アップルパイも、シードルも、鉄道も!?
青森のリンゴをめぐる冒険へ

連載:47都道府県ローカルのすゝめ|青森県vol.1

アップルパイも、シードルも、鉄道も!?
青森のリンゴをめぐる冒険へ

People :青森県

TRAVEL&EAT

2024.10.25

7 min read

北は北海道から、南は沖縄まで、ひとくちに日本といっても、食べ物、お祭、習慣、自然が織りなす景色まで個性はさまざま。その土地ならではの愉しみ方は、その土地の人に訊くのが一番!
ということで、連載「#47都道府県ローカルのすゝめ」はじまりました。

本州最北からは、10月から旬を迎える青森ならではのリンゴの楽しみ方をお届け。 教えてくれたのは、「ふじ」リンゴ発祥の地・青森県藤崎町出身の青森県庁 観光交流推進部の白戸七虹さん!

Text:Nanako Siroto Special Thanks:青森県庁 観光交流推進部

青森県ってどんなところ?

本州最北端にある青森県は、雄大な自然とその自然の恵みが生み出す新鮮でおいしい食材、昔ながらの郷土料理、そして白神山地と縄文遺跡群の2つの世界遺産をもっており、多くの人を魅了する宝箱です。
 
春は桜や菜の花などの見渡す限りのお花畑、夏はねぶた祭りをはじめとする数々のお祭り、秋は鮮やかな紅葉とともに、特産品であるリンゴが実りを迎え、冬は北国ならではの雪を活かしたお祭りやアクティビティ、冷えた体と心を温める温泉があります。四季を全身で楽しむことができるのも青森県の魅力です。
 
青森県に住む人びとは、自宅のお風呂より近所の銭湯のほうを好んで通う“銭湯ヘビーユーザー”(もちろんほとんどが温泉銭湯!温泉大好き県民なんです)だったり、早寝早起きランキング日本1位の称号をもち、朝から銭湯や朝市に行く活動的な一面があったり……独自の方言を話す以外にも、なかなかにおもしろい県民性の人たちが住むところでもあります。
 
一度青森を訪れた人は、食材のおいしさや絶景はもちろん、街の人びとの空気感もクセになり、きっともう一度来たくなる。青森県は、噛めば噛むほど味が出てくる、そんなスルメ県なのです(八戸のスルメイカも美味です)。

青森の秋冬といえばリンゴ!

たくさんの見どころがある青森県ですが、まずは秋に実りの時期を迎えるリンゴにフォーカスして、魅力をお届けします。

乗って楽しいりんご畑鉄道

青森県には、全国でも珍しいリンゴ畑の中を走る鉄道があります。
その名も、弘南鉄道大鰐(おおわに)線。リンゴの街・弘前市の中心にある中央弘前駅から電車に乗ると、車窓の景色は、街から田園へ、そして一面のリンゴ畑へと変わります。リンゴが赤く色づきはじめる10月から収穫最盛期である11月中旬まで、真っ赤なリンゴたちに囲まれながら電車に乗ることができます。

リンゴ畑ではないですが、田んぼの中を走る弘南鉄道も美しいです。

地図を手に弘前アップルパイ探索

リンゴの香りとパイ生地のバターの香りが溶け合う……魅惑のリンゴスイーツといえばアップルパイ!

リンゴの街・弘前市には、アップルパイを提供するお店がたくさん。そして、お店によってアップルパイの味も見た目もさまざま。「たくさんありすぎてどこに食べに行けばいいかわからない……」というそんなあなたのために、弘前市内のアップルパイガイドマップがあるんです!

マップにはアップルパイの甘味・酸味・シナモンの度合いも記載されているため、味の好みでお店を開拓できます。アップルパイガイドマップは以下のリンクからPDFでダウンロードできます。具体的な店舗情報もこちらから確認できるんです。
 

ここでアップルパイガイドブックに掲載されているお店をひとつご紹介。
 
中央弘前駅から徒歩15分。〈可否屋 葡瑠満(かうひいや ぶるまん)〉。
ここでは、マスターの宮本孝紀さんが毎日手づくりするアップルパイを提供しています。
コトコト煮たリンゴをパイ生地の上に乗せてオーブンで焼いたアップルパイ。リンゴ本来の甘さと酸味がしっかりと感じられる優しい味です。
 
このアップルパイ、フォークは使わずに手で持っていただきます。リンゴとパイ生地が一緒に口へ運べるように手で食べることをおすすめしているんだとか。

使っているリンゴは、奥様の実家で作っている完熟の「ふじ」リンゴ。

煮たリンゴのことは「煮りんご」といいます。水は一滴も加えず、リンゴから出る水分だけで煮詰めています。

棚一面のカップたちの前でコーヒーを淹れる様子を眺めながら一杯をいただく。

穏やかな上品さがとても心地のよい喫茶店です。
マップ片手にアップルパイの食べ歩き、ぜひ楽しんでみてくださいね。

Information

可否屋 葡瑠満

住所|青森県弘前市下銀町17-39

電話|0172-35-9928

営業時間|10:00~17:00、第2、4火曜定休日

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シードル日本発祥の地で飲み比べ!

リンゴの名産地・弘前市は、日本のシードル発祥の地でもあり、シードルの種類も豊富です。
甘口・辛口や、リンゴの品種のブレンドによって味が異なり、また基本的にシードルは低アルコールであることから、飲み比べを楽しむことができます。

弘前市内で豊富な種類のシードルを取り揃えているのは〈ハチドリ酒店〉。こちらも、中央弘前駅から徒歩15分程度。

店内では、お酒の購入はもちろん、缶詰などのおつまみ商品も多く取りそろえており、購入したおつまみ片手に、立ち飲みスペースやテラス席で、試飲や角打ちもできます。

2024年8月の試飲メニュー。左3本がおすすめの日本酒。右3本がシードル。お酒は、お店がセレクトしたおすすめのもの。

季節に合った試飲メニューを毎月提案していて、来るたびにいろいろな味を楽しめます。詳しくは、公式Instagramでご確認を。
シードル初心者の入り口に、飲み会のゼロ次会に、気軽に立ち寄れる酒店です。

Information

ハチドリ酒店

住所|青森県弘前市富田3-7-10

電話|0172-39-2525

営業時間|10:00~20:00

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りんご酢といったら「カネショウ」

青森県には強いこだわりをもってりんご酢を造っている会社があります。その名も「カネショウ」。

一般的なりんご酢は、外国産のリンゴ果汁を原料とすることがほとんどですが、ここ「カネショウ」のりんご酢は、青森県産リンゴを100%使用。
 
また、果汁ではなくリンゴを皮ごとすりおろして醸造する独自の製法をとっているため、ツンとしたトゲの少ない、コクのあるりんご酢なのです。世界遺産である白神山地でとれた天然酵母での発酵や木樽熟成など、こだわりが満載。

水で割って飲んだり、料理に使ったりもおすすめですが、牛乳に入れるのもおすすめです。冷たい牛乳とよく混ぜ合わせるとドリンクヨーグルトのようになり、りんご酢がよりマイルドに、飲みやすくなります。公式サイトでは、りんご酢を使ったレシピも公開中。

Information

カネショウ株式会社

本社|青森県弘前市蔵主町15-23

電話|0120-300-231

 

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「捨てない」からはじまったリンゴの木工

リンゴの木を使ったものづくりを行う町工場「木村木品製作所」。弘南鉄道千年駅から徒歩10分です。

もとは家具や建具の製造を行っていたのですが、知人からの「伐採されたリンゴの木が大量に余っている。どうにかできないか」という相談をきっかけに、リンゴの木のものづくりをはじめました。
 
それまでリンゴの木は、細くてコブや空洞も多いため、加工するのがとても難しく、ほとんどは燃料として使うか、廃材として捨てられるだけ。
 
木村木品製作所では、長い時間試行錯誤を重ね、そして時には周囲の力を借りながら、やっかいな木を雑貨やアクセサリーにアップサイクルすることに成功しました。
見た目の可愛らしさはもちろん、しっとりとした手触りはリンゴの木ならではです。

Information

有限会社木村木品製作所

住所|青森県弘前市千年4-3-17

電話|0172-87-2747

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ほかにも!リンゴ自体を購入できたたり、収穫体験をできたり、青森にはリンゴを堪能できるスポットがたくさんあります。
 
・弘前市りんご公園(弘前市清水富田寺沢125)
 りんご公園内「りんごの家」にてリンゴやリンゴの加工品を購入可能。ほか収穫体験やイベントも開催。
https://www.hirosaki-kanko.or.jp/edit.html?id=ringopark
 
・道の駅なみおか「アップルヒル」(青森市浪岡大字鹿沢野尻2-3)
 新鮮なリンゴを購入できるほか、収穫体験もできます。レストランやお土産の品揃えも豊富。
https://www.applehill.co.jp/
 
・石井果実店(弘前市土手町111)
 贈答用の果物を扱う老舗のお店。リンゴの収穫時期になると、木箱に入った上質なりんごが並ぶ。
https://webcard.jp/ishii/
 
そのまま食べるのはもちろんのこと、アップルパイ、シードル、りんご酢、木工品まで、いろんな姿に変化して楽しませてくれる青森のリンゴ。旬を迎える秋だけでなく、一年中リンゴを楽しみにきてくださいね。

青森県をもっと知りたくなったら!

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Masumi Ishida

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