ハンプシャー 州北部、ロンドンとサウサンプトンの間に位置する、比較的新しい機能的な都市。緑が多く、ファミリー層に人気。多国籍企業や食品関連企業の拠点でもあり、ビジネスと暮らしがバランスよく共存している。
私たちが日常のなかで何気なく口にし、あるいは背伸びして食卓に取り入れる海外の食品たち。海の向こうでは、唯一無二のおいしさを求めて生産者たちが愛情を注ぎ作っている。連載第16回は、イギリス人の心を摑んだ、スパイス香る豊かな風味のティッカマサラを巡る 。
Ilustration:Hitoshi Kuroki Text:Alice Kazama
ハンプシャー 州北部、ロンドンとサウサンプトンの間に位置する、比較的新しい機能的な都市。緑が多く、ファミリー層に人気。多国籍企業や食品関連企業の拠点でもあり、ビジネスと暮らしがバランスよく共存している。
ティッカマサラは、イギリスでもっとも親しまれている “インド料理” のひとつ。鶏肉などのたんぱくな素材をヨーグルトとスパイスに漬け込み、香ばしく焼いてから、スパイスの効いたトマトクリームで煮込んで仕上げる料理だ。そのまろやかさと複雑な香り、ごはんやパンとの相性のよさから、今では「イギリスの国民食」とまでいわれる存在に。背景には、植民地時代からつづく食文化の往来と、第二次世界大戦後のインド系移民の増加があり、とくにロンドンでは家庭でもレストランでも定番メニューとして楽しまれている。
インドのオーセンティックな味覚を届けるイギリス発のブランド、ギータが提供する「ティッカマサラ」ソースは、そんなイギリスのリアルな日常に根ざした味をそのまま家庭で再現できる一瓶。炒めて香りを立たせ、肉や野菜と煮込むだけの2ステップで、スパイスのレイヤーが生まれ、奥行きのある味に仕上がる。忙しい生活を送りながら、おいしい味への近道を求める人びとに寄り添う。スパイスが効いていながらも辛すぎず、重たすぎず、むしろやさしさを感じる。だからこそ、日本の食卓にもさりげなくなじんでくれる。
ギータ社の創業者はインドにルーツをもつギータ・サムトラ氏。30年ほど前、庭に実るマンゴーの木々の恵みを活かし、マンゴーチャツネを作り始めたのがきっかけとなった。評判を呼んだチャツネを手にイギリスへと渡り、小売業者への販売から事業をスタート。以来、このマンゴーチャツネは同社のシグネチャーとして根強い人気を誇っている。現在ではさまざまな種類のチャツネを筆頭に、カレーペーストやシーズニングミックスなど、インドの家庭料理を手軽に味わえる製品を展開し、イギリス国内にとどまらず、世界で愛されるブランドへと成長を遂げた。研究熱心な社員たちは、大きなインディアンコミュニティがあるロンドン西部、サウスホールのマーケットやレストランに通い、インスピレーションを探している。時にはインド系スタッフが持参するランチが新たなアイディアの種となることもあるという。
イギリスの食卓に合うように辛さと塩分を少し抑えるアレンジを加えつつも、インド料理の本質である香りや風味を最大限引き出すよう徹底している。ひと口ごとに立ち上がる香りの変化は、種類も量も惜しまずスパイスを配合しているからこそ。その芯にあるのは、スパイスは“風味付け”ではなく“主役”というインドの知恵。日々の料理に新しい発見と楽しさを運んでくれる。
同社でセールスとマーケティングを担当するエレノア・ブリッジマン氏もインドのスパイスの魅力を深く理解しているひとり。「インドのフレーバーはとても複雑で、鮮やかで、驚きに満ちています。さまざまな食材や料理とのコンビネーションの可能性を秘めているので、ぜひクリエイティブに楽しんでほしいです」と語った。
ギータ社のセールス&マーケティングディレクター。新製品開発や品質管理も担当。カレー好きの家族のために、週に一度は自家製カレーやお気に入りのソースでティッカマサラをふるまう。
20分で完成する香り豊かなティッカマサラ
鶏肉約340gを焼き色がつくまで5分ほど炒め、「ギータティッカマサラ」の粉末スパイスをすべて加える。香りが立つまで炒めたら、ソースを加え、10~15分煮込めばイギリスで日常的に愛される本格ティッカマサラの完成。ラム肉、野菜、エビなどとも相性抜群。最後にパクチーを振りかければ風味アップ。ナチョスにソースをかけ、パニールチーズをトッピングしたり、ピッツァソースとして使う応用法も。国境を越えて楽しめるのがカレーの魅力。
ギータ ティッカマサラ
(トマトとヨーグルトのカレー・甘口)
自宅で簡単にティッカマサラが楽しめる、粉末香辛料付き甘口カレーソース。10種類以上の厳選スパイスを使用した香り高い逸品。トマトのほのかな酸味とヨーグルトのまろやかさが 調和するコク深い味わいに。
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Yayoi Arimoto
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Naoko Maeda
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