100年以上前に自由を求めて
世界を旅した冒険家
イザベラ・バード

連載:旅人かく語りき

100年以上前に自由を求めて
世界を旅した冒険家
イザベラ・バード

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2024.11.26

2 min read

世界を旅する冒険者の言葉から、歴史に名を残す著名人の旅にまつわる名言まで。
旅ってどんなもの? 彼らがみた世界とは? 旅する人たちの言葉から旅を知ろう。

今回は、イギリス生まれのイザベラ・バードを紹介する。

illustration:YOSHIMI HATOR text:TRANSIT

100年以上前に自由を求め世界を旅した冒険家

時は19世紀半ばから末にかけて。当然、飛行機はなく、海外を容易に訪れることのできなかった時代。彼女は、”外国人”が足を踏み入れたことのない世界の辺境を歩き、旅行作家としての名声を得た。
 
しかし、僻地を旅したからといって、したためられたすべての旅行記がベストセラーになるとは限らない。自然な語り口による彼女の筆致は、ローカルとの密なコミュニケーションや忌憚ない独特の描写により、多くの読者を冒険の世界へと誘ったのだ。
 
そうきくと、どんなにか男まさりの勇ましい女性なのだろうと想像するが、実はそうでもない。恋に破れ失意のうちに旅立ったこともあれば、旅先で恋をしたこともある。
 
幼少の頃より病弱だった彼女の”武器”は、か弱い女性であることだった。ただ、男子を授からなかった父に、”息子”として自立心を身につけるよう育てられたバードには、もって生まれた鋭い感性と、聡明かつ父の薫陶による洞察力が備わっていた。彼女はなるべくして旅行作家になったのだ。
 
では、なぜ彼女は旅をしたのだろう。その秘密は当時のイギリス社会にある。伝統的な階級制度に縛られ、限られた役割しか与えられない女性であっても、海外では男性同様に自由な冒険ができた。そして「女にもできることは女にも権利を与えよ」と主張しつづけたバードは、旅の成功をもって本当の自由という翼を手に入れたのだ。
 
その生涯は、彼女の名前にふさわしい。
 
 
「(日本人は)不思議と美しさやかわいらしさを見極める目と、それを愛する心をもってきたように思われる」

また、イザベラ・バードは明治期の日本を訪れたことでも知られている。東北地方や北海道、関西などを旅して、旅行記『日本奥地紀行』『バード 日本紀行』を執筆した。

Profile

Isabella Bird(イザベラ・バード)

1831年イギリス生まれ。生涯の大半を旅に費やし、ロッキー山脈、チベット、ペルシア、ハワイ諸島、マレーシア半島、朝鮮、日本などの奥地を訪ねた。1904年没。主な著書に『日本奥地紀行』『ロッキー山脈跛行』など。

1831年イギリス生まれ。生涯の大半を旅に費やし、ロッキー山脈、チベット、ペルシア、ハワイ諸島、マレーシア半島、朝鮮、日本などの奥地を訪ねた。1904年没。主な著書に『日本奥地紀行』『ロッキー山脈跛行』など。

この記事は『BIRD3号アイスランド特集』の転載・再編集です。

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