今、どんな記事をつくってる? 週末どこ行ってた? 最近気になっていることは? などなど、TRANSIT編集部のオンオフの日々をお届けします。
今週は、台湾生まれでプランナーとして日々奔走している郭 晴芳(みんなハルさんと呼んでいる)。TRANSITのなかでも随一の映画フリークで、日本に来てから映画好きが加速。最近観た外国映画のことまで、どうぞ!
Photo & Text: Haruyoshi Kaku (TRANSIT)
気づけば、ほぼ毎週どこかの映画館にいる。
映画って、なんでも起こりうるものだと思う。知らない世界を見せてくれることもあるし、自分に問いを投げてくることもある。そういうところが好きだ。
私は台湾の高雄で育った。子どもの頃、香港はとにかくキラキラして見えた。家でよく香港映画を観ていたからだ。
周 潤發(チョウ・ユンファ)や周星馳(チャウ・シンチー)。物語は速く進み、アクションは派手で、画面の中の人たちはいつも走っている。いま思えば、あの頃は香港映画の黄金期だったらしい。大晦日になると、いとこたちが家に集まる。ご飯を食べて、テレビの前に座る。みんなで映画を観る。映画を観るというより、小さなイベントみたいな時間だった。
台湾・高雄の実家。大晦日になると、こんなふうに親戚の子どもたちが集まった。いちばん左が私。左から3番目の女の子が、映画のことを教えてくれたいとこ。
大学生の頃には、台北に住んでいるいとこの影響で、いろいろな映画を観るようになった。当時、私たちはよく手紙を送り合っていた。
彼女は映画が大好きで、台湾ニューシネマや海外のインディーズ映画をよく教えてくれた。それまで観ていた香港映画とは、時間の流れがまったく違った。ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンの映画だ。とくに、エドワード・ヤンが描く『台北ストーリー』が今でも大好きだ。
大学院進学で東京へやって来て、ちょっと驚いたのが映画館の多さについてだった。
小さなミニシアターがあちこちにあり、海外の映画や昔の作品が静かに上映されている。それに上映作品のパンフレットがこんなに販売されているのも、日本ならではの文化のような気がする。海外の映画でも、日本では、独自にパンフレットが編集されることが多いらしい。デザインもおもしろくて、つい手に取ってしまう。最近とくに好きなのは、大島依提亜さんの仕事だ。『ミッドサマー』や『パターソン』など、映画の空気をそのまま紙に閉じ込めたようなデザインがいい。
そんなふうに、東京に住んでからは映画館が身近な場所になった。学生の頃から社会人になった今でも、気づけば、映画館にいる日々を送っている。
この編集部日誌では、最近観た海外映画の中で印象に残った3本を紹介したい。まだ上映中の作品もあるので、細かい内容には触れないけれど、どれも強く心に残った映画だ。
『センチメンタル・バリュー』
監督:ヨアキム・トリアー
『わたしは最悪。』などで知られるデンマーク生まれのヨアキム・トリアー監督の最新作。映画の舞台はノルウェーのオスロ。映画の舞台はノルウェーのオスロ。家族の物語でありながら、映画についての映画でもある。劇中劇の構造のなかで、芸術と映画がゆるやかに混ざり合っていく。
北欧映画らしいひんやりとした空気のなかで、家族という関係の複雑さや、人の内面の揺れが少しずつ浮かび上がる。見終わったあともしばらく、その感情が残り続ける映画だった。
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センチメンタル・バリュー
監督・脚本:ヨアキム・トリアー
© GAGA Corporation
『CROSSING 心の交差点』
監督:レヴァン・アキン
トルコのイスタンブールを舞台にしたロードムービー。姪を探す旅の途中で、さまざまな人生が交差していく。路上客待ちの立ちんぼ地区で出会うトランスジェンダーの女性たちもとても印象的だった。
雑多な文化が混ざり合う街並み。音楽。エキゾチックな空気。けれどその奥には、消えない偏見や生きづらさがある。それでも人は、どこかで誰かに寄り添いながら生きている。
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CROSSING 心の交差点
監督:レヴァン・アキン
© ミモザフィルムズ
『グッドワン』
監督:インディア・ドナルドソン
アメリカの新進気鋭の監督、インディア・ドナルドソンによる作品。父と娘が森でキャンプをする、90分ほどの映画だ。大きな事件が起きるわけではない。けれど会話や沈黙のなかに、小さな違和感が少しずつ積み重なっていく。
何気ない一言や視線が、父と娘のあいだにある微妙な距離を浮かび上がらせる。親子という関係でありながら、どこか他人同士でもある。その距離がとても繊細に描かれていた。
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グッドワン
監督:インディア・ドナルドソン
© スターキャットアルバトロス・フィルム
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