瀬戸内のローカル街めぐり
尾道編/喫茶店、バー、巨石トレッキング
 by シネマ尾道、あなごのねどこ、
LOG、TRANSIT編集部

月刊TRANSIT/瀬戸内一周!

瀬戸内のローカル街めぐり
尾道編/喫茶店、バー、巨石トレッキング
by シネマ尾道、あなごのねどこ、
LOG、TRANSIT編集部

TRAVEL&EAT

2025.04.23

10 min read

瀬戸内めぐりの拠点にしたい各街のキーパーソンに、それぞれのおすすめのスポットを教えてもらう企画。
今回は広島の尾道編。創業半世紀以上の喫茶店や老舗バー、巨岩トレッキングまで!? 千光寺やしまなみサイクリングだけではない、ディープな尾道の魅力に迫ります。

Text:TRANSIT

尾道Navigator①

Profile

NPO法人シネマ尾道代表理事/シネマ尾道支配人

河本清順(かわもと・せいじゅん)

尾道市生まれ。京都の服飾専門学校卒業後、地元アパレル企業に勤務。19歳でUターンし家業を手伝うなか、映画館のない状況に危機感を抱き「尾道に映画館をつくる会」を結成。2008年、シネマ尾道をオープン。

尾道市生まれ。京都の服飾専門学校卒業後、地元アパレル企業に勤務。19歳でUターンし家業を手伝うなか、映画館のない状況に危機感を抱き「尾道に映画館をつくる会」を結成。2008年、シネマ尾道をオープン。

Information

シネマ尾道

2008年に開館した市民発の映画館。地元のボランティアや常連客に支えられ、今では年間約2万人が訪れる文化の拠点となっている。映画上映だけでなく、小学校での映画授業やワークショップも行い、地域に映画の魅力を広げている。

住所

広島県尾道市東御所町6−2

開場時間

朝1回目の回は上映開始15分前、2回目以降は上映開始20分前

01

〈シネマ尾道〉河本清順さんのお気に入り

喫茶メキシコ

扉を開けると広がるレトロな空間と自家焙煎コーヒーの香りに思わずうっとり。終日提供される「一日中モーニング」(550円)は尾道名物として地元客に親しまれている。「半世紀以上、尾道本通り商店街で営業している老舗喫茶店。尾道を訪れる映画人たちからも愛されているお店です(河本)」

住所|広島県尾道市土堂1-3-33
営業時間|9:00~18:00(月〜土曜)
定休日|日曜

尾道浪漫珈琲本店

尾道に5店舗、広島市内に3店舗を展開する地元密着型のチェーン店。サイフォンで丁寧に抽出する自家焙煎コーヒーのほか、本店限定のコーヒーゼリーパフェもおすすめ。「尾道本通り商店街にある老舗の珈琲専門店。昭和レトロな雰囲気と香り高い珈琲の味が最高です(河本)」

住所|広島県尾道市十四日元町4-1
営業時間|8:30〜18:00(月〜金曜)、8:00~18:30(土日祝日)
定休日|元旦
Instagram|@romancoffee_001

みち草

尾道駅から徒歩数分の海鮮居酒屋。刺身、煮付け、塩焼き、唐揚げなど、旬の魚をさまざまな調理法で味わえる。仕事帰りの常連客で賑わい、店主だけでなく客同士の距離も近い。「老夫婦が営む地元の人に愛されるお店。店主が昭和ギャグで話しかけてくるアットホームな雰囲気です(河本)」

住所|広島県尾道市東御所町3-4
営業時間|12:00〜14:00、17:00〜23:00(金〜水曜)
定休日|木曜
Instagram|@michikusa.onomichi

福本渡船乗り場

明治22年に創業し、尾道市街と向島を結んできた渡船、通称「1円ぽっぽ」の発着所。2025年3月31日に運行を終了した。「2025年に135年の幕を閉じた渡船乗り場。『さびしんぼう』など数々の尾道映画のロケ地としても有名な尾道らしいスポットです(河本)」

住所|広島県尾道市土堂 1-12-8

尾道Navigator②

Profile

漫画家/ゲストハウスあなごのねどこ寝床長

つるけんたろう

1977年生まれ、熊本県阿蘇出身。東京で細々と漫画やイラストを描いて生活していたが、2008年、広島県尾道へ移住。〈あなごのねどこ〉のデザインと運営を手がけた縁で店長兼オーナーになる。尾道移住からゲストハウスのオープンまでの顛末を描いた自著漫画も絶賛発売中。

1977年生まれ、熊本県阿蘇出身。東京で細々と漫画やイラストを描いて生活していたが、2008年、広島県尾道へ移住。〈あなごのねどこ〉のデザインと運営を手がけた縁で店長兼オーナーになる。尾道移住からゲストハウスのオープンまでの顛末を描いた自著漫画も絶賛発売中。

Information

尾道空き家再生ゲストハウス「あなごのねどこ」

​尾道市の商店街に位置する、築約100年の町家を再生したゲストハウス。​間口が狭く奥行きが深い造りから、瀬戸内名産の穴子にちなんで名付けられた。​1階の商店街側は 〈喫茶あくび〉として営業し、裏手が宿泊スペースとなっている。​尾道空き家再生プロジェクトが手掛け、昭和の学校をテーマにした内装が特徴。

住所

広島県尾道市土堂2-4-9

01

〈あなごのねどこ〉つるけんたろうさんのお気に入り

洋酒喫茶ロダン

店主の貝殻コレクションに圧倒される老舗バー。「深海に昭和が生きたまま沈んで音楽が響いているようなイリュージョン的夜の茶店。貝と音楽に囲まれた幻想的な空間に、昭和の気配が今も息づく。もしデヴィッド・リンチが尾道に来たらさぞ喜んだであろうが、それももう叶わない(つる)」

住所|広島県尾道市久保2-14-13
営業時間|19:00~23:00(月〜土曜)
定休日|日曜、祝日

© yumi (google)

© tomocom (google)

千光寺頂上展望台 PEAK

千光寺公園に2022年に新たにできた展望台。デッキからは尾道水道や遠く瀬戸内の島々まで見渡せる。「1950〜60年代のヌーヴェルヴァーグやATG映画のようなシーンが撮れそうなモノクロ建築。そうしたお洒落な気持ちで展望台にあがるけど、ナナフシ系の棒状昆虫の背中に乗っているような気分にならなくもない。良い意味で(つる)」

住所|広島県尾道市東土堂町20−2 千光寺公園内

© K.F.

石鎚奥の院鎖道

巨石、巨岩の多い尾道には鎖場がいくつかあり、古の登山信仰を今に伝えている。「岩が多い。尾道まで来てなぜに岩山なんかを見るのか。別に鎌倉とかでもいいじゃないか。そんな感じで気持ちがはっきりしないまま、岩山を鎖でたぐって登ってみるのもいいでしょう(つる)」

住所|広島県尾道市東久保町22-17

© Dokudami

尾道Navigator③

Profile

LOG尾道支配人

小林紀子

2014年株式会社せとうちクルーズ入社。尾道の山手エリア担当として、現在は〈LOG〉と〈せとうち 湊のやど〉の支配人を務める。休日は〈シネマ尾道〉で映画を観たり、〈尾道市立美術館〉を訪れたり、尾道のなかでのんびり過ごすことが多い。

2014年株式会社せとうちクルーズ入社。尾道の山手エリア担当として、現在は〈LOG〉と〈せとうち 湊のやど〉の支配人を務める。休日は〈シネマ尾道〉で映画を観たり、〈尾道市立美術館〉を訪れたり、尾道のなかでのんびり過ごすことが多い。

Information

LOG

築50年の集合住宅を再生し、2018年に誕生した滞在型文化施設。建築・設計は、インドの建築集団「スタジオ・ムンバイ」が手がけ、静けさや自然との調和を重視した空間が特徴。宿泊、ギャラリー、ショップ、カフェなどがゆるやかにつながり、まちと共に時間を紡ぐような体験を提供している。夕食では、料理家・細川亜衣が監修する季節のコースを提供。瀬戸内の旬をふんだんに使った7皿の料理は、全国の作家による器に盛りつけられ、約2時間にわたる“食の旅”が楽しめる。カフェやディナーのみの利用も可能で、尾道の街を見下ろしながら五感を解き放つ特別な時間を過ごせる。

住所

広島県尾道市東土堂町11-12

開門時間

AM7:00〜日没まで

01

〈LOG〉小林紀子さんのお気に入り

紙片

「細い通路の奥にひっそりと現れる小さな書店。店主が選んだ本と、静かな読書時間に寄り添う音楽(CD)を扱っています。定期的に開催される展示会も毎回素敵です! LOGのライブラリーにある本の一部も、ここから購入させていただいています(小林)」

住所|広島県尾道市土堂2-4-9
営業時間|13:00〜18:00(金〜水曜)
定休日|木曜
Instagram|@shihen_onomichi

LLOVE HOUSE ONOMICHI

「建築家の長坂常さんがLOGに宿泊された際に“ひとめぼれ”した物件で、スキーマ建築計画が設計した文化複合施設。不定期で開催されるイベントは毎回素晴らしく、国内外からファンが集まります(小林)」

住所|広島県尾道市東土堂町8-28
Instagram|@llovehouse_onomichi

LAPPAN

「ご夫婦で営まれているカウンターのみの小さなお店。株式会社せとうちクルーズに入社した11年前、先輩に初めて連れて行ってもらったお店で、それ以来ずっと通っています。とくに『おつまみパラダイス』と『港町のナポリタン』がおすすめです(小林)」

住所|広島県尾道市十四日元町2-20
営業時間|15:00〜0:00(金〜水曜)
定休日|木曜

“おつまみパラダイス”。

© Kero Kaeru (google)

尾道市立美術館

「しまなみ海道を一望する千光寺公園にある市立美術館。建築家の安藤忠雄氏が設計した新館と寄棟の瓦葺き屋根の本館が隣接するかたちでつくられています。建築だけでなく、企画展も素晴らしい地元民自慢の美術館です(小林)」

住所|広島県尾道市西土堂町17-19
開館時間|9:00〜17:00 (入館は16:30まで)
閉館日|月曜(祝日の場合は翌日)、年末年始
公式HP|www.onomichi-museum.jp

© Noriko Kobayashi

ONOMICHI U2内 The Restaurant

「谷尻誠氏と吉田愛氏が代表をつとめるSuppose Design Officeが手がけた複合施設〈ONOMICHI U2〉内のレストラン。サラダとパンのビュッフェが楽しめるランチタイムがオススメです。個人的には開業以来ずっと人気の『レモンピッツァ』が大好き(小林)」

住所|広島県尾道市西御所町U2
営業時間|11:30 – 15:00/17:30〜21:30(土日祝日のランチタイムは16:00まで)
Instagram|@onomichi_u2

あん穏

「尾道の商店街に佇む隠れ家。瀬戸内の食材を使ったコース料理を提供し、予約制でランチも対応してくださいます。日本ワインや日本酒も豊富に用意されていますが、お酒を飲まない方にもお茶やお酢のモクテルなどが用意されており、どの世代の方にもオススメできるお店です(小林)」

住所|広島県尾道市久保1-9−2
営業時間|18:00〜(木〜火曜)
定休日|毎週水曜、第三火曜
公式HP|https://onomichi-annon.jp/

尾道Navigator④

Profile

TRANSIT編集部

佐藤桂子

仕事やプライベートで年に一度は瀬戸内へ。尾道を拠点にすることがもっとも多く、ローカルな酒場をハシゴするのが毎度の楽しみ。山と海に囲まれたわずかな土地ながら、喫茶店、古書店、映画館、ギャラリー、酒場、銭湯、寺院など、あらゆるカルチャーが凝縮された尾道に毎度魅了されている。

仕事やプライベートで年に一度は瀬戸内へ。尾道を拠点にすることがもっとも多く、ローカルな酒場をハシゴするのが毎度の楽しみ。山と海に囲まれたわずかな土地ながら、喫茶店、古書店、映画館、ギャラリー、酒場、銭湯、寺院など、あらゆるカルチャーが凝縮された尾道に毎度魅了されている。

TRANSIT編集部のお気に入り

パン屋航路

尾道本通り商店街にあるベーカリー。7:00からの営業で、朝から多くの地元客で賑わっている。食パン、クロワッサン、ベーグル、菓子パン、惣菜パンなどなど、小さな店内に魅力的なラインナップがギュッとひしめき、ついつい買いすぎてしまう。購入後は尾道駅前広場のベンチで、行き来する船を眺めながら頬張りたい。

住所|広島県尾道市土堂1-3-31
営業時間|7:00〜18:00
定休日|不定休
Instagram|@panyakoro

尾道ゲストハウス みはらし亭

尾道きっての名刹・千光寺のお膝元に位置するゲストハウス。坂の上にせり出すように建てられた別荘建築からの眺めは絶景。その名の通り、尾道水道から遠く瀬戸内の海まで望める見晴らしの良さが人気を集める。大正10年に建てられた由緒ある建物ながら、手頃な値段で泊まれるとあって外国人客やサイクリストにも人気。カフェのみの利用も可能なので、千光寺への観光がてらぜひ立ち寄りたい。

住所|広島県尾道市東土堂町15-7
営業時間|カフェ11:00〜22:00
Instagram|@miharashitei

04

きっ粋

尾道本通り商店街にある、少しだけ入り口が奥まった居酒屋。お造りや地だこの天ぷらなど瀬戸内の食材を使ったメニューはもちろん、牛すじや唐揚げ、玉子焼きなどの居酒屋メニューも充実している。地酒も豊富に揃うので、おすすめとともに地場の味を堪能したい。カウンターには100年ほど前に撮影された、尾道の様子がわかる貴重な写真が展示されている。

住所|広島県尾道市土堂2-7-4
営業時間|18:00〜23:00
定休日|不定休

03

鉄板や 海物

夜な夜な地元客が集まる鉄板居酒屋。扉を開けた瞬間に広がる懐かしさに満ちた空間と、怪しく光る水槽が目を引く。ちょうどよいポーションの料理を小気味よいテンポで提供してくれ、観光客ながら分け隔てなく迎えてくれる店主の接客も心地よい。尾道ラーメンデビューもここで果たした。

住所|広島県尾道市土堂1-9-1
営業時間|18:00〜0:30
定休日|火曜休

03

たまがんぞう

向島との連絡船が発着する船着場の目の前に位置。海の幸をふんだんに使ったメニューが勢揃いで、観光客や地元の団体客などで常に賑わっている。旬の魚のカマ塩焼きやカシラごと提供される煮付けなど、海の恵みを余すところなく味わえる料理はどれもハズレなし。つくね串や揚げ出し豆腐などの定番メニューも絶品。

住所|広島県尾道市土堂1-11-16
営業時間|17:00〜22:00
定休日|月曜休
Instagram|@tamaganzou.onomichi

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Yayoi Arimoto

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