What's スウェーデン人? 
国民性、社会制度、ワークライフバランス…
気になるスウェーデン人のことを大解剖!

web特集|月刊TRANSIT「スウェーデンが描く北欧型社会」

What's スウェーデン人?
国民性、社会制度、ワークライフバランス…
気になるスウェーデン人のことを大解剖!

LEARN&LIVE

2026.02.02

5 min read

シャイ? 家庭第一? 日本人っぽい? 国民性、仕事のスタイル、対人関係、社会制度まで...... シーン別にスウェーデン人の国民性を大解剖してみた!

Illlustration:Yurikov Kawahiro Text:Takumi Okazaki

スウェーデン人ってどんな人?

何事もちょうどよく、 “ラーゴム” なスウェーデン人。

スウェーデン人の国民性を語るとき、欠かせない言葉が「ラーゴム」だ。直訳すれば「ほどほどに」だが、その本質はもっと深い。彼らの先祖であるバイキング時代の“laget om”(仲間と分け合う) が語源とされるように、「個人の利益」よりも「共同体の調和」を重んじる考え方なのだ。
 
寒冷で資源の乏しいスウェーデンでは、生き延びるために富や食料を分け合うしかなかった。そうして「過剰を慎み、他者を思いやる」ことを美徳とする意識が根づいたという。たとえば仕事では過剰な残業を避け、「フィーカ」と呼ばれるコーヒーブレイクを大切にする。高級車を買えば「見せびらかしている」と思われ、安すぎる服を着れば「ケチ」と見られる。ちょうどいいーーーその絶妙なラインを見極めるのがスウェーデン流だ。
 
しかし、このラーゴムな精神は現代社会では逆にプレッシャーになることもある。みんなが「ほどほど」に生きようとするなかで、目立つことや失敗を恐れ、息苦しさを感じる若者もいる。また近年はグローバル資本主義の波が押し寄せ、「ほどほどじゃ物足りない」という欲望が生まれつつある。
 
それでも、世界トップクラスの幸福度を支えているのは、この精神に通じているようにもみえる。富の再分配、ワークライフバランス、環境に配慮した政策などすべてが「過ぎたるは及ばざるがごとし」で貫かれている。効率と成長を追う現代社会に、「ラーゴム」は一つの解を示しているかもしれない。

基本DATA

言語

スウェーデン語が公用語。英語力も高く、字幕なしでNetflixを観る人が大半。

宗教

キリスト教が多数だが、教会に通うのはクリスマスくらい。世界有数の世俗化社会だ。

平均寿命

83.3歳と、世界14位の長寿国。手厚い福祉と、働きすぎない文化が秘訣か。

民族構成

スウェーデン系が約8割を占め、2010年代以降は主に中東の移民が急増した。

主食

ジャガイモ、ライ麦パンが食卓の定番。ニシンやサーモンを使った魚介料理も。

平均身長

男性約180cm、女性約167cmと世界的にみても高身長。モデルを多数輩出。

ワークライフバランス編

残業よりも暮らしファースト

残業していれば「どうした? 何か大変なことが起きてる?」と本気で心配される。残業が必要なほど仕事を振る上司が悪いーーーそれがスウェーデンの常識だ。短時間で成果を出す意識が真の生産性を育み、IKEAやSpotifyなどの世界的企業を生んできた。

仕事の活力はフィーカ!

会社には必ずコーヒーメーカーが置かれていて、午前と午後に一度ずつ、マイカップを持って“フィーカルーム”へ。異なる部署の人が集まってゆるく情報交換する、いわば“タバコ部屋”のような場所。単なる休憩ではなく、「人間らしく立ち止まる」文化的習慣なのだ。

育児は男女平等に

男性の育休取得率は9割を超え、平日にベビーカーを押すパパの姿は珍しくない。育児休業は480日を両親で分け合い、そのうち90日は父親専用。育休手当は給料の8割だが、多くの企業が残り2割も負担する。復帰後も、子どものお迎えで早退するのは当然の権利。

公共・社会編

政治も生活の一部

投票率は常に80%を超え、カフェで友人と「今度の環境政策どう思う?」なんて語るのは日常茶飯事。小学校の教科書には「ルールが間違っていれば主張するのが国民の責任」と書いてある。国民による監視の目も厳しく、経費でチョコを購入した副首相がクビになった事例も。

高い税金にも不満ナシ

費税は25%、所得税も高い。しかし日本に比べて不満の声は少ない。なぜなら、税金の使い道が透明で、確実に自分たちに還ってくる実感があるからだ。大学は無料、医療費もほぼ無料、育児支援も手厚く、高齢者施設も充実。人生のあらゆる場面で税金の恩恵を実感できるのだ。

日々エコマインド

家庭ゴミのリサイクル率は驚異の99%。飲み終えたペットボトルをスーパーに返せば容器代が返金される。ゴミを燃やして発電する「ゴミ発電」が普及しすぎて、他国のゴミまで輸入しているほどだ。国土の7割が森林であるスウェーデンにおいて、エコは当たり前の「生き方」なのだ。

人間関係編

ほどよく自立した夫婦関係

スウェーデンは離婚率が極めて高いが、別に問題視されていない。共働きが当たり前で、家事も育児も完全に折半。経済的に自立しているからこそ、「合わなくなったら別れればいい」という考え方なのだ。離婚は決して「失敗」ではなく、別れた夫婦がパーティに同席するのも普通のこと。

「お試し婚」で出生率アップ

結婚せずに同居するカップルを「サムボ( sambo )」という。1987年成立の「サムボ法」によって法律婚と同等の保護が与えられ、出生率が上がった一因とみられる。ただし、互いの遺産相続権は認められない。離別の際は、同居中に購入した住居などの共有財産は公平に分けられ、子どもがいる場合は別居親に養育費の支払い義務が生じる。

子どもをもつことも可能

1995年から同性カップル向けのパートナーシップ登録制度はあったが、2009年には性別に関係なく結婚できる法律が施行され、すべての成人が平等に婚姻の権利を分けるものとされた。これにより同性カップルでも養子縁組や代理出産、養育権(親権)の取得など、婚姻に関するすべての権利・義務が従来の異性カップルと同等に保障されている。

個を尊重する教育

授業ではディスカッションやグループワークが中心。先生が一方的に教えるのではなく、「君はどう思う?」と問いかける。家で子どもが悪いことをしても、頭ごなしに叱らない。「なんでそうしたの?」と聞き、「なぜダメなのか」を説明する。子どもを子どもとして扱わないのだ。

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