉義のナイトマーケット。混雑しすぎていなくてちょうどいい規模感。

▷週末嘉義旅の明細書

台湾高速鉄道(高鐵)3日間乗り放題券……2200元
高鐵車内販売のコーヒー……50元
高鐵嘉義駅から嘉義駅までのバス……51元
火雞肉飯・小とスープ……45元
グレープフルーツ×緑茶ドリンク……65元
〈台湾花甎博物館〉の入場料……100元
〈黄毛ㄚ頭東山鴨頭専売店〉のテイクアウト……330元
ビール代……35元
宿泊代……1405元
計4281元

台湾×たべる編
TRANSIT編集部推薦
我最好飲食店リスト50

月刊TRANSIT/もうひとつの台湾特集

台湾×たべる編
TRANSIT編集部推薦
我最好飲食店リスト50

EAT

2024.01.18

15 min read

動詞別で台湾を読み深める「もうひとつの台湾特集」の「たべる編」!

約1カ月にわたり、入れ替わり立ち替わり台湾で取材をつづけた編集部。滞在中に編集部が見つけたお気に入りの飲食店や感動の一品など、本誌で紹介しきれなかった台湾の「おいしい」を都市別&食べたいもの別に分けて一挙に公開。

@台北

【茶藝館】

⚫︎三徑就荒
伝統的な台湾茶からアレンジを効かせたお茶のカクテル、点心付きのランチまで揃うスタイリッシュな茶藝館。ギャラリーも併設しており、空間を訪れるだけでも価値がある。テイクアウトのペットボトルのお茶がこれまた衝撃のおいしさ。
110, Taiwan, Taipei City, Xinyi District, Alley 46, Lane 553, Section 4, Zhongxiao E Rd, 15號1樓

 

⚫︎台北小慢
一歩入ると別世界。よい台湾茶を知りたいならここへ。自然と居住まいを正してしまう感じ。集中してお茶に向き合う時間がもてる。静かな時間を過ごしたいときに来たい。

No. 39號, Lane 16, Taishun St, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

 
⚫︎冶堂
立地も建物も空間も雰囲気抜群の茶藝館。茶葉のほか茶器も豊富に揃う。愛想のよい店主が快く試飲させてくれ、そのとき居合わせた客と過ごすしばしの時間も心地よい。

No. 20-2號, Lane 31, Yongkang St, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

【朝食】

⚫︎呷尚寶早餐店
ムキムキのアンパンマンみたいなキャラクターが目印の朝ごはんチェーン。蛋餅とハッシュドポテトのセットなど、台・洋折衷なメニューが多い。味つけもちょっとジャンクな感じ。老夫婦のような2人がやっていて、チェーン店だけど蛋餅など注文後一つひとつ鉄板で焼いてくれるのがうれしい。

No. 17號, Section 6, Xinyi Rd, Xinyi District, Taipei City, Taiwan 110

 
⚫︎永和豆漿大王
朝食で人気の老舗店。豆漿に肉包に台湾おにぎり、蛋餅に油條に小籠包も!やっぱり(?)気に入ったのは名物の鹹豆漿だけど、毎日通いたいほどメニューがたくさん。カウンター越しにスタッフの方がきびきびと働く様子も垣間見え、朝から台湾の活気を感じる。

No. 102號, Section 2, Fuxing S Rd, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

【豆花】

⚫︎甜逗豆花
豆花専門店。モチモチ食感の食べ物が好きなので、トッピングにはタピオカ、芋圓、粉粿の3つを選んで、「檸檬豆花」(65元)をオーダー。柑橘の涼やかな酸味と素朴な甘さ、豆腐のほどよいなめらかさ&柔らかさが好みだった。温かいぜんざい系や、豆漿豆花や杏仁露豆花も気になる!

106 台湾 Taipei City, Da’an District, Lane 118, Section 2, Heping E Rd, 63號1樓

 
⚫︎導演的豆花店

滋味深くやさしい味わいの豆花は、着色料や保存料を使わず、天然素材にこだわって作られている。スープは自家製の豆乳(正常/半糖/無糖)と麦芽シロップから選べ、シートに記入式なのでトッピング選びも安心。オーナーは映画監督で、店内には撮影時の風景やカメラも展示されていて楽しい

No. 24號, Lane 224, Section 1, Dihua St, Datong District, Taipei City, 台湾 103012

 
⚫︎龍潭豆花

あまり甘党に見えない日本人男性から、「My Best 豆花店です!」と聞いて行ったお店。メニューはピーナッツと豆花と粗めのかき氷だけがのった豆花のみ。シロップの甘さが控えめで、豆腐の甘みが引き出されていて、ひと口めから最後まで納得のおいしさだった。男性客も多め。

No. 239號, Section 3, Tingzhou Rd, Zhongzheng District, Taipei City, 台湾 100

【小吃】

⚫︎顔午許小吃店

永春市場の場外にある伝統的な軽食を提供する小吃店。台湾版炊き込みご飯の「油飯」、澱粉や片栗粉のプルプル食感の皮に餡が詰まった「肉圓」、魚肉の練り物を煮込んだ台湾おでんの「甜不辣」など、どれもおいしい。とくに気に入ったのは薬膳たっぷりの四神湯。疲れた体に沁みた。

No. 292號, Songshan Rd, Xinyi District, Taipei City, 台湾 110

 
⚫︎北投豆花葱抓餅

新北投駅近くにある、葱抓餅と豆花のデリ型?の専門店。少人数(おそらくご夫婦)で営んでいて、少ないがイートイン用の席もある。その場でできたてをいただけるのがポイントで、葱抓餅も豆花もシンプルな味わいでとてもおいしい。北投温泉のあとのおやつに立ち寄るのに最適。

No. 23號, Zhonghe St, Beitou District, Taipei City, 台湾 112

 
⚫︎松徳永和豆漿

編集部が宿泊していた象山のAirbnbの近くにあり、滞在中3〜4回行った。小籠包や魯肉飯など定番の台湾料理が揃っているが、地元の人しかいない感じがGood。常連らしきおばちゃんに、鼎泰豊よりここの小籠包のほうがおいしいよ!と言われた。

No. 263號, Songde Rd, Xinyi District, Taipei City, Taiwan 110

 
⚫︎燕山湯圓 永春店

雙連朝市の散策中に出合ったお店。湯圓というと、甘い餡入りを想像する人もいるかもしれないけれど、こちらの名物はごはん系の「鹹湯圓」。もち米を丸めたもちもちの生地には手作り肉団子が入っている。注文したら茹でてくれるスタイルで、できたてが味わえるのもうれしい。

No. 11號, Lane 108, Hulin St, Xinyi District, Taipei City, 台湾 110

02

 
⚫︎北一菜盒店

ニラと春雨が入った熱々の菜盒子がおいしかった。薄い皮にしっかり目の味つけの餡がたっぷり入っている。小腹が空いたときにちょうどいい。

No. 102號, Section 6, Xinyi Rd, Xinyi District, Taipei City, 台湾 110

 
⚫︎阿隆師 純手工餡餅/韭菜盒專賣店

台北駅からほど近いお店。大学時代にふらっと寄ったここで食べた葱油餅がおいしすぎて、以来ハマった。つくりおきの生地をあっため直して、チーズと卵と一緒に焼いてくれる。名店ではないかもしれないけれど、地元の人がひっきりなしに来ていて、ちょっと油っぽいけどそのジャンクさがいい。

No. 8號, Section 1, Chengde Rd, Datong District, Taipei City, 台湾 103

 
⚫︎葉家包子饅頭老面工坊

もちもちシルキーな生地のなかに、とーーーーーってもジューシーな肉餡がたっぷり。食べてると肉汁が溢れ出てくるレベル。肉汁がしみしみな皮もおいしい。

No. 348號, Jilin Rd, Zhongshan District, Taipei City, 台湾 10491

 
⚫︎魷皇駕到

日本式のイカ焼きと書いてあるけれど、日本の祭りの露店にあるようなイカ焼きを想像してはいけない。巨大なイカを丸ごと焼いてカットして出してくれるのだが、ぷりぷりでふわふわで超やわらかいイカの食感は唯一無二。寧夏夜市に行くときはぜひ。

103 台湾 Taipei City, Datong District, Ningxia Rd, 80號攤位號寧夏夜市

 
⚫︎万華原汁排骨湯

梧州街観光夜市を散策中に見つけた「原汁排骨湯」(80元)。滋味深いクリアなスープは、おかわりしたいほど絶品(後にGooglemapコメントでおかわりができたことを知る……悔しい)。小腹が空いていたので「高麗菜飯」が気になりつつも、小盛りの魯肉飯(30元)も一緒に。ご飯茶碗軽く一杯くらいのサイズ感でちょうどよかった。

No. 36號, Wuzhou St, Wanhua District, Taipei City, 台湾 108

【麺】

⚫︎邱記涼面

台湾版冷やし中華の店。甘辛い肉味噌がかかったジャージャー麺のような炸醬涼麵は、濃厚な風味のゴマだれとからめると最高においしい。ラー油などの卓上調味料で味変ができ、大中小とサイズを選べるのもよい。朝6時からの営業で、早朝からローカルで賑わっていた!

No. 1, Lane 281, Wuxing St, Xinyi District, Taipei City, 台湾 110

 
⚫︎永富魚丸店

「魚丸湯(魚のつみれスープ)」が看板メニューの老舗。老舗といっても、店構えはポップで一人でも入りやすい。ジューシーなつみれもおいしかったが、魯肉蛋包麵が絶品。もちもちの麺と半熟卵が絡み合って最高。

No. 47之1號, Neijiang St, Wanhua District, Taipei City, 台湾 108

 
⚫︎意麺王

立ち食いそば的な感覚でサクッと入れる創業80年の老舗。「清湯意麺」は、細いけれどコシのある麺があっさりスープによく合う。汁の有無と、小麦麺か米麺が選べる。サイズも選べるので(小30元/大60元)、迪化街の散策中にいろんな料理をはしごしたい人にも。

No. 202, Guisui St, Datong District, Taipei City, 台湾 103

02

 
⚫︎老邱牛肉面

象山方面にある牛肉麺の店。店内は清潔感がある。牛肉湯もあったけど売り切れていた……。汁なし麺がおいしかった!豆乳と紅茶が飲み放題なのも好感度高し。

No. 217號, Songren Rd, Xinyi District, Taipei City, 台湾 110

 
⚫︎老王原汁牛肉面

店名通り、牛肉麺がメインのお店。ランチタイムは地元の方々で賑わい、清潔感も◎。麺の種類とスープの味つけのカスタマイズが可能で、何回来ても楽しめそう。紅茶や豆乳が飲み放題なのもうれしいサービス、個人的には豆乳が甘くて冷えててお気に入り。

2HRG+2WJ 広居里, 台湾 台北市 信義区

【鍋/飯】

⚫︎圍爐・発酵酸菜鍋

豚バラと発酵した白菜に、パクチーやニンニク、黒酢などさまざまなつけだれをトッピング。ヘルシーだけどボリュームもあり満足度高し。いくらでも食べられるほどおいしかったです。

No. 36號, Alley 4, Lane 345, Section 4, Ren’ai Rd, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

 
 

⚫︎天香回味養生鍋 総店

スープに数十種類の香辛料を使っている、モンゴル風火鍋の店。スープは辛いものと通常の薬膳タイプの2種を楽しめる「天香回味鍋底」にし、好みのお肉や魚介、野菜やキノコを選んで注文。辛いほうは、やさしく甘めの味つけが多い台湾ご飯のなかではかなり刺激的でクセになる。体もぽかぽか。

No. 35號, Lane 135, Section 1, Zhongshan N Rd, Zhongshan District, Taipei City, 台湾 104

 
⚫︎人和園

人気の雲南料理のお店。かの有名な緑豆スープが飲みたくて、編集部員3人で夕食に行った。スープはもちろん、キノコの揚げ物、チャーハン(2皿頼んだ)、麻婆豆腐、すべておいしくて我を忘れて爆食したため、食べ途中の写真しか残っていない……。

104 台湾 Taipei City, Zhongshan District, Section 2, Zhongshan N Rd, 112號2樓

 
⚫︎冠鼎鶏肉飯

魯肉飯は、高菜やシナチクのトッピングがいい仕事をしている。燙青菜のソースもおいしかった。店主のお姉さんの感じもよく、近所からビールを持ち込めるのも◎。食べなかったが鶏肉飯も人気のよう。便當のテイクアウトもやっていた。

No. 252號, Jinzhou St, Zhongshan District, Taipei City, 台湾 10491

 
⚫︎Chán Shífān(饞食坊)

台湾在住の文筆家&コーディネーターの栖来ひかりさんに連れていっていただいた、食事もしっかりできる居酒屋。映画制作に携わる人たちが古い建物をリノベーションしたそうで、古き良き台湾の雰囲気が漂う。豚の串焼きや原住民族の伝統的なお酒など、他ではあまりみかけない料理がずらり。どれもとてもおいしかった。

No. 58, Lane 30, Section 4, Xinyi Rd, Da’an District, Taipei City, Taiwan 106

【カフェ/バー】

⚫︎Rebirth Cafe & Restaurant

台湾大学の近く。ケーキもおいしい。プレイリストはインディーミュージックばかりで、店員のファッションもおもしろい。この辺りの学生たちのクールな拠点って感じかな?

No. 2, Lane 48, Wenzhou St, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

 
 

⚫︎隅咖啡Aroundtheblock

レトロな雰囲気のとても小さなカフェ。席数は最大でも8席くらい。コーヒーはおいしく、とてもローカルな雰囲気だった。領収書は印刷してくれないので、ビジネスの打ち合わせには向かないかも。

No. 175號, Section 2, Tingzhou Rd, Zhongzheng District, Taipei City, 台湾 100

 
 

⚫︎Goodman Roaster 華山店

TRANSIT本誌のコーヒー企画でもご協力いただいた伊藤篤臣さんがオーナーを務める、台湾産コーヒー豆のみを使用するカフェ。2012年、まだ台湾産のコーヒー豆が注目される前から営業していて、京都にも支店がある。阿里山のコーヒーは雨の日のような香り。

No. 17號, Section 1, Xinsheng N Rd, Zhongshan District, Taipei City, 台湾 10491

02

 
⚫︎Cho cafe

リモート場所を探して入ったおしゃれなリノベカフェ。レトロな雰囲気。ここのバリスタとロースターは毎年、さまざまなコーヒー大会で入賞している実力派とのこと。ここでは青草茶とコーヒーをブレンドしたものを初体験。微炭酸でスッキリ、暑い日に飲みたい。

No. 113號, Kunming St, Wanhua District, Taipei City, 台湾 108

 
 

⚫︎Out Of Office Coffrr Roastery 不在辦公室 金華店

焙煎所併設。カフェラテがおいしかった。大人の雰囲気があって居心地よい。

No. 207號, Jinhua St, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

 
⚫︎傷心酒店HEARTBREAK CLUB

軽食も楽しめるカクテル・バー。30代のクリエイターにたくさん出会った。

No. 103號, Section 4, Civic Blvd, Songshan District, Taipei City, 台湾 105

 
 

⚫︎Kondo bar

TRANSIT本誌のカルチャーコンテンツでインタビューしたバンド「Fool and Idiot」が経営する超いいバー。どんぶりもあるし、音楽のセンスも、もちろんいい。

No. 186號, Section 2, Fuxing S Rd, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

 
 

⚫︎MMO Beer

オリジナルフレーバーのクラフトビールが飲めるバー。常時7〜8種類ぐらいあり、定期的にラインナップが変わる。私が行ったときはアールグレービールをおすすめされて頼んでみたが、お茶の香りが鼻から抜ける感じが爽やかでおいしかった。店内はベンチとローテーブルがレイアウトされ、電車の待合室のような雰囲気がユニーク。

No. 330號, Guangfu S Rd, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

【その他】

⚫︎手天品

パイナップルケーキに目がない私が、とくにおいしいと思ったのがここ。甘さが強いと感じることが多いパイナップルケーキですが、ここは2002年の創業以来、無添加・無着色・無香料にこだわっていて、優しい自然な甘さが特徴。ひっそりした店構えの店内で手作りしている。胡桃入りパイナップルケーキやその他のスイーツもおすすめ。

No. 188-1號, Chaozhou St, Da’an District, Taipei City, 台湾 106

 
 

⚫︎一沐日 台北大安店

〈Boven雑誌図書館〉での編集部イベントの店番のおともに重宝したドリンクショップ。もちもちとぅるんとしたゼリーが入ったドリンクで、金木犀ver.とミルクティーver.がおいしい。おいしすぎて1日2回買いに行った。

106 台湾 Taipei City, Da’an District, Section 1, Da’an Rd, 12號1樓

 
⚫︎老済安Healing Herbar

簡単な問診に答えると、そのときの体調に合わせて薬草や漢方を調合してカスタムティーを作ってくれる。店主は日本語が話せるので、体調相談も可。苦くて飲みにくいイメージの青草茶が飲みやすくアレンジされていて、近所にあったら通いたいお店。

No. 84, Xichang St, Wanhua District, Taipei City, 台湾 108

@台南

【小吃】

⚫︎阿美現烤古早味蛋糕

ふっかふかのぷるんぷるんな台湾カステラのお店。めちゃくちゃ大きいけど軽い食感でぺろりと食べられる。バウムクーヘンのような「千層」や、間にクリームが挟まった抹茶味もおいしかったけれど、おすすめはチーズ味。

No. 50, Section 3, Minquan Rd, West Central District, Tainan City, 台湾 700

 
⚫︎同記安平豆花安平2店

人気の豆花店。黒糖のタピオカをトッピングし、檸檬のソースをかけた豆花を口に入れた瞬間、スイーツ魂が開眼。つるりとした豆花、もちもちのタピオカ、さわやかな檸檬のハーモニー、何度もいただきたい味です。

No. 141-6號, Anbei Rd, Anping District, Tainan City, 台湾 708

 
 

⚫︎莉莉水果店

台湾ならではの大きなかき氷のお店。季節によって扱っているフルーツが変わるようで、私はイチゴが食べたかったけれど10月はなかった。代わりにフルーツミックス+豆をオーダー。たくさんの新鮮なフルーツがのった巨大かき氷は食べ応え満点。これで500円ぐらいだったような……?
No. 199號, Section 1, Fuqian Rd, West Central District, Tainan City, 台湾 700

02

【麺/飯】

 
⚫︎民生路無名意麵

TRANSIT本誌の地方取材などで協力いただいた生活藝人・田中佑典さんおすすめの台南の意麺。意麺とは卵を練り込んだ麺のことらしく、上に何かをのせたり、タレだけで食べたりするらしい。ここの麺は揚げてから茹でるのが特徴だそうで、油をまとった麺に醤油味のタレを絡めて食べるとシンプルにおいしい。こういうのがいいんだよ!

No. 112號, Section 2, Minsheng Rd, West Central District, Tainan City, 台湾 700

 
⚫︎阿財牛肉湯安平二

「台湾人は鍋が好き。冬でも、夏でも、大人数でも、一人でも、鍋」と写真家Kris Kangさんから聞いて一緒に行った牛肉鍋の店。トウモロコシ、ナツメが浮かぶ黄金色のフルーティなスープに、生の牛肉のいろんな部位をしゃぶしゃぶ。ミニ白菜やキノコ、豆腐も鍋にイン。トッピングコーナーで自分好みの調味料を入れてタレをつくって、それをつけながらいただく。めちゃくちゃおいしいし、鍋の具材が日本と似ているもの、はじめてみるものがあって楽しい。

No. 97-7號, Anping Rd, Anping District, Tainan City, 台湾 708

02

 
⚫︎友愛牛肉湯

写真家Kris Kangさんに教えてもらった台南友愛市場の並びにある牛肉湯のお店。朝から昼過ぎまでの営業。ほんのり生姜が香る澄んだスープが美味。目玉焼きをのっけた白飯をおともにぜひ。

No. 109號, You’ai St, West Central District, Tainan City, 台湾 700

02

 
⚫︎阿傑温体牛肉湯

台南のカフェ〈SJÓ 咻咖啡〉で働いている子に「おすすめの牛肉湯shopは?」と聞いて教えてくれたお店。牛肉のコクが沁みだしているけど、しつこくなくてやさしく滋味深いスープ。トッピングコーナーに牛すじ鍋があって、ご飯を頼むと好きなだけ牛すじをかけられるのもうれしい。地元の若者や家族連れで賑わっていて雰囲気もいい。

No. 421號, Section 2, Ximen Rd, West Central District, Tainan City, 台湾 700

02

【カフェ】

⚫︎SJÓ 咻咖啡・カフェ

同時期に台湾取材をしていたRiCE編集部の成田峻平さんから教えてもらったカフェ。サイフォン式のコーヒーから、コーヒー+αの新感覚の飲み物まで楽しめる。コーヒーと柑橘の果汁を加えたカクテルのようなドリンクをオーダー。コーヒーとはまったく違う飲み物だけど、コーヒーのよさが引き出されていて驚いた!

700 台湾 Tainan City, West Central District, 西門路一段734巷16弄1號

02

@高雄以南

【茶藝館】

⚫︎VIKEN Teahouse 維肯茶藝

台湾に来たらお茶文化を、という若干の強迫観念に駆られながら入ってみた高雄のお茶屋さん。そんな先入観も忘れるような美しい空間とお茶たち。水出し紅茶4種類の飲み比べとお茶のプリンに舌鼓。とても優雅なひとときを楽しみました。

No. 117-1號, Dayong Rd, Yancheng District, Kaohsiung City, 台湾 803

【朝食】

⚫︎姉妹老五冷飲早餐店

入るのに少し勇気が必要な路地を進むとひっそり営業している朝食店。塩気のあるベーコン蛋餅と緑豆(アズキに似たもの)ミルクを注文。この雰囲気で味わうハッピーセット、日本でも体験できないものか。

No. 137-3, Lainan St, Yancheng District, Kaohsiung City, 台湾 803

02

 
⚫︎港伯冰品

高雄から少し南下した枋寮という地域にあるかき氷の有名店。台湾南部だけあってマンゴー果肉の鮮やかさと、その甘さに感動。ボリュームたっぷりのマンゴーかき氷に、マンゴーアイスもプレゼントしてくれるおばちゃんに謝謝〜。

No. 177號, Zhongshan Rd, Fangliao Township, Pingtung County, 台湾 94044

【その他】

⚫︎老江紅茶牛奶 南台店

高雄発のファストフード店。南台店は旅人にうれしい24時間営業。名物は甘さ控えめのたっぷりミルクティー。ホットサンドも手作り感たっぷり。こういう店が自分の住んでる町にあったらいいなという感じ。甘いとしょっぱいの黄金律を具現化したネギ入りヌガークラッカーはお土産にぜひ。

No. 51號, Nantai Rd, Sinsing District, Kaohsiung City, 台湾 800

02

台湾×きく編
Drive Musicをもう一度!

月刊TRANSIT/もうひとつの台湾特集

台湾×きく編
Drive Musicをもう一度!

People Kris Kang

LISTEN

2024.01.18

7 min read

動詞別で台湾を読み深める「もうひとつの台湾特集」の「きく編」!

取材をする間、車の中で流していた台湾のシティポップ、歌謡曲からフォークまで……あのときの曲をもう一度聴きたい! というわけで、一緒に取材をしていた写真家Kris Kangさんと台湾のDrive MusicをPlaylistにしました。

車で聴いた音楽をプレイバック!

TRANSIT編集部……T
Kris Kang……Kris

  • T

    こんにちは、取材ではたくさんお世話になりました! そして今回の台湾特集の表紙はKrisさんの写真でしたね。ありがとうございました。

  • Kris

    お疲れ様でした! 無事に雑誌が出来上がってよかった。カバーが僕の写真になったのはびっくりでした(笑)。

  • T

    Krisさんには手仕事の取材の撮影をお願いしていて、台南、苗栗、台北、坪林……と、車で台湾を巡りましたね。

    最初にKrisさんの車に乗せてもらったときにかかっていたのが、日本の歌謡曲のラジオで。そこから音楽の話で盛り上がって、台湾のアーティストのことを教えてもらいながらいろんな曲をかけて移動したんですよね。そのときの曲がどれもよくて! なのでKrisさんと話しながらドライブしたくなるPlaylistをつくろうというのが、今日のお題です。

  • T

    おぉ、どんなアーティストがいたんですか?

  • Kris

  • T

    いいなぁ! 車でも聴いてましたね。台湾のアーティストって、漢字と英語のダブルネームがあるのがいい。落日飛車だと私は「My jinji」が好きです。

     

  • Kris

    昨日のライブでも、韓国のミュージシャン「HYUKOH(ヒョゴ)」のVo、OHHYUK(オ・ヒョク)がその曲を一緒に歌ってたよ。僕は、落日飛車 feat.OHHYUKの「Candlelight」が哀愁があって好き。サンセットのドライブにぴったりだと思う。落日飛車とHYUKOHのコラボアルバム『AAA』もいいよ。

     

  • T

    落日飛車の曲はほとんど英語ですよね。それに韓国のミュージシャンと一緒に組んでいて、海外志向ですよね。

  • Kris

    よく海外でライブもしているしね。

海外に飛び出す台湾アーティストたち

  • T

    TRANSIT台湾特集の音楽企画でも、落日飛車をはじめ海外進出している台湾アーティストが増えてきているという話をしてました。

9m88(ジョウエムバーバー)

© Cheng Chung Yao

  • T

    そうなんですね! 9m88だとどんな曲を聴きますか?

  • Kris

    ラッパーのLeo王(リオ・ワン)とコラボした「陪你過假日」とか、馬念先(マ・ニェンシェン)とコラボした「你朝我的方向走來」が好きかな。ドライブにも合うシティポップな曲。馬念先は、日本と台湾を舞台にした映画『海角七號』にも出演していて、音楽家としても俳優としてもすごくかっこいい人。今はあまり活動してないけど、「糯米糰(Sticky Rice)」っていうバンドも組んでいて、「巴黎草莓」という曲が有名。ライブだとみんなが合唱できるぐらい知られているよ。

     

  • T

    傻子與白痴のアーティスト名って、台湾だとどういう意味なんですか? 日本語の白痴にしても、英語のFool and Idiotにしても……。

  • Kris

    台湾では「バカとアホ」っていう意味だよ。バンド名から想像できないくらい、彼らの曲は音楽的でかっこいいけど。中国のレーベルに所属しているミュージシャンだね。車で聴きたい曲だと……「美好前程」が夜のドライブに合うと思う。

     

傻子與白痴(シアツユィパイツー)

© Cheng Chung Yao

  • T

    (〜♪)たしかに夜の街灯をすり抜けていくような、ロマンチックでかわいい曲ですね。

  • Kris

    でも悲しい歌詞なんです。このバンドで一番好きな曲。彼らの歌い方は台湾華語よりもちょっと中国の北京語よりの発音で、台湾じゃなくて中国のバンドみたいにも聞こえる。

  • T

    台湾と中国の発音ってどう違うんですか?

  • Kris

    すごくざっくりいうと、北京語のほうが巻き舌になる感じかな。

何語で歌うか、何を歌うかーー

  • T

    なるほど、どんな言葉で歌っているかも気になってきますね。誌面のユースカルチャー企画「台北ニュージェネレーション」では「我是機車少女 I’mdifficult」にも取材してるんですけど、「yume」の歌みたいに、台湾華語、日本語、英語の混ざった曲もあっておもしろいアーティスト。彼らのなかで好きな楽曲はありますか?

I'mdifficult

© Cheng Chung Yao

  • Kris

    「Last Summer」が好き。若者の間でじわじわと流行ってきてる。ちなみにMVに出てくる俳優の林廷憶(リン・ティンイー)さんは、台湾のNetflixドラマ「女優:ボーントゥシャイン」にも出ていて、とても旬の人ですよ。

  • T

    Netflixオリジナルドラマって土地柄が出ていておもしろいですよね。芸能界の光と影か……気になる。

    あとは同じユースカルチャー企画で「Bremen Enterteinment Inc. 布萊梅という台湾インディーシーンを騒がせているサイケロックバンドにも取材しているんです。

真ん中の男の子がBremen Entertainment Inc.のギタリスト。

© Cheng Chung Yao

スタジオで音合わせをしているBremen Entertainment Inc.のメンバーたち。

  • Kris

    えぇ、知らなかった、聴いてみる! (〜♪)すごくかっこいいね。好きだな。アートワークもいい。

  • T

    Bremenは、自宅で制作したアルバム『The Great Bremen Show』で、2024年の台湾インディー音楽アワード「The Golden Indie Music Awards」のベストアルバム賞をとったって聞きました。

    そういえば、台湾語で歌っているアーティストも教えてくれましたよね。

     

  • Kris

    「拍謝少年 Sorry Youth(ソーリーユース)」ですね! 僕が一番好きなバンド。

  • T

    そうソーリーユース! いろんな年齢層が好きですよね。台北で火鍋ショップで注文に困っていたときに、隣のテーブルに座っていたかわいらしい大学生の女の子が火鍋の食べ方を教えてくれたんだけど、話が盛り上がって台湾アーティストのおすすめを聞いてたら、その子も「まずはソーリーユースを聴いて!」って言ってました。

  • Kris

    みんな好き(笑)。さっきも話していたけど、彼らは台湾語で歌うんです。MCでも台湾語。台湾の民族意識がすごく強いバンド。

  • T

    台湾の言語は、一番話者が多いのが台湾華語で、中国語の北京語に近い言葉ですよね。次に話されているのが台湾語で、ルーツは400年以上前に中国の福建省から渡ってきた人たちが話していた言葉だと聞きました。
    ただ、第二次大戦後に中国統治がはじまると、台湾の国語を北京語に定められて、一時期は台湾語で話すことが禁止されていたんですよね。お年寄りや南部では台湾語の文化が残っているけど、若者だと台湾語がわからない人が多いと聞きました。

  • Kris

    そう。僕も台湾語が理解できるときとそうじゃないときがある。ソーリーユースのメンバーは南部の高雄出身なんだよね。彼らの歌詞のことでいうと、少し前の台湾政治への不満や哀愁を歌にしていたりするんです。最近はちょっと違うけどね。ラブソングとか仲間とか家族の曲も歌うようになって、柔らかくなってきた。僕は「歹勢中年」が好き。歳をとることを前向きに歌ってる。

     

  • T

    私は「暗流」が気になりました。

     

  • Kris

    たぶんこのバンドで一番聞かれている楽曲。昔の政治の苦しさ、労働に対しての怒りや不満、あとは故郷への寂しさを歌っています。

    最新アルバム『噪音公寓』もいい。たとえば「共身軀完全放予去」はジェンダーについての曲。少し複雑な三角関係の歌なんです。MVがすごくおもしろい。

     

     

  • T

    (〜♪)あ、女の子も歌ってる。

  • Kris

    そう。Enno Chengもすごく有名なヴォーカル。

  • T

    (MVを観ながら)男の子ふたりと女教師がでてきて、切ない青春映画みたい……。

  • Kris

    3分30秒からじっくり観てください!

  • T

    これは……攻めた展開ですね! 三角関係のその先をいってますね。

  • Kris

    性に対して開放的で、他人に対してあまり干渉しないところが台湾らしい気がする。

    そういえば台湾語で歌うメタルバンドもありますよ。「Flesh Juicer 血肉果汁機」っていうグループ。

  • T

    へぇ! 台湾ってメタルはやってるんですか?

  • Kris

    うーん、メジャーなシーンではないかもですね。若い子はラップをみんな聴いてるかな。でもこのバンドはよく知られてて、マキシマム ザ ホルモンみたいな感じかな。

  • T

    (〜♪)あ〜、渋滞にハマったり眠いときに聴いたら、スカッとしそうですね。

  • Kris

    うん、目が覚めるでしょ。台中出身で故郷への愛を歌った曲が多いから、元気ももらえるんだよね。

歌謡曲の歌姫といえば?

  • T

    そういえば、誌面ではテレサ・テンも特集しているんですよ。知っていますか?

  • Kris

    もちろん、鄧麗君(デン・リーチュン)ね! 台湾の人、みんな知ってる。

鄧麗君(デン・リーチュン)

  • T

    (笑)。台湾だとどの曲が有名ですか?

  • Kris

    全部有名だけど、僕は「千言萬語」が好き。

     

  • T

    (〜♪)おぉ、ムーディーなイントロ。

  • Kris

    昭和っぽいでしょ。古典的できれいな歌詞。

  • T

    日本だと、「時の流れに身をまかせ」「つぐない」みたいな、悲恋の歌が多いイメージだけどこの曲は雰囲気が違いますね。

  • Kris

    台湾と日本では、売り出されているイメージが違うのかな。

    あとはジュディ・オング欧陽菲菲(オーヤン・フィーフィー)も日本で有名でしょ。欧陽菲菲の「愛的路上我和你」もいい歌ですよ。

     

  • T

    (〜♪)ポップですね! 歌い方に丸みがあって台湾の言葉が美しく聞こえる。「ラヴ・イズ・オーヴァー」とか「雨の御堂筋」みたいなソウルフルで拳のきいた感じともまた違いますね。

フォークソングが聴きたくて……

  • T

    Krisさん、「交工樂隊」って知ってます? 知り合いから教えてもらって、曲を聴いていると台湾の田園風景が見えるようですごくいいんですよね。でも今はあまり活動していないみたい……。

  • Kris

    知ってる、20代の頃にライブを観たことある(笑)。たしかにバンドはもう解散してるのかも。ヴォーカルの林生祥は作曲家や歌手として活躍してて、台湾の音楽賞ももらっている人だよ。彼は客家の音楽をやっている。客家の伝統音楽で客家八音というものがあるんだけど、それがベースになっているんだと思う。

  • T

    へぇ、知らなかった。台湾取材をしているときに、おいしいと思ったら客家料理だったり、書店でかっこいいタブロイド誌を見つけたと思ったら客家のことを扱ったものだったり(『靛花tien faˊ』)、気がつかないうちに客家カルチャーに出合ってました。交工樂隊の「縣道184」が好きなんだけど、これも客家の言葉で歌っているんですか?

     

  • Kris

    そうですね。美しい詩みたいな曲。昔の客家の生活が厳しかったことが音楽になってる。

  • T

    (Googleで検索)本当だ、林生祥さんは高雄の美濃出身で実家は客家農家だって書いてある。今は農業や環境問題に関心があるみたい。

  • Kris

    彼は映画の劇伴も作曲していて、とくに有名なのが映画『大仏⁺』。下層階級の生活をとらえた映画です。おもしろいけどすごく悲しい話でもある。

  • T

    音楽から映画の話にもつながっていって、いろいろ気になりますね。そういえば世界の民族音楽を取り入れて曲をつくっている若いアーティストをKrisさんから教えてもらった気が……。

  • Kris

    「雷擎 l8ching(レイチン)」ですね。最近も新しいアルバムをリリースしたばかり。アフリカの楽器を使ったりしてます。僕のおすすめは「Real World」。英語と台湾華語を混ぜながら歌ってる。

     

  • T

    おぉ、これもまた全然新しい風を感じますね。
    そういえば、Krisさんに教えてもらった台湾原住民族のSuming(スミン)さんの曲も、言葉はわからないけどあったかい雰囲気が印象に残ってます。

  • Kris

    アミ出身のアーティストで、彼の曲は大体ポジティブ。何を歌っているか僕にも歌詞がわからない曲もあるけど。「Ho hay yan 喔嗨洋」が好き。”Ho hay yan”はアミの言葉で……初めて海を見たときの言葉だって解説されてる。

     

  • T

    (〜♪)少し沖縄の民謡みたい。外で聴いたら気持ちよさそう。Sumingさんがやってる「阿米斯音樂節 Amis Music Festival」にも行ってみたいな。

  • Kris

    いろんな原住民族の人が集まってものすごくおもしろいよ。2年に一度やっていて、次は2025年だったはず。

  • T

    アミフェスの開催日、調べてみよ。音楽目当てに台湾を旅するのもいいですね!

出来上がったPlaylistはこちら!

台湾×くらす編
台湾ライフについて訊いてみた!

月刊TRANSIT/もうひとつの台湾特集

台湾×くらす編
台湾ライフについて訊いてみた!

TRAVEL&EAT&LIVE

2024.01.18

7 min read

動詞別で台湾を読み深める「もうひとつの台湾特集」の「くらす編」!

ごはんがおいしくて、人が優しくて、気候が暖かくて、国の制度が先進的でーー。旅もいいけど住むのも心地よさそうな台湾。実際のところ台湾の暮らしはどんなふうなんだろう。

どこの街に住んでるの? 仕事は何をしているの? 週末は何してる? 台湾在住の2人の日本人の方に、赤裸々な台湾ライフを聞きました!

Case1

Profile

浦芝眞史

Urashiba Masashi

 

職業|フォトグラファー

出身地| 大阪

いま住んでいる街は?|新北市淡水區 

何人暮らし?|ふたり

家賃|2万元台です!

Instagram|@masashi.urashiba

 

Urashiba Masashi

 

職業|フォトグラファー

出身地| 大阪

いま住んでいる街は?|新北市淡水區 

何人暮らし?|ふたり

家賃|2万元台です!

Instagram|@masashi.urashiba

 

住んでいる街のこと

その街に住んでいる理由は?

淡海新市鎮(ニュータウン)に住んでいます。2020年に日本での仕事を辞めて、写真作品制作のためにワーキングホリデーで台湾に来ました。ワーホリ終了後、アーティストビザを取得。今年2024年に台湾人の夫と同性婚をして、台湾を拠点に生活しています。もともとは台北市に住んでいましたが2人で暮らすには狭かったので、今の家に引っ越しました。台北に比べて空気が澄んでいて、自転車で海辺まで行けるのもいいですね。

03

1・2/浦芝さんが暮らす淡水の町並み。 
3/ワーホリで最初に住んでいた家の屋上でごろり。

あなたの街でお気に入りの場所は?

淡水でお気に入りの場所は、第一漁港付近です。淡水老街を抜けて紅毛城方面に歩いていくとある小さな漁港で、近くのカフェやバーは、風が気持ちよく夕日も綺麗でいい感じですよ! 沙崙海水浴場へも自転車で10分くらいで行けるので気に入っています。

友人と一緒にYouBike で沙崙海水浴場へ行ったときの写真。

朝ごはんでおすすめのお店は?

🐔〈老魏雞絲飯〉
台北の唭哩岸駅から徒歩10分くらい、金龍市場(朝市)の通りにあります。あっさりですが鶏の旨みたっぷりの雞絲飯と燙青菜がおすすめです。お店は13時半までですがお昼に行くと売り切れていることもあるので、早めの時間帯に行ってみてください。

昼ごはんでおすすめのお店は?

☀️〈君悅排骨〉
台北市内のいろんなところにある有名なチェーン店ですが、安定しておいしいです。台湾人の友人にもすすめられました。看板商品の排骨酸菜飯は、お肉のまわりがパリパリで、中はジューシー、付け合わせの野菜も食感がよいです!

コーヒーブレイクにおすすめのお店は

☕️〈RUFOUS COFFEE ROASTERS〉
台北復興南路二段にあるカフェ。コーヒー、ケーキ、居心地、全部よいです。場所は台湾大学の裏側で、広々した大学構内を散歩してからいくのもおすすめしたいです。

☕️〈Ruth C. Coffee〉
基隆正濱漁港にあるコーヒーショップ。自家焙煎のブレンドコーヒーもおいしいですが、ここの檸檬西西里(レモンコーヒー)は酸味と甘味のバランスが絶妙でかなり最高です。海の風を浴びながらゆっくり過ごせます。

Weekdayの過ごし方

02

どんな仕事をしているの?

フリーランスのフォトグラファーとして働いています。人物撮影や、取材でのインタビュー撮影、イベントなどでスナップ写真の撮影が多いです。

仕事で大変なことは? うれしいことは?

仕事で大変なのは、台湾の夏の暑さ。紫外線も日本に比べて1.5〜2倍くらい強いので、それに全然慣れません。なので夏場屋外での撮影はなかなか大変です!逆にうれしいことは、この仕事をしていなければ絶対に出会うことが出来ない方々や、魅力的な場所を知れることです。

Weekendの過ごし方

週末は何してる?

YouBikeに乗ってスーパーへ食材を買いに行きます。元気があれば、〈淡水国民運動センター〉のジムで1時間くらい運動します。趣味は植物の世話で、休みには新しい植物を仕入れに〈台北花卉村〉をぶらぶらしていたりします。

最近ハマっていることは?

おもしろい陶器や植木鉢を探すのにハマっています。あまり日本にないデザインを見つけるとうれしくなります。台北駅から台鉄で30〜40分で行ける鶯歌陶瓷老街には、たくさんの陶器専門店が並んでいて楽しいですよ。〈新旺集瓷〉には今っぽい素敵な陶器やカラトリーがあります。〈満月円陶瓷商行〉は大量の陶器製品があって、掘り出し物を探したい人におすすめしたいです。

海外から友だちが来たら連れていきたい場所は?

台北なら、台湾らしい風景の〈龍山寺〉〈迪化街〉です。時間があれば、海鮮料理を食べに、基隆の〈仁愛市場〉に連れていきたいですね!

台北市にある〈大稻埕慈聖宮天上聖母〉。敷地内に屋台がいっぱいあって、大きなガジュマルの樹の下でご飯を食べられる。

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1/台北市にある〈大稻埕慈聖宮天上聖母〉。敷地内に屋台がいっぱいあって、大きなガジュマルの樹の下でご飯を食べられる。
2・3/基隆の〈仁愛市場〉には海鮮料理店がいっぱい。

台湾で旅したい場所は?

まだ行ったことがない場所に行きたいです。澎湖蘭嶼綠島などの台湾の島々には、本島では見られない植物や風景があると聞いています。また、それぞれの島独特の文化や雰囲気にも実際に触れてみたいです。

台湾の住心地は?

台湾は日本と似ているところも多いので住みやすいですが、やはり台北の亜熱帯の気候は慣れるのに時間がかかります。私は肌が弱いので、日焼け止めと日傘は欠かせません。体調管理に関していえば、台湾では漢方医(中医)の診察が保険適用で受けられるのも魅力的です。先生が指で脈をとり、舌や肌を見ながらどの部分の調子が悪いのか判断し、サクサク処方してくれる様子が魔法のようで感動しました。
 
食事に関しては外食が安くておいしいですが、やや脂っこいメニューが多いので、最近は自炊することが多いです。日本で使っていた調味料も手に入りやすく、困ることはありません。なにより果物の種類が多くて安いのは本当にうれしいです。おかげで野菜も日本にいるときより多く食べていると思います。
 
こっちに住み始めた頃は、言葉の壁や気候に苦労し、よく日本が恋しくなっていましたが、最近では台湾での暮らしが本当に気に入っています。とくに、他人の目を気にしすぎず自然体でいられることが何よりの魅力です。いい意味で「人は人、自分は自分」という考え方が根づいていて、私自身も自分らしくいていいのだと思えるようになりました。それでいて、冷たさを感じるわけではなく、困っている人を助ける優しい人が多いのも台湾のよさだと感じています。

Case2

Profile

笠井水亜 

Kasai Mizua

 

職業|ワインショップ〈ARIORI Wine & Food〉オーナー

出身地|新潟県新潟市

いま住んでいる街は?|台南市中西區

何人暮らし?|ふたり

家賃|秘密

Instagram|@ariori_wineandfood

Kasai Mizua

 

職業|ワインショップ〈ARIORI Wine & Food〉オーナー

出身地|新潟県新潟市

いま住んでいる街は?|台南市中西區

何人暮らし?|ふたり

家賃|秘密

Instagram|@ariori_wineandfood

住んでいる街のこと

その街に住んでいる理由は?

2019年に夫が台北に駐在したことがきっかけです。2人で起業するため、2023年に夫が退社して大好きな台南に移住しました。2024年10月に台南にワインショップを開いて、ワインにまつわる仕事をしています。
 
台南市は台湾最古の都市なのですが、とくに私たちが住んでいる中西區は台南の中心エリア。台湾でもっとも歴史と文化が息づく地域の一つで多くの観光スポットがあります。私たちのショップはグルメストリートとして知られる國華街にあります。

あなたの街でお気に入りの場所は?

台南市美術館〉の一館です。新しくできた二館のほうも開放感があっておしゃれで素敵なのですが、一館のレトロな建築、ガジュマルの樹を囲むようにしてできた中庭の雰囲気がとても好きです。

朝ごはんでおすすめのお店は?

🐔〈阿興虱目魚
このお店の魚肚麵線(サバヒーのそうめん)がおすすめです。ミシュランのビブグルマンにも選ばれていて、地元の方だけでなく旅行客にも人気。日本語のメニューはありませんが、紙の注文票に数字を書いて渡せば大丈夫です(前会計)。とても親切な店員さんが席を用意してくれます。麵線と一緒に、名物の蒜頭飯(ガーリックライス)もぜひ頼んでみてください。

昼ごはんでおすすめのお店は?

☀️〈清珍鴨肉羹
鴨肉米粉羹がおすすめです。こちらもローカルなお店のため、日本語メニューはありません。阿興虱目魚と同じく、注文票を渡してください(後会計)。鴨肉飯も絶品で、ラー油をかけて食べるのがおすすめ。おいしいごはんと家族経営のあたたかい接客で、ほっこりします。

コーヒーブレイクにおすすめのお店は?

☕️〈山棲 Suntree〉
私たちのショップの隣にあるおしゃれなカフェ。手づくりスイーツが評判で、土日には行列ができるほど。古民家をリノベーションした店舗は、オーナーのセンスが光るとても心地のよい空間です。

Weekdayの過ごし方

仕事は何をしているの?

実店舗では台南市中西區にてワインショップ〈ARIORI Wine & Food〉日本や台湾のほか世界各地からセレクトしたワインを扱っていて、大部分はいわゆるナチュラルワインです。テイスティングエリアでは角打ちスタイルでボトルワインを飲んでいてただけるほか、日替わりのグラスワインも常時6~8種類提供しています。フードは季節の食材を使ったシンプルなおつまみ(日仏メインの家庭料理)をご用意しています。オンラインではTaiwan Naturelという台湾食材ショップを運営しています。

仕事で大変なことは? うれしいことは?

台湾華語でワインの味わいを伝えることにとても苦労しています。お料理とワインのペアリングを気に入ってもらったときは喜びを感じます。また地元の方々はもちろん観光や仕事で台南にいらした方など、毎日さまざまなお客さまと出会って、お話を聞けることもとてもうれしいです。
 
台北、台中、高雄などの都市部ではワインバーやワインと食事のペアリングを楽しめるレストランが増えてきていますが、台南にはまだあまり選択肢が多くありません。台南にはたくさんのおいしいローカルグルメがあるので、それらの美食とワインを気軽に楽しむ文化が広まってくれたらよいなと思っています。

Weekendの過ごし方

週末は何してる?

お休みの日は夫婦ふたりで、台南のローカルグルメ巡りをしたり、友人や知人のレストランやバーで食事やお酒を楽しんだりしています。また、市場や漁港で買い出しをして、おうちで料理しながらワインを楽しむのも定番の過ごし方です。

最近ハマっていることは?

以前からの趣味ですが、台湾各地のおいしい食材や調味料を探して試すのが好きです。気になるものがあれば取り寄せて、いろいろ食べ比べています。最近は、台湾南部の屏東(ピンドン)という場所で生まれたブランド〈海怪(Sea Monster)〉の魚の生ハムがお気に入りです。彼らのつくるフィッシュソースやチリソースもとてもおいしいので、お店でも販売させてもらっています。〈LE PONT〉のエシャロットコンフィも人気です。茹でた麵や野菜に合えるだけで、おうちでも簡単に台湾の味が再現できます。ぜひ試してみてください。

海外から友だちが来たら連れていきたい場所は?

友だちが遊びに来てくれたときは、蝸牛巷(かたつむり通り)信義街新美街など、台南らしい小道を案内しつつ一緒に散策するのを楽しんでいます。小さな通りに雑貨屋さんやカフェ、ギャラリー、バーなどが点在していて、時間帯によって異なる楽しみ方ができるのも台南の魅力のひとつです。

台湾で旅したい場所は?

台湾ではひととおりいろいろな場所を旅したのですが、離島にはあまり行けていません。まとまったお休みができたら、綠島に旅行したいと思っています。昼間はシュノーケリングやダイビングなども楽しみたいですし、素敵な民宿があればのんびりステイもいいなあと思っています。

台湾の住心地は?

台南では、個人経営の飲食店が定休日以外にもお休みになることがよくあります。最初はその自由さに驚きましたが、住んでいるうちに、台南の人びとが自身の暮らしや幸福度を大切にしながら生きているからなのだと思うようになりました。
 
台南は街全体の雰囲気がゆったりとしていて、人びとも穏やかでやさしく、とても暮らしやすいです。毎日お天気がよくて、おいしいものがたくさんあって、歴史や文化を感じられるスポットがあちらこちらにあって……。朝起きて仕事に向かうたびに「今日もお天気がよくて気持ちいいね」「台南はやっぱり最高だね」と夫と話しています。お休みの日には街歩きやバーホッピング、サイクリング、自然豊かな郊外や海沿いでのドライブなどさまざまな楽しみ方ができるのも気に入っています。

上海に住む友人ファミリーが遊びに来てくれたときに、台南の廟の前で記念撮影。左から2番目が笠井水亜さん。

台湾×野球する編
世界の頂点に立った
台湾野球の軌跡。

月刊TRANSIT/もうひとつの台湾特集

台湾×野球する編
世界の頂点に立った
台湾野球の軌跡。


LEARN

2024.01.18

5 min read

動詞別で台湾を読み深める「もうひとつの台湾特集」の「野球する編」!

この秋冬で台湾全土が一番熱狂したのは野球だったかもしれない。2024年11月9日から24日まで行われた野球の国際大会「プレミア12」。2023年のWBC制覇が記憶に新しい日本勢は当然優勝候補の最有力候補に挙げられたが、その予想を裏切ったのが台湾だった。「強い台湾野球」はどのようにして生まれたのか。その歴史から現在までを振り返る。

Text :Kenichiro Tazawa

2024年11月に行われた野球の国際大会「プレミア12」。決勝戦では台湾が日本を破り初優勝を遂げた。プロが参加する野球の国際大会は複数あるが、プレミア12はワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、五輪(オリンピック)と並び三大国際大会にも数えられるビッグイベントの一つだ。この三大大会で台湾が優勝するのは初である。
 
ただ、台湾野球は1992年のバルセロナ五輪で銀メダルを獲得しているように、1970年代から1990年代にかけ国際大会で存在感を発揮していた。アジアでは日本、韓国と並び「三強」と称され、国際大会でも日本と好勝負を繰り広げることが少なくなかった。だが、2000年代に入ると台湾野球は低迷、アジアでは格下と思われていた中国に星を落とすこともあった。それだけに今回の優勝は、台湾野球の復活を野球ファンに強く印象づけたといえる。台湾国内のニュース番組は連日プレミア12に関する話題で埋め尽くされ、台湾では日本の2023年のWBC優勝を彷彿とさせるほどの盛り上がりを見せた。

2024年11月のプレミア12で、野球の国際大会において初優勝を果たした台湾。

© AFP/アフロ

台湾野球の歴史は古い。そして、その普及には日本も大きく関係している。台湾は1895年から1945年まで、大日本帝国の領土だった。野球はそのなかで日本から流入したさまざまな文化のうちの一つだ。日本統治時代には、春夏の甲子園に台湾代表チームも出場。なかでも出場校の一つである嘉義農林は日本人指導者が強豪に育て、名選手も生まれた。そのエピソードは『KANO 1931海の向こうの甲子園(原題 KANO)』というタイトルで2014年に映画化され、台湾で大ヒットを記録している。
 
終戦後、台湾は日本領から中国大陸における中国共産党との内戦に敗れた中華民国(中国国民党)の本拠地となり現在に至る。その過程で野球は人気スポーツとして市民権を得ていく。1970年代から1990年代にかけては、政府の後押しもあって国際大会で好成績を残すようになる。1990年には待望のプロリーグ「中華職業棒球聯盟(CPBL)」が始まり、1997年にはもう一つのプロリーグ「中華職業棒球大聯盟(TML)」も誕生。台湾野球はますます発展すると思われた。しかし、前述したように2000年代初頭から低迷期に入ってしまう。
 
実は、この2つのプロリーグの並立は野球の興隆ではなく、プロ参入を目指す企業の不認可がきっかけ。いわば対立・分裂したような状態であった。さらに野球賭博のスキャンダルが発生。台湾プロ野球はイメージダウンがつづいた。その影響もあり、1990年代後半からメジャーリーガーを夢見てアメリカに渡る若い有望選手が続出する。2002年にドジャースで台湾発のメジャーリーガーになった陳金鋒などもいたが、多くは選手として未熟な状態での挑戦。成功例は少なかった。
 
その後、2つのプロリーグは2003年に統一され、新たなCPBLとして再スタートを切る。だが、再び野球賭博の問題が発生。若い世代の人材流出が止まることはなかった。2000年代以降の国際大会における台湾の不振は、こうした背景が影響していたのである。

台湾は1992年のバルセロナ五輪で銀メダルに輝いた。

© AP/アフロ

ただ、CPBLは地道に選手強化と環境整備を進め、2010年代の半ばから野球人気は徐々に回復。さらに海外のプロを経験した選手が指導者になり始めると、かつての強さを取り戻していく。その過程では日本人指導者の力も大きかった。
 
設立当初から台湾プロ野球は、戦力外通告を受けた日本のプロ野球選手が新天地としてプレーする場にもなり、日本人指導者もよく招かれていた。だが、台湾でメジャーリーグ志向が強くなると、台湾野球はアメリカンスタイルの影響が色濃くなる。その結果、フィジカル、スタイル的にアメリカを見据えた野球が日本人指導者による野球とマッチしない選手も生まれてしまい、日本的な緻密な戦術などが台湾に浸透しにくくなった。
 
だが、近年は再び日本人指導者の存在感が強まっているという。そこには、日本企業である楽天が2019年に台湾の球団「Lamigoモンキーズ」を買収、「楽天モンキーズ」として積極的な球団運営を展開したことも影響しているだろう。パワーとスピード以外、きめ細やかなプレーやチーム一体となって勝ちにいく姿勢と方法に長けた日本野球の好影響は、攻守に渡って代表チームの強化につながった。

プレミア12で投手陣の柱の一人となった張奕。

© 日刊スポーツ/アフロ

それは今大会のプレミア12の決勝戦、「4対0」というスコアにも表れている。低迷期の台湾は、投手力を筆頭に守りが弱く、台湾プロ野球も打撃戦が目立った。だが、今季日本代表の井端弘和監督が「台湾はどの投手も素晴らしかった」というコメントを残したとおり、投手陣が奮闘。留学して日本の高校野球で育ち、オリックスや西武でもプレーした右腕・張奕の好投も目を引いた。台湾は2000年代以降の課題を克服しての優勝だったといえよう。というよりも、もともと国際大会で強さを発揮していた頃の台湾は、日本の西武で先発投手としてプレーしていた郭泰源など好投手の活躍が印象深かった。その視点から考えると、やはり今回の優勝は、「強さを取り戻した」という表現がふさわしいといえるのではないだろうか。
 
参考文献『真のファンなら知っておきたい野球の世界情勢』(石原豊一/ベースボールマガジン社)

Profile

田澤健一郎(たざわ・けんいちろう)

山形県出身。高校時代は鶴商学園(現・鶴岡東)で三塁コーチやブルペン捕手を務めた元・球児。大学卒業後、雑誌TRANSITの編集など出版社勤務をへてフリーランスの編集者・ライターに。Numberなど野球を中心とするスポーツ、歴史、旅、建築・住宅などの分野で活動中。著書に『あと一歩! 逃し続けた甲子園』(KADOKAWA)がある。

山形県出身。高校時代は鶴商学園(現・鶴岡東)で三塁コーチやブルペン捕手を務めた元・球児。大学卒業後、雑誌TRANSITの編集など出版社勤務をへてフリーランスの編集者・ライターに。Numberなど野球を中心とするスポーツ、歴史、旅、建築・住宅などの分野で活動中。著書に『あと一歩! 逃し続けた甲子園』(KADOKAWA)がある。

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Kei Taniguchi

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