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People: THE NORTH FACE
TRAVEL&EAT&THINK EARTH
2025.09.30
15 min read
北の果て、知床半島。原生の姿が今も残るこの土地で、“自然との共生”をテーマにしたアウトドアイベント
「SHIRETOKO Adventure Festival」が9月6日(土)・7日(日)に開かれた。
2025年は知床が世界自然遺産に登録されて20周年、そして昨年は国立公園指定から50周年ーーそんな記念すべき節目を祝うべく、TRANSIT編集部も北の大地へ。世界自然遺産・知床の自然に触れて魅力を再発見する2日間、まずは初日の様子をお届け!
Photo & Text:Shun Suzuki(TRANSIT) Cooperation:THE NORTH FACE
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東京・羽田から飛行機でおよそ1時間半、北海道・女満別空港に降り立ったときの気温は27℃。からりとした風が気持ちいい。9月上旬、本州ではいまだ30℃を超える厳しい残暑がつづいていると思うと、ここはまさに別世界だ。
今回のイベントは、知床半島の北側・斜里町と南側・羅臼町の2カ所で行われる。まずは斜里会場を目指し、車を走らせた。
車窓から見える羅臼岳の力強いシルエット、視界が広くどこまでもつづく道。「知床にやってきたんだ」と感じる。
知床は、2005年に日本で3番目に世界自然遺産として登録された地。世界でもっとも低緯度で海氷が流れ着く土地としても知られ、その豊かな生態系はプランクトンから昆布や鮭、オオワシ、エゾジカ、ヒグマへとつながっていく。
車窓から流れる雄大な景色を見ていると、そんな生態系の循環のなかに自分たち人間も生きているんだと、あらためて感じさせられる。
正午、斜里会場・知床国立公園内の「知床自然センター」に到着。ここは登山やバックカントリーなどアクティビティの拠点であり、世界中から旅人が集まるアウトドアのハブ的存在だ。〈THE NORTH FACE / HELLY HANSEN 知床店〉が併設されていて、オリジナルのアイテムも揃う。
館内の大型スクリーン〈KINETOKO〉では、世界中のアウトドアファンを魅了する映画祭「BANFF MOUNTAIN FILM FESTIVAL(バンフ・マウンテン・フィルム・フェスティバル)」のアーカイブ上映会がスタート。
幕開けはアフリカ・ザンベジ川のヴィクトリア滝をカヤックで下るペニー・マーの挑戦。轟音を立てて落ちる滝、全身で水を浴びながらオールを握る姿に息を呑む。トレイルランニング、登山、クライミング……世界各地で人類が自然に挑む映像がスクリーンに次々と映し出され、会場の空気は一気にアウトドアモードONに!
映画のあとは「Playground ― 知床の自然とつながる、遊び場」へ。ここには、知床の環境問題に触れられるワークショップや体験ブースが並ぶ。
知床で深刻化している問題のひとつが、海洋漂流ごみ。とくにプラスチック製の漁網やロープ、ブイ(浮標)など、漁業由来の廃棄物が多く流れ着くという。ごみは景観を乱すだけでなく、海の生きものたちの命も脅かす。
そのようなゴミ問題の状況を解決すべく、「知床ゴミ拾いプロジェクト」では月に1回ボランティアを募りビーチクリーン活動を実施している。今回のフェスでもアドベンチャーレーサーの田中陽希さんと一緒にビーチクリーンを体験できる企画があり、参加者は砂浜を歩きながらごみを拾ったそう。
© KIICHI KAWAMURA
そこでTHE NORTH FACEとSnow Peakが手を組み、知床の海岸に漂着したブイ(浮漂)からつくられたのが「知床国立公園60周年・世界遺産20周年記念フライングディスク」。ストラックアウトコーナーでは、参加者たちが楽しそうにビュンビュンとディスクを投げている!
さらに、粉砕した海洋プラスチックを使ってオリジナルキーホルダーをつくるワークショップも。好きな色を選び、型に入れてプレス機で熱を加え、はみ出た部分をカットすると……世界にひとつだけのキーホルダーが完成!付属のRFID式ICチップにスマホをかざせば、「知床ゴミ拾いプロジェクト」の情報にジャンプできる仕組みに。
ワークショップブースのそばの木の下には、知床の森に自生する笹を編み込んだ球体型ハンモック「“NINA NO SET”―笹の巣―」が展示されている。制作したのは飛騨高山で茅葺職人をする藤原拓馬さん率いるチーム。家の一部を笹でつくっていたというアイヌの人びとの暮らしに思いを馳せて製作した作品なんだとか。
大人も入れるというので、さっそく足を踏み入れると……びっくりするほどの安定感!釘や鉄を使わずに自然物だけでつくっているというのだから、なおさら驚きだ。さわさわと笹が触れ合う音とほどよい揺れが心地よい、まさに森の秘密基地。子ども心がくすぐられ、大人たちも大はしゃぎ!
そして知床の大部分を覆うのは、深い森。森を健やかに保つには「間伐=木を間引く作業」が欠かせない。でも、採算が合わず手入れがされない森もまだまだ多い。
森を元気にするためにも、どんどん木を使っていく必要がある。そこで会場では、間伐材を使ってコースターをつくる体験コーナーも。林業事業者の話に耳を傾けながら、知床のシンボルキャラクター「知床トコさん」の焼印をポン。自然と森のことを考えながらつくった、手のひらサイズのコースターができあがり!
ほかには、廃材から製作した特大サイズのバランスブロックゲームも。使うのはTHE NORTH FACEとSnow Peakのロゴが入ったSHIRETOKO Adventure Festival限定のブロック。大人も子どもも、みんな思い思いに過ごして楽しそう!
© KIICHI KAWAMURA
ワークショップを体験した編集部は、「SHIRETOKO Adventure Festival」のオープニングセレモニーに参加するべく、斜里会場を後に羅臼会場の「羅臼オートキャンプ場」へ。
ここでは写真家・石川直樹さんのトークショーが開催中。知床の山に幾度となく足を運び登ってきた石川さんが、その旅の思い出や、2024年に達成した8000m峰全14座登頂(23年越しの挑戦)について語る。雄大な自然をバックに聞く挑戦の話に、参加者も釘付け。
同じ会場には知床財団による熊との共生を考えるブースも。知床の自然を楽しむうえで、話題にのぼるのがヒグマとのつき合い方。旅行客による撮影や餌やりなど人為的な行動がヒグマの行動に影響を及ぼし、人間社会との共生が問題視されている。人びとの営みと野生動物との共生は、この土地で長く議論されてきたテーマだ。
会場では環境省の職員が、ヒグマのレプリカを使いながら、クイズや熊スプレーの使い方などをレクチャー。
「ヒグマの足跡はどれ?」「何を食べている?」「どれくらい速く走れる?」「遭遇したらどうする?」。そんな問いを通して、ヒグマと上手な関係性を学べるブースに。400〜500頭ものヒグマが密集して生息する地域だからこそ、自分や家族、そして動物たちが共に生きるために必要なことが考えられているのだと感じた。
時刻は17時、夕食の時間。会場内に立てられたテントごとに、知床の自然の恵みをこれでもかと詰め込んだメニューがずらり。
海鮮3色丼にホッケやタコの串焼き、鹿肉のステーキやカレー、地元の旬野菜を中心とした天ぷら、カニ汁などなど、たくさんのメニューから自由に食べ歩くことができる。どれも絶品で、外で食べるとより一層おいしい!
日が暮れてきたところで、知床財団によるオリジナル紙芝居「らうすに生きる 僕とじいちゃんとクマ」を鑑賞する。実話を元に、ヒグマとのつき合い方を考えるためにつくられた物語で、参加者はその世界に引き込まれていく。
その後は、知床で漁師として働く人びとと話せる「漁師トーク」のプログラムも。焚き火を囲みながら話は、知床の海のこと、漁師の働き方、おいしい鮭の見分け方や行きつけの店まで……ここでしか聞けない地元トークはまだまだ尽きない。
楽しい時間もあっという間、夜も深まってきたところで1日目はおしまい。2日目は写真家・石川直樹さんとともに、原生林の中を歩いて5つの湖をめぐる旅へ。後編ではその様子をお届け。お楽しみに!
THE NORTH FACE / HELLY HANSEN 知床店
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SHIRETOKO Adventure Festival
開催日時
会場
主催