#今日は何の日
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2025.06.20
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6月20日は国際難民の日。
紛争や迫害などにより故郷を追われた難民たちの存在に目を向け、保護と支援の重要性を共有するために国連が定めた記念日。難民問題がますます深刻化するなか、数字だけでは語りきれない人びとの命と尊厳に関わる課題として、私たち一人ひとりに問いを投げかける日となっています。
荷物をタクシーに積み込み、戦火から逃れる一家の姿。何千人ものパレスチナの人びとが、行き場もないまま家や町を後にした。現在ガザでは複数の難民キャンプがイスラエルからの集中攻撃を受けている。
© Al Jazeera English
2024年末時点で、世界の難民・避難民の数は1億2,000万人を超え、過去最多を記録しました。
主な要因として、ロシアによるウクライナ侵攻、スーダンやミャンマーでの内戦、アフガニスタンやシリアの政情不安、そしてパレスチナ・ガザ地区における紛争の激化が挙げられます。
とくに2023年10月以降、ガザ地区では軍事衝突により民間人の犠牲が急増。国連は2024年初頭、「史上最大級の人道危機」として緊急支援を呼びかけました。ガザから避難した人びとの一部は、エジプトやレバノン、ヨルダンを経由して国外への避難を余儀なくされ、その多くがいまもなお、安全な生活環境を確保できずにいます。
アフガニスタン・カブールの難民たちが、国際治安支援部隊(ISAF)のボランティアから支援物資を受け取る様子。
© ResoluteSupportMedia
また、気候変動による自然災害も新たな環境難民を生み出しています。パキスタンでは2022年の洪水、バングラデシュでは高潮と台風、アフリカのサヘル地域では干ばつと砂漠化が進行し、人びとは生きるために生まれ育った土地を離れざるを得なくなっているのです。
多くの避難民は、友人や家族、あるいは見ず知らずの人の家に身を寄せており、それまで紛争の影響を受けていなかった人びとにも、大きな負担がかかっている。パキスタン。
© Al Jazeera English
一方、日本国内に目を向けると、2023年には13,000件を超える難民申請がありましたが、認定されたのはわずか303人。難民申請制度の厳しさや審査の長期化、仮放免状態の不安定な生活など、日本の制度における課題が長い間指摘されてきました。そんななか、2024年には入管法の改正が施行され、3回以上難民申請を行った人に対しては原則送還が可能になるなど、国際的な人権基準との乖離が懸念されています。
LGBTQ+であることを理由に、今もなお迫害され命を脅かされながら生活する人びともいる。
© Quinn Dombrowski
では、私たちは世界で起きているたくさんの悲惨な現場を、ただ指をくわえて見ていることしかできないのでしょうか。いいえ、決してそんなことはありません。
南アフリカで長年にわたってつづけられていた人種隔離政策、アパルトヘイト。国家ぐるみで黒人をはじめとする非白人市民を差別・排除するこの制度は、一国の問題にとどまらず、世界の良心を問うものでした。
この制度に対し、国際社会は声を上げます。
「イギリスのみなさん、我々は特別なことをお願いしているわけではありません。ただ、南アフリカの商品を買わないことによって、アパルトヘイトへの支持を止めていただきたいのです。」
このシンプルなメッセージとともに、1959年、南アフリカの有色人種を支援するためにイギリスでボイコット運動が始まりました。その1年後、シャープビルで69人の武器を持たない抗議者が、南アフリカ警察に射殺されるという衝撃的な事件が起こります。この事件は人びとの激情を呼び起こし、運動は「反アパルトヘイト運動(AAM)」と名を変え、単なる不買運動から、全面的な経済制裁と南アフリカの完全な孤立を求める国際的キャンペーンへと発展。アパルトヘイトの終結に大きな影響を与えました。
アパルトヘイト反対の広告が描かれたバス(イギリス・ロンドン、1989年)。
© rahuldlucca
アパルトヘイトの終焉は、声を上げることの意味を私たちに教えてくれます。
いま、世界のどこかで苦しむ人がいるとき、沈黙ではなく、連帯の意志を示すこと。
それは決して無意味ではないのです。
私たちにできることはたくさんあります。対象企業をボイコットすること、フェアトレード商品を選ぶこと、難民支援団体に寄付をすること、あるいはSNSで現状をシェアすることも、連帯のひとつのかたちです。
世界のどこかで起きている出来事が、決して遠い話ではなく、いまこの瞬間ともつながっていることを、どうか忘れないでいたいと思います。
Yayoi Arimoto
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Yukimi Nishi
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