国名:アイスランド共和国(Republic of Iceland)
面積:10万3000㎢
人口:37万人(2021年時点)
首都:レイキャヴィク
通貨:1クローナ=約1.08円(2023年時点)
宗教:人口の約70%がアイスランド国教会
言語:アイスランド語
北海道と四国ほどの面積に、約37万人が住むアイスランド。厳しい自然に囲まれているというけれど、みんなどんな暮らしをしているの?衣食住やアイスランド人を取り巻く環境に目を向けて、彼らの日常を俯瞰してみよう。
text:TRANIST
ヨーロッパ大陸の北西に位置するアイスランド。厳しい自然環境のもとでは、人びとは常に協力して暮らさざるをえなかった。
北極圏にほど近い北緯63〜66度という極北に位置することから、夏は白夜、冬には極夜が訪れオーロラが現れる。とくに日照時間は夏が21時間、冬は3時間と差が大きい。現代では時刻にあわせて規則正しい生活を送る人が多いが、近代以前は季節を中心に生活を変えていたという。夏は家畜や牧草を育てるため、長時間働いて冬に備え、農閑期の冬は限られた時間のなかで、浅瀬に産卵するタラを漁獲するといった具合だ。
季節に即した生活の名残が、今も学校の夏休みにある。アイスランドの夏休みは6月頭から8月末までと非常に長く、この期間に子どもたちは子羊の世話や牧草の刈り入れをするのが一般的。そうした手伝いをへて、子どもたちは牧畜や漁業の方法を体得しながら、おのずと協力して生きることを学んでいくのだ。
家族や隣人との共同作業が当たり前という環境を通し、アイスランドの人びとは他者を尊重する文化を育んできた。最初にこの土地へ入植した人びとは絶対的な権力者をつくらず、全島集会で重要事項を決定したが、そういった自主性のある気質も関係しているのかもしれない。
高福祉のために税金は高いが、世界有数の幸福度を誇るアイスランド。その暮らしは、先人が積み上げてきた協力の文化に支えられている。
国名:アイスランド共和国(Republic of Iceland)
面積:10万3000㎢
人口:37万人(2021年時点)
首都:レイキャヴィク
通貨:1クローナ=約1.08円(2023年時点)
宗教:人口の約70%がアイスランド国教会
言語:アイスランド語
伝統的に羊毛を衣類に加工してきた。近年は継ぎ目のない編み方と、首回りの模様が特徴的なセーター、ロパペイサが男女問わず人気。大量の糸がヨーロッパから流入した20世紀初頭に国産羊毛の活用先として生まれたといわれ、国民服的な地位を獲得している。色彩に乏しい冬は、カラフルな服装を選ぶ人が多くなる。Tシャツなどは輸入品が多く、物価の高い国内では比較的高価なため、ヨーロッパの都市やネットショップで購入する人も。
氷に閉ざされる冬に備えて保存食が発達した。サメを発酵させたハウカットル、羊の燻製ハンギキョート、羊の内臓を乳清につけ込んだ珍味など、今でも伝統食が数多く残る。伝統食を食べる行事・ソーラブロートでは、羊の頭を茹でたスヴィーズが定番。近年は地熱を利用した温室栽培を行うことで、キャベツやカブ、ジャガイモなども生産できるようになっている。フランス料理やイタリア料理の手法を取り入れた料理も登場し、食の幅が広がっている。
内陸部は火山岩に覆われているため、沿岸部に町が点在。レイキャヴィクなど都市部に人口の約7割が集まる。都市部では集合住宅が一般的で、ラーズフースという四軒ほどが横に並んだ長屋や、一軒家を上下で分け合うハイズなどカラフルな建物が並ぶ。田舎は一軒家が主流。自分で造る場合も多く、柱を立てたり屋根をかぶせたりと大がかりなことは家族だけでなく親戚も手伝う。
国民の93%が話すアイスランド語。9世紀頃の文法や発音がほとんどそのまま保たれた珍しい言語でもある。ほかの言語と接する機会が少なかったこと、キリスト教化の後も聖書や詩歌がラテン語ではなくアイスランド語で作られていたことがその理由だ。継承と保存に力を入れており、政府の国語委員会は外来語や新語をすべて国の言葉に置き換えて発表している。小学校から英語とデンマーク語を習うため、国民の大半はトリリンガルだ。
TRANSIT本誌ではここで紹介したアイスランドの基礎情報のみならず、豊かな自然やそこで暮らす人びとの等身大の生活まで、さまざまなスケールでアイスランドを見つめました。北海道と四国をあわせたほどの面積に、人口約34万人が暮らす小さな国の魅力を総力特集しています!