映画で太平洋のカルチャーを結ぶ
「Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際映画祭」
2/22〜3/2@沖縄・那覇市

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映画で太平洋のカルチャーを結ぶ
「Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際映画祭」
2/22〜3/2@沖縄・那覇市

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2025.02.21

5 min read

「第二回Cinema at Sea–沖縄環太平洋国際映画祭」が、2/22〜から沖縄・那覇市で開催されます。

「Cinema at Sea–沖縄環太平洋国際映画祭」ってなんだ?

台湾や日本の映画を製作・配給しているムーリンプロダクションの黄インイク氏が中心となり、2023年に誕生した本映画祭。“海は人を隔てるものではなくつなぐもの“という考えのもと、映画を通じて、太平洋の周縁に生きる人びとの営みや文化を結びつける場として注目されています。また地元沖縄の人たちにとっても、国内外の映画が集結する大変貴重な機会です。
 
2回目の実施となる今年は、「Boarder/less」をテーマにさらにパワーアップ。前回の37本を超える49作品を上映するほか、「アイランドインフォーカス部門」「オキナワパノラマ部門」「コンペティション短編部門」の3つの新たな部門が加わります。
 
本記事では、49作品の中からTRANSIT編集部が気になる映画10作品をピックアップします!

▶気になる「オキナワパノラマ部門」!

沖縄で製作された作品、沖縄出身監督、そして世界で活躍する沖縄ルーツ映画製作者の新作映画など、沖縄にゆかりのある映画作品が上映されます。写真家として沖縄を拠点に活躍する石川竜一さんが監督した『ENLIGHTENMENT』も気になるところ。
 
またユニークなのが、台湾映画『琉球の恋』『夕陽西下』の2作品。いずれもリン・フーディ監督が製作、沖縄で撮影されている。実はこの2つの映画は、まだ沖縄が本土復帰する前の1968年に、制作費を抑えるために同じクルーで一度に撮影されたもの。撮影後、長らくフィルムが行方不明になっていたものの、2019年にアメリカで発見されて、台湾国家映画・視聴文化センターによって修復され、近年になってようやく台湾で上映された映画なのです。当時の沖縄の様子を映画のなかで観ることができる貴重な作品です。

© Harumi López Higa

『四世』(Yonsei)
監督|ロペス比嘉 春海/2021/10分/ペルー

監督のロペス比嘉 春海は、沖縄系移民“四世”。ペルーへと渡った日本人と沖縄人の移民の歴史のなかで紡がれてきた曾祖母、祖母、母の個人的な経験を振り返る。それぞれの世代・時代に表出する社会的な難題に立ち向かい、家族のために新たな機会を切り開いてきた彼女たちの奮闘の物語。

© ENLIGHTENMENT製作委員会

『ENLIGHTENMENT』
監督|石川竜一/2025/72分/日本

離婚と離職をして、妻とひとり息子と別れた悟志がコザの実家に戻る。かつてイラストレーターを目指した悟志の部屋は、青春時代にため込んだ流行りのサブカルチャーに溢れている。失われた青春の時を埋めるように、再びトレンドのサブカルチャーに没頭し、母親に身を寄せながらその日暮らしの日々にただただ戯れた。バブル期からコロナ禍へと至る30年間で、メディア形態の変遷やインターネットの普及が急激に進み、息子は成長し母親は年老いる。失うものはなくとも、得られることもない時間が積み重ねられた。そんななか、母親が倒れる。ひとり家に取り残された悟志は、社会との接点を求めるかのように部屋の重い扉を開けるのだが……。 

© 國家電影及視聽文化中心 Taiwan Film and Audiovisual Institute

『琉球の恋』(The Love in Okinawa)
監督|リン・フーディ/1968/90分/台湾

沖縄で海運業を営む台湾人のリン一家は、次男のホンハイが父親の意向を無視してお見合いを拒否した挙句、ライバル会社の娘シウリンと恋に落ちたことで混乱に陥る。世代間の対立と運命の歪みが次々と明らかになるなか、苦悩に苛まれたホンハイはアルコール依存になってしまう。“定め”に抗う恋人たちは、家族の対立から解放され、運命を書き換えることができるのか?

© 國家電影及視聽文化中心 Taiwan Film and Audiovisual Institute

『夕陽西下(せきようせいか)』(Sunset Over the Horizon)
監督|リン・フーディ/1968/108分/台湾

沖縄の海辺での夕暮れ。無一文で中年の台湾人僧侶チンウェンは、海を見つめる若い日本人女性シズコと出会う。両親の望みで富を得るために結婚することを拒否し、ロマンチックな愛を求めている彼女とチンウェンは惹かれ合う。だが、2人の“年の差恋愛”は、年齢、アイデンティティ、社会的な風潮などの困難に直面する。そしてチンウェンの過去に紐づく根深い「障害」の存在も明らかになってゆく……。愛が始まり、そして終わる海辺で、時間の流れとトラウマの重さに向き合わなければならない2人の愛は、年齢、文化、そして辛い過去の障壁を超えていくことができるのか?

▶太平洋をとりまく映画たち

© Mahayana Films

『楽園島に囚われて』(Stranded Pearl)
監督|ケン・カーン&プラシャンス・グナセカラン/2024/91分/クック諸島、ニュージーランド

裕福な起業家のジュリアは新婚の夫とともに出張中に嵐に巻き込まれ、未踏の孤島に取り残されてしまう。唯一の仲間は、逃亡中の犯罪者かもしれない過去を隠した謎めいた男シド。2人が生き延びようと奮闘するなかで、少しずつ秘密が明らかになっていく。窮地に陥るだけでなく、避けてきた自らの過去や真実にも向き合わざるを得なくなる彼女たちの運命は……。クック諸島の息をのむような自然のなかで描かれる、ロマンティックでアクション満載のストーリー。
 
クック諸島が気になる方はこちらをCheck!
クック諸島観光局HP https://cookislands.travel/home

© KawanKawan Media

『湖に浮かぶ家』(Tale of the Land)
監督|ロロ・ヘンドラ/2024/98分/インドネシア、フィリピン、台湾、カタール

インドネシア・ボルネオで繰り広げられる、祖先の土地を巡る争いで両親を失ったダヤク族の少女メイの物語。祖父トゥハに救われた彼女は、現在、岸から遠く離れた仮設の浮家で暮らしている。過去の出来事で心の傷を抱えるメイは、陸地に足を踏み入れるたびに失神してしまうという不思議な症状に悩まされ、村人たちから「呪われた子」と呼ばれるようになる。土地紛争の余波と、それによってもたらされた深い感情的影響に迫る一作。2024年釜山国際映画祭FIPRESCI賞受賞。

© luxbox

『ルーツ 岩と雲の先へ』(Through rocks and clouds)
監督|フランコ・ガルシア・ビセラ/2024/83分/ペルー、チリ

8歳のフェリシアーノは、アンデス山脈の遠く離れた村で仲間たちとともにアルパカの群れを追って暮らしている。フェリシアーノのそばにいるのは人懐っこいアルパカのロナルドと、老いてはいるけれど忠犬のランボー。ペルーのワールドカップ出場への期待に溢れていた平穏な日々に、迫り来る脅威が影を落とす。強引な手法で事業を進める鉱山会社が、村の生態系を危険にさらしていた。その影響で、フェリシアーノの家族や村人たちは窮地に追い込まれることになる。2024年ベルリン国際映画祭のジェネレーションKPlus部門で特別賞を受賞。

© 2024 QUN Films

『追放者のささやき』(Whispers of Exiles)
監督|デヴィナ・ソフィヤンティ/2024/16分/インドネシア

癒やしの力をもつ神秘的な女性・ダラは、地元の劇場でナレーターとして働いている。ある日、彼女はその力をうっかり明かしてしまい、同僚たちを怖がらせてしまう。さらに事態は悪化してしまい、とうとう職場を去ることになってしまう。 

© aaaproduction

『2020年の独立国民投票、その後は?』(REFERENDUM 2020… and after?)
監督|フローレンス・ダルトゥイ/2022/52分/ニューカレドニア

「ニューカレドニアが完全な主権を達成し、独立を果たすことを望みますか?」2020年10月4日、この問いを掲げた住民投票が行われる。それはマティニョン合意から32年という歴史的な節目を迎える瞬間であり、主要人物たちの視点を通して再訪される出来事でもあった。ニューカレドニアの制度的歴史における重要な章を力強い映像で描く。忠誠派のソニア・バケスとフィリップ・ゴメス、独立派のロック・ワミタンとチャールズ・ワシティンという4人の日常に密着し、投票の前後と投票日当日の彼らの体験を捉える。

© 2023 Umi Films

『パシフィック・マザー』(Pacific Mother)
監督|キャサリン・マクレイ/2023/89分/ニュージーランド、日本

女優でフリーダイバーの福本幸子と、世界チャンピオンのフリーダイバーである彼女のパートナー、ウィリアム・トラブリッジは、伝統的な出産の習慣、地域社会の支援、そして環境保護の深い繋がりを探るため、沖縄からハワイ、タヒチ、クック諸島、アオテアロア(ニュージーランド)と、太平洋を横断する変革の旅に出る。親子関係、レジリエンス(困難を乗り越えて回復する力)、そして人間と自然の相互関係を深く探る作品。2023年Doc Edgeフェスティバルで、最優秀ニュージーランド映画賞、最優秀監督賞、最優秀編集賞、最優秀撮影賞など数々の賞を受賞。

かつて琉球王国と呼ばれた沖縄は、日本、中国、台湾、米国などさまざまな文化を“チャンプルー”(混ぜ合わせる)しながら、独自の文化を育んできました。「Cinema at Sea-沖縄環太平洋国際映画祭」では、映画をとおして太平洋に散らばる国々をつなぎ合わせてくれる機会になるかもしれません。この映画祭は、東京、大阪、南米など、各地での巡回も企画中とのこと。
 
映画の上映はもちろんのこと、映画祭をさらに楽しめる関連イベントも盛りだくさん。本映画祭でしか出会えない作品の数々を、ぜひお見逃しなく。

Information

第二回 Cinema at Sea - 沖縄環太平洋国際映画祭

主催

特定非営利活動法人Cinema at Sea

期間

2025年2月22日(土)〜3月2日(日)

会場

那覇市ぶんかテンブス館テンブスホール、桜坂劇場、沖縄県立博物館・美術館

イベント内容

コンペティション作品上映、特集上映、トークイベント、沖縄環太平洋映画インダストリー他

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Photo by

Yayoi Arimoto

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