観覧者も担ぎ手をも
魅了する愛媛の秋祭り
「新居浜太鼓台祭り」

連載:47都道府県ローカルのすゝめ|愛媛県vol.1

観覧者も担ぎ手をも
魅了する愛媛の秋祭り
「新居浜太鼓台祭り」

People :愛媛県

TRAVEL

2024.10.04

3 min read

北は北海道から、南は沖縄まで、ひとくちに日本といっても、食べ物、お祭、習慣、自然が織りなす景色まで個性はさまざま。その土地ならではの愉しみ方は、その土地の人に訊くのが一番!ということで、連載「47都道府県ローカルのすゝめ」はじまりました。

四国の愛媛県からの耳より情報は、とある秋祭りについて。教えてくれたのは、東京で愛媛の観光・物産の魅力の発信に取り組んでいる愛媛県東京事務所の大西佑宜さん!

Photo : 一般社団法人新居浜市観光物産協会、愛媛県観光物産協会

Text :Yuuki Onishi Special Thanks=愛媛県観光国際課・東京事務所/新居浜市観光物産課

愛媛県ってどんなところ?

愛媛はいったいどんなところなのか? まずはそこから話をはじめましょう。

愛媛県は四国の北西に位置し、北側には瀬戸内海に面した平野が広がり、南側には西日本でもっとも高い石鎚山(1,982m)がそびえています。瀬戸内海・宇和海には200余りの島々があり、海・山両方の美しい自然に恵まれているのが特徴です。

愛媛といえば「ミカン」のイメージが強いと思いますが、愛媛では一般的な品種の温州みかんだけでなく、中晩柑とよばれるさまざまな品種を生産しており、柑橘類の生産量は全国1位を誇ります。愛媛オリジナルの品種も多数つくられており、シャキシャキとした歯ごたえと噛むほどに濃厚な甘みが広がる「甘平」や、ゼリーのようにプルプルなめらかな果肉が特徴の「紅まどんな」といった品種は、贈答用としても人気があります。

また、愛媛は魚の飼育にベストな環境がそろっていることから養殖業が盛んで、魚類養殖生産量は44年連続で1位を獲得する水産王国でもあります。全国シェア50%以上を誇る真鯛を使った絶品料理「鯛めし」はエリアによって2つの食べ方があり、鯛を土鍋や釜に入れて炊き込むものと、鯛の刺身を特製のたれに付け込んで、薬味と一緒に混ぜたものをご飯のうえにかけて食べるものとがあります。是非愛媛をご旅行の際には、柑橘や魚をはじめ、愛媛の美味しい料理もご堪能ください。

新居浜は、秋がアツい!「新居浜太鼓台祭り」

ようやく夏の暑さも和らぎ、少しずつミカンの出荷がはじまる10月。
10月中旬ごろになると、全国にいる愛媛県新居浜市(にいはまし)の出身者がこぞって地元に帰りはじ始めます。お盆や正月の時期でもないのに、なぜ彼らは地元に戻るのでしょうか。
 
四国のほぼ中央に位置する新居浜市は、北は瀬戸内海、南に赤石山系の山々が連なる、海と山に囲まれた自然豊かな土地で、別子銅山(べっしどうざん)の開坑以来、銅(あかがね)の街として発展しました。そんな新居浜で10月中旬に行われるのが、四国三大祭りの1つにも数えられる「新居浜太鼓祭り」です。

新居浜の太鼓台は、もともと豊年の秋を感謝して氏神に奉納していたもので、幕末から明治時代初期の太鼓台は、現在の子ども太鼓台くらい(約3m)の大きさしかありませんでした。別子銅山の隆盛によって地域経済が発展すると、太鼓台を所有する地域の対抗意識が高まったことで、大型化や装いも豪華になったといわれており、現在の太鼓台は高さ約5.5m、重さ約3tに達します。

金糸刺繍による豪華な幕で飾られた太鼓台には、太鼓台のある地区に住んでいる人や地縁のある方で構成される150人余りの「かき夫」と呼ばれる男衆がつき、太鼓台から打ち鳴らされる太鼓の音、運行を仕切る4人の指揮者の笛、揃いの法被に身を包んだかき夫のかけ声によって市内を練り歩きます。
 
複数の太鼓台が一箇所に集まり、街を練り歩く際に取り付けていたタイヤを外し、かき夫の力だけで支えかつぐ「かきくらべ」は、新居浜太鼓祭り最大の見どころです。
 
かき夫を鼓舞するように太鼓が早打ちされ、指揮者の絶妙な指示で太鼓台を肩にかつぎ上げ、さらに「差し上げ」と呼ばれる両手を伸ばして持ち上げる様を競い合う、まさしく男衆の力比べ、技比べです。
この男衆の祭りにかける情熱が観衆にも呼応し、人波に押され、祭りは最高潮に達します。
かきくらべは、祭り期間中、市内各所で繰り広げられています。

なお、夜に運行される際には太鼓台のライトアップも行われますが、金糸が光り輝き、昼とは違った美しさで観客を魅了します。ぜひ昼夜、両方の太鼓をみてほしいものです。

ちなみに、こうした最高のパフォーマンスを披露するため、各地区では祭りのひと月前くらいから太鼓の練習が始まります。とくに、複数台が一斉に差し上げる寄せ太鼓は、それぞれの指揮者・太鼓の息を合わせないと成功しないため、練習のときからみな真剣です。
 
祭り期間中は、太鼓台とともに市内を練り歩くだけでなく、かきくらべでは約3tの重さを担ぎ上げるため、かき手の労力は想像以上に大変なものですが、その表情はみな充実感に溢れているように見えます。祭りの雰囲気や高揚感、地域の顔である太鼓台を一丸となって盛り上げる一体感、久々に顔を合わせる顔なじみとの交流など、その理由はさまざまですが、新居浜太鼓祭りが担ぎ手にとっても魅力的であるのは間違いなく、だからこそ、たとえ新居浜を離れたとしても、祭りの時期には地元に戻りたくなるのでしょう。
 
担ぎ手だけでなく観ている人も虜にする新居浜太鼓祭りは、毎年10月16日~18日(大生院地区は15日~17日)の3日間、開催されています。8地区・全54台の躍動する太鼓台に、あなたも酔いしれてみませんか?

Information

新居浜太鼓祭り

日時

毎年10月16日~18日(大生院地区は15日~17日)

場所

愛媛県新居浜市8地区

*運行情報などの詳細は、決まり次第、新居浜市のホームページ等でお知らせします。

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Masumi Ishida

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