北は北海道から、南は沖縄まで、ひとくちに日本といっても、食べ物、お祭、習慣、自然が織りなす景色まで個性はさまざま。その土地ならではの愉しみ方は、その土地の人に訊くのが一番!
ということで、連載「47都道府県ローカルのすゝめ」はじまりました。
北陸の福井県からは、大河ドラマで話題の紫式部が暮らした越前市出身、福井県東京事務所の堀川亜希子さんが地元ならではの蟹の食べ方を教えてくれました!
Text:Akiko Horikawa Special Thanks:福井県東京事務所
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突然ですが、2024年3月にあった福井県にまつわるうれしいニュースを覚えていますか?
福井県民にとってのビッグニュースといえば、なんといっても「北陸新幹線福井・敦賀間開業」!
東京から福井まで、乗り換えなし、最速2時間51分で行くことができるようになりました。
では、「福井県」と聞いて思い浮かべるものはなんでしょうか?
定番なのは、越前がに、永平寺、東尋坊……最近は恐竜も推していますし、2024年の大河ドラマ『光る君へ』では紫式部が京の都を離れて過ごした土地として描かれています。
もちろん、福井県の魅力はそれだけではありません!
たとえば私の地元、県の中央部にある越前市では伝統産業がとても盛んで、古くから続くものだけでなく、革新的なプロダクトも生産しています。
1500年の歴史をもち、ルーヴル美術館の収蔵品の修復や宇宙滞在用の服にも使われている越前和紙。紙の神様を祀る神社〈岡太(おかもと)神社・大瀧神社〉もあり、その屋根の意匠は「日本一複雑」といわれています。
いまや国内だけでなく、海外の有名シェフからの引き合いも多い、越前打刃物(えちぜんうちはもの)。あの木村拓哉さんがシェフを演じたドラマで使われたことでも話題になりました。
まだまだあります!
明治時代はヨーロッパとの玄関口、現在は北陸新幹線の終着駅、敦賀。
福井県美浜町と若狭町にまたがる5つの湖、三方五湖(みかたごこ)。水質や水深が異なる関係ですべて濃さの違う青色に見える「五色の湖」と呼ばれています。
五つの湖を一望できる唯一のスポット、レインボーライン山頂公園のテラスからは、五湖の背景に山々の連なり、若狭湾がおりなすパノラマを堪能することができます。
また、近くには湖で獲れたウナギなどをいただけるスポットもあるんですよ。
三方五湖のひとつ、水月湖では世にも貴重な「年縞」が採れるんです。年縞とは、規則正しく積み重なったシマシマ模様の地層のことで、水月湖の年縞は世界一の長さ(45m、なんと7万年分!)を誇ります。考古遺物の年代測定の精度を飛躍的に向上させた、「世界標準の年代ものさし」として大変貴重な年縞を展示した博物館。建物の設計は内藤廣設計事務所で、建築も美しいです。
などなど、決して知名度が高くない地味な県ではありますが、歴史、文化、産業、自然、実はどの切り口でもおもしろく巡っていただけるのです。
そんな「地味にすごい」福井県をぜひ現地で体感していただけたらうれしいです。
そして! これからの季節、福井県に来たらぜひ食べたいものといえば、そう「越前がに」。甘くてぷりぷりの脚とぎっしり詰まった蟹味噌が特徴の、冬の王者です。漁場が近く、水揚げ後すぐに新鮮な状態で港に運ばれるのもおいしさの秘訣でもあります。
字面の迫力が全国に轟いている反面、「でも、お高いんでしょう?」というお声もいただきます……。
安心してください。地元なら、預金口座と相談しなくても食べられる越前がに、あります。
いわゆる「越前がに」でイメージされる大きくて立派な蟹は、実は全部オスのズワイガニだということを知っていましたか?
今回ご紹介するのは「せいこがに」と呼ばれるメスのズワイガニです。
サイズはオスに比べると小さめ。越前がに漁が始まる11月6日から年内までしか獲れないので、県外にはほとんど出回りません。
オスとの違いは大きさ以外にも。メスであるのせいこがにのお腹には、「外子」「内子」と呼ばれる卵や「内子」と呼ばれる卵巣が詰まっています。外子はプチプチとした食感、内子はとろけるような旨みがあり、お好きな方にはたまらないでしょう。
そんなせいこがにですが、オスと比べて比較的お手ごろな価格で手に入れることができます。福井県内ではスーパーで塩茹でされた蟹が売られているんですよ。スーパーの冷蔵ケースを埋め尽くす蟹の陳列は圧巻です。
また、スーパーを訪れたらお総菜コーナーにも注目してみてください。共働き率が日本一の福井県は、お総菜コーナーも充実!「たくあんの煮たの」のような郷土料理もあって福井の日常を切り取ったような気分になれること間違いなし。
11、12月にかけて福井県を訪れたら、ぜひせいこがにを探しにスーパーに寄ってみてくださいね。
福井県がもっと知りたくなったら!