伝統的な区分と代表的な地方
都道府県にあたる「ランスティング」、市区町村にあたる「コミューン」の行政区分とは別に、「ランドスカープ」という伝統的な地域区分がある。日本の「武蔵」「相模」といった旧国名のようなもので、ラップランド地方、ダーラナ地方など「地方」と訳されることが多い。天気予報やガイドブックなどで日常的に使われている。
連載|What's?
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2026.02.06
ユーラシア大陸から延びるスカンディナビア半島で誕生したスウェーデン。
スウェーデンを旅するとき知っておきたい、挨拶、通貨、地理情報から、歴史、文化までを解説!
とくに歴史は「氷」、文化は「水」の視点で、スウェーデンという国を読み解いていく。
Text:TRANSIT Illustration:Sora Mizusawa Supervision:Yoshiaki Tsuda
⚫︎正式名称 スウェーデン王国
⚫︎面積 約45万㎢(日本の約1.2倍)
⚫︎人口 約1,055万人(IMF2023年)
⚫︎首都 ストックホルム
⚫︎言語 スウェーデン語、少数言語(フィンランド語、サーミ語、ロマ語、イディッシュ語、メアンキエリ語)
⚫︎宗教 プロテスタントが多数
⚫︎通貨 1スウェーデン・クローナ:16.17円 ※2025年11月時点
⚫︎アクセス
日本→ストックホルム・アーランダ空港
アーランダ空港→ストックホルム中央駅
⚫︎気候
スウェーデンの南部に位置するストックホルムは、夏は20℃前後まで気温が上がり、深夜でも薄明るく白夜のような夜を過ごすことができる。冬は寒さが厳しく平均気温はー1℃程度。年間を通して日本と比べて湿度が低く爽やかな気候だ。季節によってさまざまな楽しみ方ができるのが魅力。
(出典:国土交通省 気象庁)
⚫︎通貨
1スウェーデン・クローナ:16.17円 ※2025年11月時点
⚫︎あいさつ
こんにちは
Hej (ヘイ)
さようなら
Hej då! (ヘイドー)
ありがとう
Tack(タック)
どうぞ、どういたしまして
Var så god!(ヴァーショグ)
おいしい
Gott(ゴッ)
ごちそうさまです
Tack för maten(タックフォルマートゥン)
またね
Vi ses! (ヴィセ―ス)
はい
Ja(ヤ)
いいえ
Nej(ネイ)
© Mina Soma
スカンディナビア半島の南北に、標高2,000mほどのなだらかなスカンディナビア山脈が延びる。その東側に位置するスウェーデン。地図を眺めてみると気になるのが、複雑に入り組む無数の湖や島々。とくに島の数は世界一というから驚きだ。
この特徴的な地形をかたちづくったのが、かつて複数回あった氷期にスウェーデン全体を覆っていた厚い氷床だ。地表の氷が解けたり凍ったりを繰り返すうちに地面が削られ、無数の湖や島ができていった。氷の重みで地盤が沈下し、ボスニア湾が生まれた。やがて、北ゲルマン人がスカンディナビア半島周辺に住むようになった。島や湖が入り組む土地で船の技術を発展させ、8世紀から11世紀にかけてはヴァイキングとしてヨーロッパ中の海上を席巻した。その後、北欧各地で国家が形成され、そのうちの一つがスウェーデンとなった。
暖かいメキシコ湾流の影響で緯度の高さに対して比較的気温が高く、国土の約7割が森林のため林業が盛ん。ボスニア湾沿岸はニシン漁で栄えた。海を隔てて近隣の国々とつながる南部は、第二の都市ヨーテボリや元デンマーク領のマルメが経済の要所となった。産業革命以降は北部で鉄鉱山が開拓され工業が発展したが、湖の水質汚染や酸性雨に悩まされることになり、積極的に対策に取り組んできた。北欧一の経済発展を遂げながら、環境先進国としても存在感を放つスウェーデン。その真髄には、古から水とともに生きてきた人びとの矜持があるのかもしれない。
⚫︎水面に浮かぶ北欧一の首都。
メーラレン湖をまたぎ、いくつもの島と橋で構成される首都ストックホルム。中世から遺る建築と水面が織りなす光景は北欧のヴェネツィアと呼ばれる。
© Mario & Debbie
⚫︎水力は重要なエネルギー源。
川や水の多いスウェーデンでの発電は、原子力発電が約3割、水力発電が約4割を占める。電力の約6割は再生可能資源に由来している。
© Rebecca Horwood
⚫︎湖いっぱい、ととのいパラダイス。
スウェーデン語で「バストゥ」と呼ばれるサウナ。80度前後の熱いサウナで体を温めたあとに、冷たい湖に飛び込むのがスウェーデン流の温冷浴だ。
© Hilla Aspman/imagebank.sweden.se
⚫︎世界一、島が多い国。
26万7570の島があり、その数は世界一。無数の小さなアーキペラゴ(群島)はスウェーデン人がバカンスを過ごすためのサマーハウスとして機能している。
© Per Pixel Petersson/imagebank.sweden.se
⚫︎北部 ー神秘的な風景が広がる最果ての地ー
夏は一晩中太陽が沈まない「白夜」、冬には逆に一日中太陽が昇らない「極夜」の時期がある。北緯66度33分以北の北極圏付近は「ラップランド」と呼ばれ、先住の民サーミたちが遊牧生活を送る。豊かな水と樹木を生かした製紙業や、鉄鉱業が盛ん。
ラップランドの湿原を含む壮大な景観は世界遺産にも登録されている。冬季にはオーロラが見られることも。
© Hak Liang
⚫︎中部 ー“スウェーデンらしさ”に出合うー
針葉樹と広葉樹が混在するなど、北部と南部の両方の特徴をもつ。北欧最大の都市である首都ストックホルム、伝統文化が色濃く残るダーラナ地方、植物学者のリンネや「摂氏」の語源であるセルシウスを輩出した学術都市ウプサラといった街を擁する。
ダーラナ地方は民族的な伝統や木造の農家、素朴な工芸品が多く残り、スウェーデン人の心の故郷といわれる。
© Eje_b
⚫︎南部 ー豊かで歴史ある街が集まるー
欧州に広く分布する広葉樹も生育でき、かつ穀物が育ちやすい肥沃な土地が広がる。南端のスコーネ地方はかつてデンマークと領有をめぐり争った土地。ヨーテボリやマルメは古くから経済・交通の要衝として発展し、現在は移民も多く暮らす。
アブラナ畑の花が咲き誇る様子は、スコーネ地方の春を象徴する風景だ。
© Jerker Andersson/imagebank.sweden.se
都道府県にあたる「ランスティング」、市区町村にあたる「コミューン」の行政区分とは別に、「ランドスカープ」という伝統的な地域区分がある。日本の「武蔵」「相模」といった旧国名のようなもので、ラップランド地方、ダーラナ地方など「地方」と訳されることが多い。天気予報やガイドブックなどで日常的に使われている。
津田吉晃(つだ・よしあき)
筑波大学生命環境 系・山岳科学センター菅平高原実験所准教授。 専門は環境・農学、生物資源保全学、集団遺伝 学・ゲノミクスなど。これまで計4年間スウェー デンに滞在し、ウプサラ大学で研究した。
筑波大学生命環境 系・山岳科学センター菅平高原実験所准教授。 専門は環境・農学、生物資源保全学、集団遺伝 学・ゲノミクスなど。これまで計4年間スウェー デンに滞在し、ウプサラ大学で研究した。