古き良き日本の情緒があふれる城下町と
日本一の農村景観、岐阜県・岩村

連載:47都道府県ローカルのすゝめ|岐阜県vol.3

古き良き日本の情緒があふれる城下町と
日本一の農村景観、岐阜県・岩村

People: 岐阜県

TRAVEL

2025.03.07

3 min read

北は北海道から、南は沖縄まで、ひとくちに日本といっても、食べ物、お祭、習慣、自然が織りなす景色まで個性はさまざま。その土地ならではの愉しみ方は、その土地の人に訊くのが一番!そんな日本各地の地元ネタを集めたのが、この「47都道府県ローカルのすゝめ」です。

今回の岐阜県からの耳より情報は、情緒あふれる城下町や農村景観を有する恵那市岩村町について、岐阜県観光国際部の川崎裕史さんに教えていただきました!

Text:Hiroshi Kawasaki Cooperation:恵那市岩村町

800余年の歴史を有する三万石の城下町

岐阜県の東部に位置する恵那市岩村町。日本百名城に選定され、日本三大山城の一つに数えられる岩村城をシンボルに、山裾に広がる城下町の本通りには、国の重要伝統的建造物群保存地区として、今でも枡形や疎水、商家、旧跡、なまこ壁といった情緒あふれる歴史的・文化的な町並みが残されています。

今回は、そんな古き良き日本の情緒があふれる城下町や、日本一の農村景観を有する岩村の魅力をご紹介します。是非お越しいただき、のんびり散策をお楽しみいただきたいと思います。

圧巻!重厚な石垣はまさに歴史の積み重ね

岩村城は、日本三大山城の一つに数えられる名城で、江戸諸藩の府城の中でも最も高い所(標高717m)に築かれました。高低差180mの天嶮の地形を巧みに利用した要害堅固な山城で、霧の湧き易い気象までもが城造りに活かされており、別名「霧ケ城」とも呼ばれています。
そして、最大の魅力は、天然の地形を巧みに利用し、築き上げた壮大で重厚な石垣です。急峻な山道に、壁のようにそそり立つ石垣が累々と続きます。その総延長は約1.7kmあり、使われている石の数はなんと約4万個とか。迫力あるその姿は、美しさをも感じさせます。
麓には岩村歴史資料館や駐車場がありますので、そこから城攻めをする気持ちで登るのがお薦めです。

かつて16世紀後半の戦乱期には、この地域はたびたび織田と武田の勢力争いの舞台となりました。城主の遠山景任の没後には、信長の叔母で城主の妻だった「おつやの方」が「女城主」となって領民を守ったと伝えられていることから、岩村は「女城主の里」と呼ばれています。
その女城主にちなみ、今でも城下町の店先に揺れる藍染めの暖簾には、それぞれの女将の名前が記されています。

レトロな町並みで食べ歩く

城下町を東西に貫く岩村本通りは全長約1.3km。古くからの建造物には、レトロな看板が掲げられ、落ち着いた町歩きが楽しめます。
通り沿いには、東美濃地域の郷土食である「五平餅」や、岩村藩時代に御殿医が長崎で学んだというポルトガル伝来の「カステーラ」のほか、地元民にも人気の「かんから餅」などのグルメスポットが点在しており、初夏には朴葉寿司が楽しめるなど、食べ歩きにもぴったりです。

岩村の名を冠した老舗酒造「岩村醸造」

そして、本通りの中でも風格ある佇まいがひと際目を引くのが、店を構えて230年を超える「岩村醸造」。暖簾をくぐれば、国内外で数々の受賞歴を誇る銘酒「女城主」を筆頭に、色とりどりに輝く日本酒がずらりとカウンターに並んでいます。また、床にはかつてお酒を運ぶために使っていたトロッコのレールが。レールに沿って歩いていくと、「天正疎水」と呼ばれる生活用の水路が流れる中庭があり、ほっと一息つくことができます。当主と話しながら店内でゆっくりお酒を楽しめる角打ちも人気です。

日本一の農村景観を一望する

さて、岩村本通りから北東へ約 2km。平成元年に「農村景観日本一」の称号に輝いたのが富田地区です。その特徴は、東から西へ少し傾斜した穏やかな盆地の中に、瓦と白壁の昔ながらの農家や土蔵が点在する点と、周囲は緑の低い丘や遠く三河・尾張と境を接する山々が二重三重に連なっている点にあります。
昔ながらの農家や土蔵が並ぶ懐かしい田園をのんびりサイクリングしたり、展望所から美しい日本のふるさとを眺めたりすることができ、四季を通じて遠方からも多くの方々が訪れています。

田園風景と食堂車が魅力的な「明知鉄道」

岩村へのアクセスには、恵那駅からローカル列車「明知鉄道」を是非ご利用ください(約30分)。車窓からは四季折々の田園風景が広がり、のどかな列車旅を楽しめます。
岩村駅からさらに南へ足を延ばせば、細寒天の生産で有名な山岡駅や、大正ロマンを存分に味わえる「日本大正村」がある終点の明智駅へと続きます。明知鉄道では、寒天列車やきのこ列車、じねんじょ列車、桝酒列車など、季節に応じて地元の食材が振舞われる食堂車(要事前予約)があり、大変好評です。

歴史や伝統文化、暮らしを未来へ受け継ぐ

以上、岩村の魅力や見どころをご案内してきました。
岩村城下町は、戦国時代に織田方と武田方との狭間の地にあり、天正3年(1575年)に織田方が攻め入って岩村城を落としたことに伴い、富田地区から現在の場所へ移された経緯があります。以来、生活・防火用水としての「天正疎水」など当時の都市計画のままの城下町が、地域住民の協力により保全、継承されてきました。

2023年には、これらの努力が認められ、「恵那岩村の山城・城下町と農村景観めぐり」が、持続可能な観光プログラム「NEXT GIFU HERITAGE~岐阜未来遺産~」(※)に初めて認定されました。
さらに、今年は現在の岩村城下町が出来て 450 周年を迎えました。
※持続可能な観光の国際指標を取り入れた岐阜県の独自基準により認定された、持続可能な観光の先進的取組みであり、世界から選ばれる旅先となることが期待できる地域・観光プログラム
 
戦国時代から、江戸、明治、大正、昭和などを経て大きく時代が変遷しながらも、先人が大切にしてきた文化や英知を次世代へつなぐ岩村。情緒あふれる「女城主の里」をいつでも何度でも訪れていただきたいと思います。

Information

協力:岩村町
アクセス情報(岩村町観光協会):https://iwamura.jp/

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Yayoi Arimoto

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