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1959年の今日は、東京上野に国立西洋美術館がオープンした日。
国立西洋美術館は、大正から昭和にかけ川崎造船所の社長を務めた松方幸次郎がヨーロッパ各地で蒐集した「松方コレクション」を所蔵・展示するために創設されました。
クロード・モネ『睡蓮』
第二次世界大戦後、フランス政府に所有権が移った松方コレクション。しかし1951年のサンフランシスコ平和条約の際、条約調印を担った吉田首相がフランス外相にコレクションの返還を申し入れます。両者が交渉をつづけた結果、2年後の1953年、日本側が東京にフランス美術館を創設することを条件に返還が了承されたのです。
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美術館の設計者に抜擢されたのは、近代建築の巨匠ル・コルビュジエ。1939年、彼は北アフリカの『フィリップヴィル市の美術館計画案』において「無限成長美術館」というプロトタイプをまとめていました。第二次世界大戦によりその実現の機会を失ったこの案は、戦後インドと日本で実現することになったのです。
西洋美術館には、「無限成長美術館」の特徴とされるピロティ、スロープ、四角い螺旋状の展示回廊、卍型の中3階などがみられ、コルビュジエの美術館作品のなかでも完成度の高さを誇ります。
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それを裏付けるかのように、2007年には国の重要文化財に指定され、2016年にはこの本館を含む国立西洋美術館が世界文化遺産に登録されました。
所蔵作品にはモネ、ルノワール、セザンヌ、ゴッホと、20世紀を代表する画家が名を連ね、常設展だけでも十分な見応え。
ルノワール『アルジェリア風のパリの女たち』
世界の美術館へなかなか足を運べない今だからこそ、国内屈指のコレクションと建築をぜひ楽しんでみてください。
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Yayoi Arimoto
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Yukimi Nishi
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