12月12日は、戦前・戦後を通じて活動した日本を代表する著名な写真家の一人・木村伊兵衛(いへい)の誕生日です。1901年に東京の下谷に生まれ、日本統治下にあった台湾・台南の砂糖問屋で働いていたときに現地にあった写真館で写真を学び、東京に戻って写真館を開いて写真を仕事にしていきます。
© Public Domain
報道、宣伝写真、ポートレート、舞台写真などさまざまなジャンルにおいて数多くの傑作を残している木村伊兵衛ですが、彼を語るうえで欠かせないのがスナップ写真です。
ライカの神様といわれた木村は、その軽快なカメラ性能を生かし、当時の主流であった絵画的な表現から、動的印象を捉えるスナップ写真という新しい表現方法を開拓しました。木村はフランスの世界的なスナップ写真の名手・アンリ・カルティエ=ブレッソンになぞらえられ「和製ブレッソン」といわれました。
1954年、パリで木村が撮影したブレッソン。
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スナップ写真はもちろんのこと、木村の代表作のひとつとしてあげられるのが、「秋田おばこ」などをはじめとする、女性のポートレイトではないでしょうか。同時代を生きた写真家、土門拳が深い被写界深度で女性のシワやシミなどもはっきりと写し出す表現方法に対し、木村は浅い被写界深度でソフトに撮り、女性ポートレートの名手として評されます。
秋田おばこ(1953年)。「おばこ」は秋田の方言で「若い女の子」の意味。
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1974年に木村が亡くなると翌年にはその功績をたたえて、「木村伊兵衛写真賞」(朝日新聞社主催)が創設され、写真家の登竜門として数多くの著名写真家を輩出しています。
木村が亡くなって約50年。彼の作品は生きつづけ多くの写真家に影響を与えているのです。
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