仏教寺院というと、伝統と信仰心が息づく、厳かで格式高い印象だ。 だが、タイのそれはひとくせも、ふたくせもある。 自然に溶け込むミステリアスな場所から、テーマパークのように広大な寺院まで。 タイのふしぎなお寺、詣でてみませんか? 写真家・佐藤健寿さんがセレクトした5つの珍寺をご紹介。
photography & text=KENJI SATO
タイ仏閣界に降臨したニュータイプ・ブッダ
「ガラスの崖の上に立つ寺」を意味するワット・プラタート・パーソーンケーオは2004年に建立されたまだ新しい寺院。タイ中部ペッチャブーン県、緑深いカオコーの山岳部に建っている。この寺のシンボルは、五重に折り重なるアバンギャルドな巨大仏像。元々画家でもある僧侶が自ら発案し、雲上から下界を見下ろすような姿で鎮座している。仏像の周辺に建つ、500万もの貝殻を張り合わせて作ったモザイク寺院も圧巻である。
ワット・プラタート・パーソーンケーオ/Wat Prathat Phasornkaew
ペッチャブーン市街から北へ約62㎞、車で約1時間。ピッサヌロークからも1時間40分ほど。
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インディ・ジョーンズみたいな洞窟寺院
ペッチャブリー県に位置する神聖な洞窟。アユタヤ王朝の時代にはその存在が記録されており、19世紀にこの洞窟を訪れたラーマ4世が、そこで中世に信奉されていた仏塔やブッダの足跡を象った遺物などを発見したといわれている。そうした経緯からラーマ4世はこの洞窟を神聖な場所として整備し、仏像を置き、聖地として再建した。天気のいい日は天岩の割れ目から太陽光が差し込み、神秘的な光景を見ることができる。
カオ・ルアン洞窟/Khao Luang Cave
ホアヒンから北に約70㎞、車で1時間半。バンコクから南西に約140㎞、車で2時間半。
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田園風景の中に現れる黄金の巨大仏像
美しい田園風景が広がるアーントーン県。その田園のはずれに突如として現れる黄金の巨大仏像が、ワット・ムアンの目印である。もともとアユタヤ王朝時代には寺院があったようだが、ビルマとの戦争により一度全壊。その後1980年代に新たに建立された。目玉となるのは高さ93mを誇り、タイ最大といわれる黄金の仏像。一方、人びとに人気の地獄セクションも抜かりなく設置され、徳を積みつつ地獄を楽しむという充実の寺体験を提供している。
ワット・ムアン/Wat Muang
アーントーンまではバンコクから北へ車で約1時間40分。アーントーン市街から西へ約8キロメートル。
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チェンラーイに現れた青きニューカマー
2009年、チェンラーイ市内に建てられた「青の寺」。もとは古くからこの地に寺が建っていたが、自然災害で全壊。その後1996年に市民らの間で再建計画がもちあがり、2016年に再建された。デザインを担当したのは、今や世界的に有名な「白の寺」、ワット・ロンクン(本頁下)をデザインしたチャルーンチャイ・コーシピパットの教え子であるという。まだ師匠の寺ほどには知られていないが、欧米の観光客らを中心に人気を集めている。
ワット・ロンスアテン/Wat Rong Sua Ten
チェンラーイ市街から北へ約4㎞、車で10分。
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SNSで絶大な人気を誇るエメラルド仏塔
バンコク郊外に建つ寺。もとはアユタヤ王朝時代に起源をもつが、2012年に豪奢なエメラルド仏塔が建てられて話題となった。昨今ではタイきってのインスタ映えスポットとして、多くの観光客がつめかけるようになった。国全体に数多くの寺があるタイにおいて、寺がどうほかの寺と差別化するかは、存亡をかけた至上命題である。それゆえ昨今では各寺はさまざまな仕掛けや演出を用意しているが、なかでもこの寺の映え具合は群を抜いている。
ワット・パークナム/Wat Paknam Phasicharoen
バンコク・トンブリー地区のMRTバンパイ駅より徒歩約12分。正式名称はワット・パークナム・パーシーチャルーン。
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