連載:星のやとめぐる世界

A Journey to See the Light

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連載:星のやとめぐる世界

光を観る旅へ/星のやグーグァン

TRAVEL & EAT & THINK EARTH

2024.12.25

10 min read

日本には数多くの観光地が存在する。そういった場所は、ともすれば紋切り型にめぐりがちだ。「星のや」というフィルターを通して、観光地の知られざる一面を探る。
 
今回は台湾特別編として、台湾初のラグジュアリー温泉リゾート〈星のやグーグァン〉で 、 大自然の力を借りて心身を休め、英気を養う旅へ。

Photo : Youren Lin

Text:TRANSIT

温泉に癒やされる

 名物料理をたくさん食べて、観光地を訪れて、ショッピングをして……。都市のエネルギーに疲れたら、温泉で心身を休めよう。ここは台湾山間部を流れる渓谷河川・大だいこうけい甲渓のそばに佇む〈星のやグーグァン〉。大自然に囲まれた静かで贅沢な空間の客室全49室が、源泉かけ流しの半露天風呂付きとなっている。
 

客室のお風呂だけでなく、広々とした大浴場もおすすめ。露天風呂はまるで森のなかを流れる川のような雰囲気。

 カードキーをかざして部屋の扉を開けると、壁一面の大きな窓と、その奥に広がる台湾の杉や松の木が目に飛び込んできた。メゾネットの部屋の階段を降りると風呂があり、爽やかな外の空気を感じながら早速温泉に浸かった。柔らかいお湯は無色透明の弱アルカリ性炭酸水素塩泉*で、とても気持ちがいい。このあとは庭で星空を見ながらストレッチをする体験プログラム「星空森呼吸(しんこきゅう)」に参加しよう。でもその前に大浴場にも行きたいな。そして明日は楽しみにしていたスパトリートメント。東洋医学に基づいて氣血を巡らせ、体のバランスを整えてくれるらしい。台湾でただただ自分を贅沢に労わるという、2泊3日温泉養生ステイのスタート!

*台湾の温泉法による

 

天井の高さまである大きな窓で、客室から景色を堪能できる。大自然と一体になった気分が味わえる。

全客室にある半露天風呂。窓を開けると山やウォーターガーデンが見え、吹き込む風も心地いい。

体の不調や好みに合わせてコースを選べるスパトリートメント。

タイヤル人の文化に触れる

 台湾では16の原住民族が認定されており、北部から中部にかけてはタイヤルという原住民族集団の居住エリアが点在している。谷關もタイヤル人が代々暮らしてきた地域の一つ。そうした土地柄、〈星のやグーグァン〉はタイヤルの人びとに敬意を払っていて、宿泊客もホテルが提供する体験プログラムを通して彼らのカルチャーに触れることができる。たとえば、タイヤル人のコミュニケーションツールである「口こうきん琴」という楽器作りや、伝統の機織り体験などがあり、今回は後者に参加してみることにした。先生は、近隣に住むタイヤル人の藍さん。
 
「タイヤルの男性は狩り、女性は家族の服を織るのが仕事でした。でも、ここでは男性の参加者も歓迎ですよ。織物の柄は、母から娘に代々伝わってきたものがベースになっています」
 
 小さな機織り機の前に座り、先生のかけ声に沿って動きを真似していくと、赤、白、黒の糸が紡がれて模様が見えてきた。ある程度の長さになったら、両端を結んでストラップに。谷關へ来たからこその自分への特別なギフトに嬉しさが込み上げた。

タイヤル人の機織り体験プログラム。先生が優しく教えてくれるので手先の器用さに自信がなくても楽しく参加できる。

贅沢な食で心身を満たす

 食も温泉養生の大切な一環。〈星のやグーグァン〉でいただくのは、豪華で身体に優しい会席料理だ。ディナーのコースの一つとして登場する「谷關七宝」は、川西料理長のシグネチャーディッシュ。ホテルの敷地内や近隣エリアに多く育つ松の木の皮を模した大きな器に7品が盛り付けられていて、彩が美しく目にも楽しい。

とろけるような和牛と薬膳スープの鍋料理も、ディナーコースのなかの一品。

 「この辺りには『谷グーグァンチーション關七雄』と呼ばれる7座の高い山があり、一品一品が各山をイメージした料理になっています」そう給仕さんが説明してくれた。カラスミや山菜などの台湾の食材を見つけながら、一つずつ大切に口に運んで滋味を味わった。そして「竹筒鰻飯」は、竹筒で米を炊くタイヤルの食文化を取り入れた料理なのだそう。こうして、繊細な懐石料理のなかに、現在の台湾(ホーロー)人やタイヤル人の食材や文化を感じられるのが楽しい。アラカルトやディナー以外のメニューも、長期滞在でも飽きがこない味わいと充実のラインナップなっている。翌日の朝食にも自然と期待が高まった。

「谷關七宝」の器は、タイヤル人にとって大切な植物である松の木の皮を模している。

「竹筒鰻飯」。竹筒はタイヤル人が狩りのときに食料を携帯する道具としても使われていた。

台中の街にパワーをもらう

 身体の回復を実感し、〈星のやグーグァン〉をチェックアウト。せっかくの機会なので、新幹線に乗る前に台中市内にも立ち寄ってみることにした。台湾には何度も訪れたけれど、台中は初めてだ。実は台中、その過ごしやすい気候も人気で、人口は新北市に次いで国内2位、新しい建物もますます増えている。ホテルでチャーターしたタクシーに乗り込んで、スタッフさんに聞いたおすすめエリアへと向かった。

旧台中駅は東京駅の設計者・辰野金吾の弟子による建築で、見た目がよく似ている。

〈PARK2〉の一角。ところどころにベンチがあるので、外で飲食できるのが開放感があっていい。

 やってきたのは、市民の憩いの場である広大な公園〈台中市民広場〉。この近隣に、とくに若者たちに人気のオープンエアの〈PARK2〉や、水道局の宿舎だった煉瓦造りの建物をリノベーションした〈緑光計画〉といった商業施設がある。地元クリエイターの雑貨や洋服の店をのぞいたり、スイーツを食べにおしゃれなカフェに入ったりしながら、ゆっくり散歩しているだけで新しいパワーに触れているようで気分が高揚してくる。すると、少し先にクラフトビールバーの看板が見えた。日も暮れてきたし、台中を去る前に一杯ひっかけるとしようかな。

Information

星のやグーグァン

住所

台湾台中市和平區 博愛里東關路一段温泉巷16號

料金

1泊21,000台湾ドル~ (1室あたり、税・サ―ビス料別、食事別)

アクセス

台北松山空港からは台北駅、 桃園空港からは高速鉄道桃園駅で乗り換えて、高速鉄道台中駅へ。その後車で約 90 分。

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Kei Taniguchi

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