京都・下鴨に170年息づく“祈り”のかたち——「下鴨茶寮」のおせち2026

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京都・下鴨に170年息づく“祈り”のかたち——「下鴨茶寮」のおせち2026

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2025.11.14

5 min read

2025年が終わりに近づいている。新しい年を迎える準備に欠かせないのが、おせちだ。その起源は、奈良〜平安期の宮中行事「お節供(せちく)」。季節の節目に並んだ料理がかたちを変え、やがて正月の祝いとして庶民にも広まった。重箱に願いを詰めるその習わしは、いまも新年を迎える喜びとして受け継がれている。
今回訪れたのは、京都・下鴨の地で170年にわたり「食」と向き合いつづけてきた〈下鴨茶寮〉。おせちのなかに息づく、“祈り”のかたちを辿りたい。

Photo : Tomohiro Yamatsuki

Text:RIsa Isobe(TRANSIT)

創業170年、伝統を受け継ぐ「下鴨茶寮」

安政3年の創業以来、京料理・茶懐石の暖簾を守りつづけてきた〈下鴨茶寮〉。京都を流れる「かもがわ」を地元の人びとは、合流点より上流を「賀茂川」、下流を「鴨川」と呼びならわす。賀茂川とその支流である高野川に挟まれ、下鴨神社のほど近くに佇むのがこの茶寮だ。東側の窓の向こうには、静かに流れる高野川をのぞむことができる。

凛とした佇まいの奥には、幕末から受け継がれてきた気配と矜持が宿る。根底にあるのは、“その土地の食材を、その土地の方法でいただく”という「土産土法」の思想。
 
提供される懐石料理は、千利休が茶会でもてなしたささやかな食事を起源とし、一汁三菜を基本に、余白に季節の気配をそっと忍ばせる料理だ。
 
その教えを今に伝える、京都でも指折りの料亭である。

森と川のそばで紡がれた下鴨神社との長い縁

下鴨茶寮のすぐそばに位置するのは、「下鴨神社」として親しまれる「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」。京都を開いた神を祀る古社で、平安遷都以降は国を守る社としても信仰されてきた。

その境内には、縄文からつづく広さ3万6千坪の原生林「糺(ただす)の森」をはじめ、国宝の本殿2棟などの文化財も残されている。
 
下鴨茶寮は、平安時代より下鴨神社の御用達包丁人を務め、この地で宮中ゆかりの京料理を継いできた。

料理に息づく京の仕草

昼の懐石料理には、秋の実りが繊細に重ねられていた。
先附は、帆立の焼霜や利休麩に柿の甘みを重ねた「柿膾(かきなます)」。帆立の心地よい食感、利休麩の旨みと春菊の香り、そこに柿のやさしい甘みが重なる。

続く「丹波栗の霧揚げ」や「丹波占地(しめじ)の椀物」、紅葉鯛など、京をはじめ各地の旬が並ぶ。
締めの「松茸御飯」は、やわらかな出汁の余韻が食事の幕をゆるやかに閉じてゆく。水物には、焼き茄子の香ばしさとみたらし餡が絡みあうアイスクリーム。季節の深まりを感じる食事だ。

空気を清め、場の気配を整えるしつらえ「訶梨勒(かりろく)」

祈りの一日を、おせちとともに

季節の実りを丁寧に受けとめる下鴨茶寮の料理には、京で育まれた“暮らしの節目を大切にする”感覚が宿っている。日々の食事も、年のはじまりの食卓も、その思いは変わらない。だからこそ、新しい一年を願う“祈りの料理”であるおせちにも、そのまなざしは息づいている。
 
おせちは、五穀豊穣や無病息災、子孫繁栄など、年初めのごちそうという枠を超えた新しい一年の幸せを願う“祈りの料理”。一品一品には「今年こうありたい」という願いが込められている。

酒肴おせち 冷凍一段 お酒付(2人前)

そうした思いをかたちにしたのが、2026年のはじまりを彩るような「酒肴おせち 冷凍一段 お酒付(2人前)」(27,500円)。「獺祭」と京都の銘酒「神蔵」が凍結酒としてセットになり、お酒と相性のよい料理が詰め合わせられている。
 
凍結酒は、温度によって味わいや香りが繊細に変化する。なかでも、冷酒よりも低い温度帯で味わう“超冷酒”は、搾りたてのようなフレッシュな香りを堪能できるのだとか。
 
そのほか、干支の意匠があしらわれた陶器が添えられた2人用のおせちや、伊勢海老、キャビア、すっぽん、からすみ一本をはじめとする贅沢な「【本店】特製和おせち二段+合鴨鍋」(324,000円)など、全12種あってラインナップは多彩。

総料理長の本山さん(左)と小山薫堂さん(右)

おせちとは「祈りと感謝がかたちになったもの」そう語るのは、下鴨茶寮の主人・小山薫堂さん。
 
また、総料理長の本山直隆さんは「おせちは“祈り”の料理。一品一品に心を込め、その年を迎える人びとのご多幸を願っている」と話す。
 
時代が移ろっても、おせちに込められる願いは変わらない。下鴨茶寮のおせちには、その思いがいまも息づいている。
 
「それぞれの家庭の味に、そっと寄り添えたら」——と静かに小山さんは語った。

おせち料理は家庭や地域によって異なるが、元旦の大切な一日を祝う気持ちは同じ。2026年の幕開けは、来たる新年を祝福するような気持ちで、おせちを選んでみるのもいいかもしれない。

Information

下鴨茶寮

おせち販売期間:2025年12月23日(火)9:00まで

─下鴨茶寮のおせちを見てみる─

 

住所

京都市左京区下鴨宮河町62

営業時間

11:30~15:00(13:30 L.O.) /  17:00~21:00(20:00 L.O.)

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Yayoi Arimoto

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