連載:いいちこパーソンに広がる世界の風景
ブーランジュリーで店員がそう言った。
7月のパリ。いつもの「よい一日を」が、この季節だけは「よいバカンスを」に変わる。夏に働く人なんていないみたいに。パリの人たちはみんな外にいる。セーヌ川沿い、公園の芝生、エッフェル塔の前、カフェのテラス……。僕もクロワッサンを手に、外に出ることにする。パリ独特のオスマン様式の建物が並ぶ通りを10分ほど歩いて、セーヌの岸辺に辿り着く。
学生のグループがサンドイッチを頰張りながら賑やかにおしゃべりし、恋人たちは再建中のノートルダム大聖堂を眺めつつ寄り添っている。ギターを抱えた青年が、どこか物悲しい旋律を静かに爪弾いている。パリって不思議だ。映画だったら「ベタすぎ」と笑いそうな光景が、ここではただ美しく、詩のように感じられる。やさしい空気、美しい道、セーヌ川の輝き……あゝ、夏のパリ。──いや、ちょっと待て。たった一日で詩人気取りになっている自分に気づいて我に返ると、ちょうど電話が鳴った。
「めっちゃ天気いいじゃん! もうすぐ17時だし、乾杯日和でしょ? ピクニックしよ! 何か飲み物持ってきて~!」。友だちは挨拶もなしにそう告げると、電話はすぐ切れた。
公園に着くと田舎のピクニックのような光景が広がっていた。手土産は、朝、市場で買った赤いグロゼイユ(スグリの実)。夏にだけ出回る、ちょっと酸っぱい小さな果実だ。それをつまみながら、いいちこパーソンをひと口。爽やかな香りがふっと広がる。グラスを重ねるうちに、恋の話から最近の政治論争、来年のバカンスの予定まで、会話はどんどん転がっていく。気づけば、夜がゆっくりと落ちてきていた。もう帰ろうか。
寝る前、夏の一日を締めくくるささやかなご褒美──いいちこパーソンをグラスに注ぐ。窓を開け放った部屋に、熱の残る夜の空気と、外からのパリの音が静かに流れ込む。もう一杯、口に含みながら、酒と夜に身を委ねて眠りにつく。今朝、あのブーランジュリーで聞いた言葉が、夢のなかでも響いていた気がした。「よいバカンスを、ムッシュ」
いいちこパーソン
「すこし飲んで、すこし旅する。」のキャッチコピーそのままに、ポケッタブルな小型のボトルは携帯がしやすく旅におすすめ。うまさを吟味したワンランク上の「いいちこ」は、水割り、オン・ザ・ロックス、そしてお湯割りにも。
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問:三和酒類株式会社
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