ストックホルムからゴットランド島へ
スウェーデン“EV車”ロードトリップの話。

連載|今週の編集部日誌

ストックホルムからゴットランド島へ
スウェーデン“EV車”ロードトリップの話。

People: 菅原信子(TRANSIT編集長)

TRAVEL&WATCH

2025.12.19

5 min read

今、どんな記事をつくってる? 週末はどこへ行ってた? 最近気になっていることは? などなど、TRANSIT編集部のオンオフの日々を週単位でお届けします! 今回は、スウェーデン特集号でストックホルム・ゴットランド島・ヴィンメルビーの現地取材を行った本誌編集長・菅原が誌面では伝えきれなかったこぼれ話をお届けします。

Photo & Text: Nobuko Sugawara (TRANSIT)

12月13日に発売した『TRANSIT 光の国、スウェーデンへ』。お楽しみいただけているでしょうか。まだという方は、年末年始のお休みに、スウェーデンのかすかな光やひんやりとした空気を想像しながら読んでいただけるとうれしいです。
 
今回の編集部日誌は9月上旬にスウェーデンを旅したときの取材裏話をお届けします。
一緒に旅したのは、長年の友人であり仕事仲間である写真家の相馬ミナさん。

ポートレイト撮影では、スウェーデン生まれの写真機ハッセルブラッドを使用することも!

旅の前半3日間はストックホルムに滞在。
誌面には、「ストックホルムの15人」という企画でストックホルムに暮らす老若男女、ルーツもさまざまな15名(ベビーカーで眠る赤ちゃんも含みます)のみなさんにご登場いただいています。コーディネート兼通訳をしてくださった机玲子さんとともに、2日間、路上で声をかけ、ときにはご自宅へお邪魔して「スウェーデンはあなたにとってどんな国?」といった問いを投げかけました。
 
生まれも経歴も異なる「わたしのスウェーデン」は当然のごとく多種多様。“福祉先進国”のリアルな姿を、スウェーデン人だけでなく、移住してきた外国人の考えも合わせてご覧いただければと思います。
 
5年前にスウェーデンに移住された机さんにとっては、すぐに医者にかかれないことや、外国人の就労ハードルが非常に高いことなど、生活の苦労も多いようです。それでもスウェーデンの人たちは「人に対して嫌なことは言わないし、至らない点を注意するのではなく、よいところや素敵なところをとことん褒め合う。個人のハッピーよりもみんなのハッピーを重んじると思います。お金よりも自分の暮らしや休息を優先する人が多いですね」と話してくれました。

机さんから旅のおやつにどうぞといただいたクッキー。バターがずっしり濃厚で、食感はしっとり。クラクラするほどおいしかったです。

ストックホルムを後にして、私と相馬さんはレンタカーで、スウェーデン人のバカンス地として名高いゴットランド島へ向かいます。(車はもちろんスウェーデン生まれのVOLVO、レンタル費が安かったEV車を予約していました)

海外で(日本でもですが)EV車のレンタカーは初めてだったので、充電のタイミングをうかがいながら走ります。初日は100km近く走行し、電池残量は約45%。宿泊した民泊には充電スタンドがなかったので、翌朝大型ショッピングセンターの駐車場で充電をしました。
 
充電スタンドは「Fortum charge & drive」というアプリで探しましたが、スタンドにも2kWから200kWなどさまざまな出力があり、急速充電できる150kW以上のものを探すと、意外と数がありません。

そこで初めて私たちは気づきます。
「EV車の充電には時間がかかる」ということに……!
 
ガソリンスタンドならあっという間に満タンにできますが、EV車は急速充電でも30分以上かかるのです。ちなみに充電する量にもよりますが、毎回2,000円から4,000円くらいでした(1日に2回充電したことも)。
 
EV車をレンタルして長距離を旅するなら、宿泊先に充電スタンドがある場所を選び、夜のあいだに低速で充電しておくのがスマート。そんな基本を、この旅で学びました。

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充電スタンドの種類も多く、機械によって支払い方法も違います。アプリを入れたり入れなかったり、デポジットが必要なものがあったりと、その都度まごつく私たち。
 
正直、かなり面倒……。
 
それでも環境負荷を考えたらEV車を選択するほうがいいし、充電スタンドの多様さは北欧でEV車がスタンダードであることを物語っています。
 
振り返れば、充電中は、相馬さんと次の目的地を調べたり、スーパーで買い物をしたり、コーヒーを飲んだりする時間でした。充電タイムは休息タイム、北欧時間のプレゼントだったのかもしれません。
 
そしてなんといっても、車で知らない土地を旅する喜びは何ものにも変えがたく。

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車ごとフェリーに乗りこみ、島も本土も縦横無尽に、北へ南へ、朝夜かけめぐった旅は自由で幸せでした。キャンプ場で会った夏休み中のドイツ人ファミリーは、キャンピングカーでスウェーデンを旅行中で、このあとはノルウェーへ行くのだとか。うらやましいですねえ。
 
ちょっと小道へ行ってみると、かわいい森や湖、サマーハウスが現れたり、展望台へつながる道だったりする。天気も時間も荷物も気にせず、どこへでも行ける。目的地へ一直線に向かうよりも、さすらうように、道を味わうように、地図をなぞっていけるのが、ロードトリップの醍醐味ですね。

スーパーで見つけるたびに買っていたネクタリン。疲れた体を元気にしてくれる甘酸っぱさでした。

高速道路の上に架かるサービスエリアのカフェで。走る車を見ながらフィーカできます。

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Magazine|TRANSIT70号
光の国、スウェーデンへ

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Yayoi Arimoto

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