映画のワンシーンのような物語を感じさせる瞬間を切り取る写真家の林将平さん。 今回はそんな彼が初の個展を開催すると聞き、 茗荷谷にある〈encounter gallery〉を訪ねた。写真展「何分後かに、シャローで」は、悲しみの果てに辿り着いた主人公が心の扉をひとつずつ開けていくなかで出会った風景、そして一人の少女、それらを写した写真とともに言葉を添えて、8つの章で構成した物語となっている。
B0サイズのカルデラと少女の写真が太陽と月のように背中合わせで存在する。その2枚を囲むようにレイアウトされた写真からは、祈りのような尊い気配が漂う。
入り口で、ブックレットが手渡される。写真集と同じ比率でデザインされた無機質な上質紙には、数行の言葉が並ぶ。実はギャラリーの写真の配置に符合するように言葉が並んでいて、暗号を解くように、写真と言葉を見合わせる仕掛けになっているのだ。
Chapter 1
つばをのんでも耳はきこえるようにはならない
どれだけ深く致命的に失われていても、身体の輪郭までもがぼやけることはない
そばにあるのは、存在ではなく、かたちある不在だった
あたりの風景と心象風景を紡いだ詩的で儚い文章は、写真と繊細に絡み合うことで見るものを物語の奥深いところに連れていく。
1周目は言葉に目を伏せて、2周目は言葉に目を向けて作品を見るのもいいかもしれない。それぞれの思う間(ま)で、写真と言葉を頭の中で組み合わせることができるのが、この展示の楽しみ方のひとつ。
そして、本展に伴い写真集『何分後かに、シャローで』の販売も開始。
柔らかい海を潜っていくように表紙を開くと、コデックス装で製本された8章の物語がはじまる。
4:5の比率で装丁された写真集の判型が、どっしりとした写真の印象をそのままに伝える。静寂でいて神聖な世界観が真っ直ぐに見る人のもとに届く。
泡沫のような時間が流れる写真展「何分後かに、シャローで」。是非、足を運んでほしい。
写真家
林 将平
1995年生まれ。富山県出身。大学在学中から青山スタジオに勤務、2019年山﨑泰治氏に師事。2023年独立。ポートレート写真を主軸にジャンル問わずに活動中。
1995年生まれ。富山県出身。大学在学中から青山スタジオに勤務、2019年山﨑泰治氏に師事。2023年独立。ポートレート写真を主軸にジャンル問わずに活動中。
写真展「何分後かに、シャローで」
会期
場所
営業時間
写真集『何分後かに、シャローで』
写真・文
編集・デザイン
印刷・製本
サイズ
ページ
仕様
価格
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