2004年3月22日、イラク系イギリス人建築家のザハ・ハディドが女性として初めて建築界のプリツカー賞を受賞しました。
© Dmitry Ternovoy
950年イラクの首都バグダードで生まれたザハ・ハディドは、イラク南部に残るシュメール文明の遺跡を訪れたときに建築への関心が芽生えたそう。ロンドンの建築専門大学に進学したあと、1980年に自身の建築事務所Zaha Hadid Architectsを設立しました。
2004年には「建築のノーベル賞」といわれるプリツカー賞を女性で初めて受賞。抽象性と流動性をテーマに、近未来なデザインを次々と世へ送り出した彼女は、「Queen of the Unbuilt(アンビルトの女王)」と異端児扱いされながらも新しい未来を提示しつづけました。
2016年、心臓発作により65歳でこの世を去りましたが、逝去後もなお「Queen of the Curve(曲線の女王)」、「Queen of the Architecture(建築の女王)」と多くの称賛を浴びつづけているザハ・ハディド。逆風を受けながらも建築界に一石を投じた彼女の作品を3つご紹介します。
初期の作品の一つ。 斜めに交差するコンクリート面は、「アンビルト」と呼ばれた彼女の幻想的で力強い概念を、機能的な建築空間に具現化する最初の試みとなりました。彫刻のような建物は現場にてコンクリートで鋳造されています。
© Mondo79
大型劇場、小劇場、現代アート美術館「MICA」の3つの施設で構成される複合文化施設。周辺には新しい地下鉄が整備され、梅渓湖に浮かぶ島も含め一帯のランドスケープごとデザインされた巨大な文化エリアです。彼女の死後に完成したプロジェクトですが、あちらこちらにみられる曲線美からは妥協を許さないザハ・ハディドの哲学が感じられます。
© Francisco Anzola
カスピ海に面する首都バクーにある複合建築物。ソ連的な価値観からの脱出を試みた都市計画の一部で、バクーに多くみられる厳格なソ連建築とは一線を画し特徴的なデザインは目を引きます。誰もがアクセスできるこの建物には歴史的なイスラム建築的要素が含まれ、昔から受け継がれてきた伝統的な価値観を再解釈したそう。
© Francisco Anzola
Yayoi Arimoto
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Yuki Kumagai
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