釧路湿原国立公園へ。
タンチョウやエゾシカ、キタキツネ……北海道の冬、そして恋の季節。

連載|今週の編集部日誌

釧路湿原国立公園へ。
タンチョウやエゾシカ、キタキツネ……北海道の冬、そして恋の季節。

People: 磯部里紗(TRANSIT.jp 編集者)

THINK EARTH

2026.03.20

5 min read

今、どんな記事をつくってる? 週末どこ行ってた? 最近気になっていることは? などなど、TRANSIT編集部のオンオフの日々をお届けします。

今週は、編集部・磯部が『TRANSIT71号 ベトナム特集』の中の「NIPPONの国立公園連載」で訪れた釧路湿原国立公園取材のこぼれ話を。

Photo & Text: Risa Isobe(TRANSIT)

つい最近、NNNドキュメントで釧路湿原の特集が放送されたり、タンチョウが35年ぶりに絶滅危惧種から除外されたというニュースがあったりして、あらためて釧路湿原に注目が集まっているらしい。
 
そんな釧路湿原を、今回の企画で撮影してくれたのが北海道在住の写真家・中道智大さん。元ドッグトレーナーで、犬に詳しい写真家だ。3日間の撮影でも釧路湿原国立公園内を縦横無尽に駆け回ってくれた。

写真家の中道さんと一緒に暮らす犬たち。初めて会ったのにみんな人懐っこい。

詳しい内容は『TRANSIT71号 ベトナム特集』の本企画ページに譲るとして、振り返ってみても、大自然に囲まれた土地だからこそ出合えた動物や自然ばかりだった。

雪原で見かけた動物の足跡。

キタキツネが歩いていた。最初、自分の目が信じられなくてネコと見間違えた。

たとえば、タンチョウのこと。湿原の観光スポットに立ったとき、どこからともなく「カァカァ」と、聞き慣れない声が響いてきた。あたりを見渡してみると、100mほど前方に数えきれないほどのタンチョウが。あの甲高い鳴き声があちこちから重なるように聞こえてきて、少し圧倒されるくらい。

観光地周辺では保護団体による人工給餌が行われていて、そうした環境で暮らすタンチョウを“野生”と呼べるのかという議論もあるのだそう。ただ、今回のニュースのように個体数が回復して、絶滅危惧種から外れるまでには、関係者の取り組みや地元の人びとの理解など、たくさんの人たちによる長年の積み重ねがあったことも確かだ。
 
もうひとつ、心に残っている記憶がある。それは、−20℃を下回ることもある厳しい冬のなかで、たくましく生きる動物たちのこと。
 
とくに、車を走らせても、少し歩いても、どこに行っても当たり前のようにエゾシカに出合う。
でも彼らは一定の距離を保ちながら、じっとこちらを見ている。その距離感が、なんとも不思議だった。本州のシカは人に慣れているからか、向こうから近づいてくることが多いけれど、ここでは逆に見つめ返される感覚がある。逃げないのに、寄ってもこない。その絶妙な距離のなかで、会話ができそうな気さえしてくる。

雪原の上に見えるグレーの線は、実はエゾシカの足跡。
高台から見ると足跡だけが浮いてみえて、なんだかきれい。

そして、運がよかったのはキタキツネの2匹に出合えたこと。最初は喧嘩しているのかと思ったけれど、中道さんいわく「1月から2月にかけて、オスとメスが追いかけ合うような行動が見られるんです」

つまりは、“キタキツネの恋の季節”なのだそう。(恋の季節!なんてみずみずしい言葉!)
そう思って見ていると、どこか愛おしく見えてくるから不思議だ。思いがけず、幸せのおすそ分けをもらったような気分になった。
 
あの2匹の、短くてまぶしい季節に、どうかいい結末がありますように!

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Yayoi Arimoto

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