連載:いいちこパーソンに広がる世界の風景
舗装路はいつの間にか砂利道になり、気づけば道なき荒野を走っていた。バックミラーには巻き上がる土煙が映り、車窓からは半日以上も同じ景色が流れている。腰が浮くほどの揺れにも慣れた頃、小さなゲルの前で車が停まった。「ここから先は、馬に乗っていく」と、道案内の若者が車の荷台から鞍を降ろし、草を食む白馬にしつらえた。
おそるおそる馬に乗る。バイクでもなく、自転車でもなく、意思をもった生き物に乗っている感覚に戸惑いを覚えつつも、軽快なリズムで褐色の大地を進む。馬上からの高い視野はモンゴル旅の醍醐味のひとつだろう。しかし手綱を引き思い通りに馬を操るのは難しい。若者は時折振り返り、四苦八苦する異邦人を見て笑っていた。
小高い丘に辿り着くと、村人すべてが集結しているのかと思うほど熱気に包まれていた。今日は馬術を競うお祭りなのだという。ひときわ大きな馬に跨る男たちの顔には緊張感がみなぎっている。女性たちは華やかな民族衣装を纏い、料理を作ったり飲み物を配ったりと忙しそうだ。子どもたちも、かわいらしい身なりで祭りを盛り上げている。
ゲルの中には「トゥス・キーズ」と呼ばれる鮮やかな壁掛け布が飾られ、観覧客も出場者も交じって食卓にずらっと並ぶ民族料理を囲んでいる。なかでも羊肉を塩で煮込んだ「チャンサンマハ」は骨についた肉を豪快にナイフで削ぎ落としながらいただくごちそうだ。シンプルな調理方法がゆえに素材の滋味深さが沁みる。たまらずいいちこパーソンをストレートで。口の中に広がる羊肉の独特な風味と麦焼酎ならではの爽やかな味わいが交差する。
大きな歓声が外から響く。ゲルから飛び出すと、男たちは馬を猛スピードで走らせ競っている。地響きのような振動が足から伝わってくる。「モンゴルでは物心つくまえに馬の乗り方を覚えるんだ」と話していた若者の言葉が蘇る。優れた馬術は騎馬民族の伝統なのだ。村へと戻る道すがら、ふいに暴れだす馬。慌てる自分を見かねて若者が手綱を引く。やれやれ、人馬一体までは遥か遠いか。ポケットのなかでいいちこパーソンが揺れていた。
いいちこパーソン
「すこし飲んで、すこし旅する。」のキャッチコピーそのままに、ポケッタブルな小型のボトルは携帯がしやすく旅におすすめ。うまさを吟味したワンランク上の「いいちこ」は、水割り、オン・ザ・ロックス、そしてお湯割りにも。
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問:三和酒類株式会社
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