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今回は、編集部・川原田が九州の実家へ帰省中に出かけた、対岸の街・下関のグリーンモール商店街での小さな異国の旅のこと。
Photo & Text: Yoshiko Kawaharada (TRANSIT)
年末、福岡県北九州市の実家でゴロゴロと暇を持て余していた私。
TRANSIT編集部員の性分なのか、ふと異国情緒が恋しくなり、対岸の山口県下関市にあるコリアンタウンへ初めて行ってみることにした。
旅好きの幼なじみを誘って電車に乗りこみ、関門トンネルをくぐる。下関駅の東口を出ると、カラフルな「釜山門」が目に飛び込んできた。釜山は下関と縁が深く、姉妹都市でもある。1905(明治38)年に関釜航路が開通し、多くの人が朝鮮半島から海を渡って下関に移り住んだ。今でも下関港から毎日、釜山行きのフェリーが出ている。
カラフルで遠くからも目立つ釜山門。
この門から数百メートル、焼肉屋さんや韓国食材店が軒を連ねる「グリーンモール商店街」が続く。といっても、東京の新大久保や大阪の鶴橋のような大規模なコリアンタウンではない。顔なじみのお客さんたちがお店の人とお喋りしながら買い物をしていく、地域の商店街といった雰囲気。ランチ営業の飲食店が少ないのと、年末休みの店舗も多かったのか、この日はけっこうひっそりしていた。戦後の闇市にルーツをもつらしく、昔はもっとにぎやかだったのだろう。
韓国料理や焼肉のお店がたくさん。
営業しているお店では、韓国産のインスタントラーメン、量り売りの粉唐辛子、手作りのキムチ、どことなく韓国風の衣料品など、いろいろなものを売っている。
常連さんが多いなか、私たちのような初めてのお客さんにも「いらっしゃい、見ていってね」「これはタラの胃袋のチャンジャ。おいしいよ!」と気さくに声をかけて迎えてくれるのでうれしくなる。何軒かお店を回り、朗らかなお姉さんが切り盛りするキムチ屋さんで、小さなパックに入った自家製のチャンジャ(350円)を買った。
年季が入った看板に街の歴史を感じる。
食品店では韓国食品やお惣菜、キムチなどを売っている。
キムチやチャンジャは少量から買えて、お手頃価格。
週末の新大久保でひしめき合っているような若い観光客はいないし、韓国アイドルのグッズも韓国コスメも(今回見た範囲では)売ってない。キラキラ感はないけれど、すっかり地域の生活に溶け込んだコリアンタウンといった感じで、私は好きだ。
お腹が空いたので、プチ韓国旅の締めくくりは、お昼から営業していた焼肉店〈ソウル〉へ。なんて直球な店名! お肉の味つけが普通、辛口、激辛から選べたので辛口を選んだ。ピリ辛で白米が進む。
唐辛子をまとった辛口ダレのお肉。
締めのクッパは洗面器くらい大きかった!
この店にも朗らかなオモニがいて、「どう?おいしい?」と頻繁に声をかけてくれて楽しい。「おいしかったです!」と友人と声をそろえて、お店を後にした。
帰りは腹ごなしに海沿いをぶらぶら歩いて、唐戸港から関門連絡船で門司港(もじこう)へ。
片道5分の船旅は海峡の眺めがよく、とてもおすすめだ。
本州と九州を結ぶ関門橋が見える。
実家に戻って新聞を読んでいたら、ちょうどグリーンモール商店街の記事が載っていた。やっぱりお店の数も住民も、昔に比べてずいぶん減ったらしい。近くに大型スーパーやコンビニができて、客足が遠のいているのだとか。地方都市の多くの商店街が抱える課題に思い切り直面しているのだなあ、と複雑な気持ちになる。
オモニたちの笑顔と、おいしい焼肉。港町の片隅にひっそりと息づく小さな韓国を、私はまた訪ねたいし、これからも陰ながら応援していきたい。
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