#気になる人の気になる旅
by 清水みさと
「すべてが愛しいジャイプル」初めてのインド旅

月刊TRANSIT/みんなのインド旅計画

#気になる人の気になる旅
by 清水みさと
「すべてが愛しいジャイプル」初めてのインド旅

People: 清水みさと

TRAVEL

2025.02.08

4 min read

インドを旅するのは、一筋縄ではいかないこともある。それでも一生に一度は行きたい、 はまったら何度だって行きたい、ほかに代わりのきかない唯一無二のインドを旅したい! そんなインド熱に浮かされた人たちにおくる、月刊TRANSIT「みんなのインド旅計画」。

今回お話を聞いたのは、大のサウナ好きとしても知られるタレント・俳優の清水みさとさん。日本はもちろん、サウナのためなら世界中どこへでも飛び出していく清水さんが、なぜインドに向かったのか? 『TRANSIT Travel Guide INDIA』(2024年10月発売)を入手したとの情報を得て、今回のインタビューが実現しました。

Photo : Kei Fujiwara

Text:TRANSIT

サウナと無縁の国へ。

基本的にはサウナや温泉を探して旅をするんですけど、インドはそれに関係なくずっと行ってみたかった国の一つだったんですよ。なかでもピンクシティと呼ばれているジャイプルは街並みもかわいくて、手仕事も盛んな街ということは知っていたので、手始めに行くならジャイプルかなと漠然と思っていました。
 
そんなときに、雑誌の撮影で初めてお会いしたヘアメイクさんと旅の話になって。「次はどこに行きたいの?」と聞かれたとき、「インドのジャイプルに行ってみたい」と言ったら「待って、私も」と言われてすぐに意気投合したんです。その方も、昨年スリランカを旅していて「次に行くならインドだ」と思っていたみたいで。現地集合・現地解散ならお互いに楽だし、「初めましてだけど、行く?」という流れになりました(笑)。そしてお互いのタイミングが重なる2024年の9月末に初めてインドへ向かいました。

呼ばれてる?呼ばれてない?

ただ、私は前後も仕事の日程が詰まっていたのでインドでの滞在は4日間のみ。友人には「そんな短い期間でインド行く人いる?」と言われて(笑)。それに、目安とされている日数を過ぎてもインドのe-VISAがおりなくて、前日まで行くかどうか結構悩みました。やっぱり4日間のためだけに行くのはもったいないかな、とか。でも、もうチケットも取っているし、やっぱりヘアメイクさんとも現地集合したかったので、もう賭けにでようと思って。デリーからジャイプルまでのトランジットは1時間半しかなかったけれど、デリーの空港でArrival VISAを取ることにしました。
 
いよいよインド行き当日。運悪く日本からデリー行きの飛行機も遅れていたので、デリーに着いた瞬間、超全速力で走って。そうしたら奇跡的にArrival VISAのカウンターに誰も並んでいなかったんです。長いときは3時間くらいかかると聞いていたので覚悟はしていましたが、無事VISAをゲットしてジャイプル行きの飛行機に乗れました。

ただ、これで終わりではなかった。空港から40分くらいかけて、夜10時にやっとホテルに着いたと思ったら、そこでパスポートがないことに気づいて……。パスポートをなくしたのなんて、人生で初めてでした。もう踏んだり蹴ったりで、「私、もしかしてインドに呼ばれてないのかも?」と思えてきて。
 
ただ、冷静に考えたら、ジャイプルに着いてからパスポートを出した記憶があるのは空港の両替所だけだったんです。ひとまず、空港から送ってくれたタクシーの運転手さんに名刺をもらっていたので、連絡したら運転手さんが戻ってきてくれて。また40分かけて空港に戻りました。それで、不安になりながら両替所に並ぶインド人の行列をかき分けて窓口へ行ったら、両替所の人が私の顔を見た瞬間「あっ!」という表情をしていて。「ごめん、渡し忘れていた」というノリでパスポートを返されました(笑)。私が思わず「ああ、よかった」とその場で安堵していたら、周りのインド人たちも拍手しながら「よかったね」「イエーイ」と言ってくれて(笑)。「あ、インド好きかもしれない」と思いました。みんな明るくて優しくて、あれ?聞いていたインドと違うなって。それが始まりで、人がいいなというのがインドの第一印象でしたね。

新手のスキンシップ?

それに私、すごくインドでモテたんですよ。一緒に写真撮ろうと声をかけられることは日本人ならよくあると思うんですけど、私の場合、老若男女にほっぺをつねられるんです(笑)
 
豪華な宮殿の「シティパレス」に行ったときも、インド人観光客のお母さんたちに写真撮ってって言われて。ただ写真を撮るだけかと思ったら、次から次へと私のほっぺをお母さんたちが触るんです。もう、最後はつねりあげられる感じ。ブロックプリントブランドの〈アノーキー(ANOKHI)〉が運営するアノーキーミュージアムでワークショップに参加したときも、木版プリントを体験させてくれたおじいちゃんになぜか最後ほっぺをつねられたんです。みんな赤ちゃんに接するような感じでした(笑)

知らない人の家庭にもお邪魔しました。外から素敵なおうちだなって眺めていたら、家の人が気づいておいでおいでって手招きしてくれて。そこの家族がとても素敵だったんですが、1人若い男の子がいて。そのお母さんが、うちの息子と結婚してくれって(笑)。いろんな国を1人で旅してきましたけど、ほっぺを触られたのも、求婚されたのもインドが初めてです。

「初めてのインド」におすすめの街。

ジャイプルを初めてのインド旅に選んだのは正解だと思いました。街もかわいくて、会う人会う人いい人で。偶然出会ったオートリキシャの運転手さんもとてもよくしてくれました。老舗のラッシーのお店や、地元の人しか知らないようなローカルな食堂、観光地ではない階段井戸、ブロックプリントのお店などもたくさん回ってくれてすっごく楽しかった。ホテルも素敵だったし、初めてのインドにジャイプルは本当におすすめです。
 
ただ、運転手さんにアノーキーの本店に行きたいと伝えたのに、着いたところがなんだかすごく古めかしかった(笑)。インドを代表するブロックプリントブランドの本店が、こんなに寂れているはずがない……と思って入ったら、商品はとてもかわいいんですよ。で、パジャマとかポーチとかたくさん買って、袋見たら「アナーキー」って書いてあって(笑)。「これ、アナーキーじゃん!」って言って、急いでアノーキー本店へ行ってもらいました。

自分とは真逆の「普通」。

ハワーマハル前の交差点って、ものすごい交通量じゃないですか。でも、みんな平然と車の間をすり抜けて渡っていく。私は怖くて、前にいた知らないおじさんの服をつかんで一緒に渡っていました(笑)。
 
リキシャの運転手さんに聞いたんですけど、インドでは道を渡るときに絶対走ってはダメなんだそうです。走って渡ったら逆に事故に遭う。歩く速度をわかっているから、みんなうまく避けることができるんだと言っていました。すごいバランス感覚ですよね。
 
車間距離とかもほとんどないし、常にギリギリを攻めている。こちらからは生きるか死ぬかの瀬戸際に見えても、インドの人たちはその状態が普通というか。自分のなかの「普通」がすべてひっぺがされていく感覚がすごく心地よかったですね。
 
楽しかったり刺激的だったりしても、それで満足してしまって「もう一度行きたい」とはならない国もあります。でも、インドは見事にハマってしまった。ちょうど帰国後に『TRANSIT Travel Guide INDIA』が発売されたんですが、ジャイプルのページを見て答え合わせをしたり、次のインド旅の計画を立てたりしています。次はバラナシへ一人で行く予定です。

【Misato’s Recommendation】

  • Eat/Shree Suraj Restaurant

    ジャイプル観光のハイライト、アンベール城へ向かう道の途中にある地元民に人気の食堂。

    伝統的なラージャスターンターリーも味わえる。

  • See/Panna Meena ka Kund

    アンベール城近くにある小さな階段井戸。

    ジャイプル市街地から車で1時間ほどかかるChand Baoriに規模は劣るが、観光客も少なくのんびり過ごせる。

  • Experience/Anokhi Museum

    ブロックプリントの一大ブランド〈アノーキー〉が展開するミュージアム。

    職人による実演や参加型ワークショップ、歴史や技法にまつわる展示なども。

  • Shopping/Anokhi

    インド各地に支店をもつ〈アノーキー〉の本店。

    豊富なラインアップのほか、サンドイッチやタイカレー、パスタなどの多国籍料理が味わえるカフェも人気。

  • Stay/Umaid Bhawan-A Royal Heritage Style Boutique Hotel

    ジャイプルを代表するヘリテージホテルの一つ。

    マハラジャのハヴェーリー(邸宅)を改装した伝統的建築と贅を尽くした調度品の数々にも圧倒される。

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Profile

俳優/タレント

清水みさと(しみず・みさと)

日本や世界中のサウナをめぐるサウナ狂としても知られ、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(AuDee/JFN全国21局ネット)のパーソナリティーを務めるほか、るるぶ「あちこちサウナ旅」、サウナイキタイ「わたしはごきげん」、リンネル「食いしんぼう寄り道サウナ」、オレンジページ「本日もトトノイマシタ!」など多数の連載を担当する。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー』など舞台でも活躍中。

日本や世界中のサウナをめぐるサウナ狂としても知られ、ラジオ「清水みさとの、サウナいこ?」(AuDee/JFN全国21局ネット)のパーソナリティーを務めるほか、るるぶ「あちこちサウナ旅」、サウナイキタイ「わたしはごきげん」、リンネル「食いしんぼう寄り道サウナ」、オレンジページ「本日もトトノイマシタ!」など多数の連載を担当する。『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・バルコニー』など舞台でも活躍中。

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Yayoi Arimoto

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