待ちわびて神戸、
ガラス作家・山野アンダーソン陽子
×写真家・三部正博の展示へ。

連載|今週の編集部日誌

待ちわびて神戸、
ガラス作家・山野アンダーソン陽子
×写真家・三部正博の展示へ。

TRAVEL

2025.12.12

5 min read

今、どんな記事をつくってる? 週末はどこへ行ってた? 最近気になっていることは? などなど、TRANSIT編集部のオンオフの日々を週単位でお届けします! 今回は、総括編集長・林が、最新号の制作にも協力いただいた、ガラス作家の山野アンダーソン陽子さんと写真家の三部正博さんの二人展「Longing for Grey」へ、神戸を訪れたときの話。

Photo & Text:Sayoka Hayashi(TRANSIT)

12月5日(金)、海と山のまち神戸へ、休みをとってやってきた。
ガラス作家・山野アンダーソン陽子さんと写真家・三部正博さんの二人展「Longing for Grey」が、〈VAGUE KOBE〉で始まったからだ。
 
実は、二人展を予定しているという話は、少し前から聞いていた。
というのも、スウェーデン特集では今回、「光のまちに生きる人、生まれるもの」というテーマで、ストックホルムとグスタフスベリでものづくりに携わる人たちに取材をしているのだけど、その撮影を担当してもらったのが三部さんで、取材に協力いただいた6組のクリエイターのうちの1人が山野さんだった。
 
展示の内容は聞いていなかったけれど、スウェーデン滞在中、2人が展示に向けて試行錯誤している様子がみてとれ、展示が始まるのを、今か今かと待ちわびていた。

海岸通に面した歴史あるチャータードビルの4F、〈VAGUE KOBE〉へ足を踏み入れる。
いくつかにわかれた部屋には、山野さんの約250点のガラス作品と、三部さんがスウェーデンで撮影した新作シリーズの写真が展示されていた。
 
今回の展示は、二人が好きな「グレー」がテーマ。もともと、カクテルや冬の飲み物を楽しむためのグラスを作るということがコンセプトにあったそうで、曇りがちな日が多い秋に撮影をすることにしたのだという。
 
初日ということもあり在廊していた二人に少し話を聞くと、山野さん自身は晴れ女だそうで、撮影の度に曇り空を待っていたことから、Waiting for Greyというタイトル案があがり、最終的に「Longing for Grey」という展示タイトルに決まったのだと教えてくれた。

山野さんの作品には透明なガラスが多いが、希少な色付きのガラス作品も。

デカンタ、ピッチャー、ドリンキンググラスなど、部屋ごとに異なる山野さんの作品と、三部さんの写真が展示されている。

VAGUE KOBE〉は元銀行の建物で、こちらは金庫だった場所。モノクロ写真と、黒のガラス作品が、異様な煌めきを放つ。

会場では、〈Stockholms Bränneri〉とコラボした展示限定のジンで、カクテルも味わえる。

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ピッチャー、デカンタ、ボウル、カクテルグラス、ワイングラス、ノンアル用のドリンキンググラスなど。量産されたクラフトが好きだという山野さんがグスタフスベリの工房で吹いて作った作品たちは、遠目には似ていても、一つひとつ表情が違う。
湖、道路、森、海岸など、スウェーデン各地で撮影されたという三部さんの写真は、あえて場所が特定できないような匿名性を秘めている。
 
どこかにありそうで、どこにもないもの。あるいは、どこかにあるけど、どこかだかわからないもの。そんなグレーな二人の作品を行ったり来たりしながら眺めていると、透き通るガラス作品の中に風景が映し出されているような不思議な気分になった。
デザイナー・柳原照弘さんが改修設計を手がけ、運営にも携わっている〈VAGUE KOBE〉の空間もまた、ボーダーレスな世界観にぴったり。すっかり長居してしまった。
 
展示会場では、ストックホルムのクラフト蒸留所〈Stockholms Bränneri〉とコラボレーションして限定製造したクラフトジンも販売。
パッケージデザインも素敵だし、山野さんのグラスで飲んだら格別だろうなぁ、とつい手が伸びる。迷いに迷って“目があった”グラスと、ジンを持ち帰ることにした(三部さんの写真は、ボーナスが出たら検討します…!)。
 
「Longing for Grey」の会期は、2026年1月19日まで。また、12月27(土)には、三部さんと山野さんも在廊して、トークイベントが開催されるそう。
 
またのんびり異世界に浸りに来ようかな。

Information

VAGUE KOBE

住所

兵庫県神戸市中央区海岸通9−2 4F

時間

12:00〜18:00

定休日

火・水・木

(おまけ)

展示の合間に、気になっていた神戸の本屋さんへ駆け足で立ち寄ってきた。
1軒目は、新刊から古本、リトルプレスまでを扱う書店〈1003〉。
2軒目は、ギャラリースペースを有し、国内外の写真集やアートブックを揃える〈THE BOOK END〉。
それぞれ個性のあるセレクトで、(ゆっくりみられなかったけれど…)気になる本がたくさん。
 
やっぱりまた来なきゃ!

ここかな? と、心配になりながら雑居ビルの5Fに上がり、〈1003〉の扉を開いた先に広がる本の宇宙。

〈THE BOOK END〉は、歴史的建造物の海岸ビルヂング3階にある。

写真集とアートブックに特化したセレクトの〈THE BOOK END〉。不定期で写真展示も行われている。

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Information

1003(センサン)

住所

兵庫県神戸市中央区栄町通1-1-9 東方産業東方ビル 504号室

時間

12:00〜19:00

定休日

なし(年末年始休み)

Information

THE BOOK END

住所

兵庫県神戸市中央区海岸通3-1-5 302

時間

11:00〜18:00

定休日

火・水

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Photo by

Yayoi Arimoto

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