なにもないが心地よい?
小値賀の島旅へ!

連載:47都道府県ローカルのすゝめ|長崎県vol.1

なにもないが心地よい?
小値賀の島旅へ!

People :長崎県

TRAVEL

2024.11.22

4 min read

北は北海道から、南は沖縄まで、ひとくちに日本といっても、食べ物、お祭、習慣、自然が織りなす景色まで個性はさまざま。その土地ならではの愉しみ方は、その土地の人に訊くのが一番!ということで、連載「47都道府県ローカルのすゝめ」はじまりました。

九州の長崎のことを教えてくれたのは、長崎県ながさきPR戦略課の川原尚滉さん!

Text:Naohiro Kawahara  Special Thanks:長崎県、小値賀町、おぢかアイランドツーリズム

長崎県ってどんなところ?

長崎県をひと言で表すなら、海外との交流の歴史と美しい自然や豊富な食に恵まれた県です。 
長崎県は島の数が日本一で、県の総面積の約4割を占めています。また、海岸線の長さも北海道に次いで日本で二番目です。
そして海に面した長崎県は、古代から日本と大陸の架け橋でした。長崎の離島、壱岐(いき)は弥生時代に海上交易で王都を築き、対馬(つしま)は中世以降、朝鮮との貿易の拠点として栄えました。そして江戸時代には、出島は日本で唯一西洋に開かれた窓口でした。県内各地にはそうしたほかの地域と交流してきた歴史を物語る文化財などが数多く残っています。

九十九島(くじゅうくしま)。全域が西海国立公園に指定されている。

© 長崎県観光連盟

また、長崎県には世界文化遺産が2つあります。
1つ目は野崎島の集落跡(小値賀町)を含む12の資産で構成する「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」。2つ目は端島炭坑(軍艦島)や旧グラバー住宅など県内8資産を含めた全23資産で構成する「明治日本の産業革命遺産」です。

五島列島の北東部に位置する野崎島の集落跡。

© 長崎県観光連盟

通称・軍艦島と呼ばれている端島炭坑。

© 長崎県観光連盟

さて、長崎の食といえば、カステラ・ちゃんぽん・皿うどんを思い浮かべる方も多いと思いますが、島が多いということは、漁業も盛んで、長崎県は魚介類の宝庫でもあります。クロマグロや、マアジのほか、サバ類、ブリ類、タイ類などの漁獲量は日本一です。

明治時代、長崎市の中華料理店で生まれたといわれる「ちゃんぽん」。

© 長崎県観光連盟

クロマグロ

マダイ

長崎県に足を運んでいただけたら、歴史に触れながら自然を満喫して、新鮮で豊富な海の幸も堪能することができますよ。

なにもない時間が、ここにはある!

”日本一島が多い県”ということで、今回は小値賀島(おぢかじま)を中心とした小値賀町に目を向けたいと思います。
 
大きな島ではありませんが、町や関係団体がツーリズムに力を入れていて、近年、国内だけでなく海外からも観光客が増えており、外国人から人気の島なのです。
 
小値賀町は五島列島の北端に位置し、大小17の島からなる火山群島で、雄大で美しい独特の景観、海岸美からそのほとんどが西海(さいかい)国立公園に指定されています。人口2100人ほどで、24時間営業のコンビニや大型スーパーなどはありません。懐かしい日本の原風景が残る島として「日本で最も美しい村連合」にも加盟しています。

五島列島北端に位置する小値賀島。

魚介類も豊富で、小値賀町で捕れるブランド魚のイサキ「値賀咲(ちかさき)」や太刀魚「白銀(はくぎん)」、高級魚であるクエも水揚げされていて、これから冬場に旬を迎えます。
 
クエは九州地方では「アラ」と呼ばれ、大きいものは全長1m、体重30㎏を超えるまで成長するといわれており、長崎県では種苗(稚魚)の放流を行うなど、資源を増やす取り組みに力を入れています。クエの特長は白身の繊細さとクセのない上品な旨味です。刺身や煮つけ、唐揚げなど、さまざまな調理方法で楽しめますが、とくに鍋は身と皮の間のゼラチン質が溶け出した濃厚な旨味と甘みを堪能できます。小値賀島の飲食店や旅館などでも、「アラ」料理を予約すれば、その味を楽しむことができますよ。

クエ

落花生

また、魚介類のほかにも、小値賀島特有の赤土で育った「落花生」は、深いコクと甘みが特徴です。サツマイモを使った郷土菓子の「かんころ餅」は、五島列島の各島でつくられていますが、小値賀島のかんころ餅は擦り下ろした生姜と胡麻が練り込まれており、ストーブの上やトースターでこんがりと炙って食べるとどこか懐かしい素朴な味わいです。長崎ならではのお土産としてもよいですよ。

五島列島の郷土菓子「かんころ餅」。

小値賀町を旅するとなったら、食べ物だけでなく泊まるところも気になるもの。旅館や民宿、一般の家庭に宿泊する民泊のほか、築100年以上の古民家に宿泊することもできます。
 
その名もずばり〈古民家ステイ〉。まるごと1棟を1組(1~6名まで)で貸し切りにできる宿泊滞在施設で、島にある6棟すべてが快適な空間にリノベーションされています。その一つ、〈親家(おやけ)〉は、島の北側の穏やかな田園集落にある武家屋敷で、海に近く、潮風から家屋を守る屋敷林の緑に囲まれています。ゆったりとくつろげるデッキもあり、広々とした屋敷から見える庭園には、秋から冬に開花する山茶花(さざんか)がその美しい姿を現します。

古民家ステイをしている〈親家〉。

そのほか、古民家を利用したレストランもあり、古民家レストラン〈藤松〉は、捕鯨や酒造りで富を築いた旧家の屋敷を改修したお店で、建物自体は築160年を越える歴史を刻んだ柱や梁が今も支えています。ここでは、新鮮な海の幸や採れたての野菜を使い、この島でしか味わえない滋味深い料理を提供しています。もちろん先ほど紹介した「アラ」も堪能できます。※要予約
 
小値賀町の古き良き「島の家」で、ゆったりとした時間をお過ごしください。

古民家レストラン〈藤松〉

長崎県のことがもっと知りたくなったら!

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Kei Taniguchi

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