Into Slovakia
vol.3 スロバキア

People: Into

スロバキア

TRAVEL

2025.11.09

3 min read

世界を旅し、美しい風景や歴史・文化を紹介するTRANSITが、よりよい未来を拓くために、心身にも環境にもやさしいIntoの製品とともに各地を旅します。第3回は、ハンガリーとスロバキアをつなぐ町、エステルゴムへの旅。

Photo : TRANSIT

Text：TRANSIT

ラゲージやパスポートのチェックもなしに、橋を渡るだけで国を変える。そんなことができるのはヨーロッパだけだ。今日はブダペストから、ハンガリーとスロバキアをつなぐ町、エステルゴムへ向かうことにした。駅へと歩く途中、朝のしんしんとした寒さが頰を刺し、唇がひび割れる予感がする。ポケットに忍ばせたIntoのバームを塗り、唇を保護。これで準備は万全だ。

エステルゴムへは列車でわずか1時間。ハンガリー最大の教会、エステルゴム・バシリカは圧倒的な存在感を放ち、1㎞以上離れていてもその姿をはっきりととらえられる。中心街を抜けると、バロック様式の建築が並び、ピンク、黄色、緑といったファサードが色彩を競い合っている。今日の黒い空の下でも、そのカラフルな街並みはどこか温かみが感じられる。だが、スロバキアの短い滞在は雨に見舞われてしまいそうだ。

マリア・ヴァレリア橋を歩き始め、国境を示す看板を越えた瞬間、さっきまで重く垂れ込めていた空がわずかに開け、対岸のバシリカだけを照らしている。これが奇跡というものだろうか。スマホを取り出し、写真を撮れば、画面には「Štúrovo,Slovakia」とキャプションが表示された。新しい国を訪れたことに反論の余地のない証拠だ。レストランのドアを押し開ける。赤いテーブルクロスの上で話す客たちの言葉が、今朝ブダペストで聞いたものとは違う響きをもっている。初めて耳にするスロバキア語。旅をしている実感がじわりと湧いてくる。