祝・世界遺産登録!
金山だけじゃない
「佐渡」ってどんな島?

連載:47都道府県ローカルのすゝめ|新潟県vol.1

祝・世界遺産登録!
金山だけじゃない
「佐渡」ってどんな島?



People :新潟県

TRAVEL&EAT

2024.11.01

7 min read

北は北海道から、南は沖縄まで、ひとくちに日本といっても、食べ物、お祭、習慣、自然が織りなす景色まで個性はさまざま。その土地ならではの愉しみ方は、その土地の人に訊くのが一番! ということで、連載「47都道府県ローカルのすゝめ」はじまりました。

新潟からは、2024年7月に世界文化遺産に登録されることが決まったばかりの話題の「佐渡島」について。教えてくれたのは、新潟市出身で郷土愛あふれる新潟県観光協会の渡邉紗生さん!

Text:Saki Watanabe Special Thanks:公益社団法人新潟県観光協会

新潟ってどんなところ?

四季ごとに美しく変化を見せる雄大な自然に抱かれた新潟県。
海岸線は300kmを超えるほど広大な面積を有し、本土のほかに、日本海側最大の離島である周囲280kmほどの「佐渡島(さどがしま、さどしま)」と周囲23kmほどの小さな「粟島」をもちます。

越後松代棚田群、星峠の棚田の光景。

越後平野を流れる信濃川。川沿いから縄文期の火焔土器も多く発掘されていて、古くから人の営みがあったことがわかる。

新潟県を旅して、その土地ならではのストーリーを伝える食、伝統芸能、産業など、自然とともに育まれた文化に触れることで、心が満たされていくことを実感できるはず。
 
今回は、世界文化遺産登録で盛り上がりをみせる佐渡島にフォーカスした旅をご提案します。しなしな(佐渡島の方言で「ゆっくり」の意味)とめぐる旅へ、さあ出かけましょう。

干潮時には干潟のようになり、リフレクションがきれいな「万畳敷(まんじょうじき)」。夕日とのコントラストは絶景。

北前船の寄港地として発展した入り江の集落「宿根木(しゅくねぎ)」。今も100棟を超える板壁の民家が密集しています。

祝・世界文化遺産登録決定!「佐渡島の金山」とは?

いま新潟県でもっとも旬な話題といえば、2024年7月に世界文化遺産への登録が決定した日本最大級の金鉱山「佐渡島の金山」。世界遺産登録へ向けた活動開始から28年、長年の悲願達成に県内外で歓喜の声があがりました。
 
佐渡金山の歴史は1601年にはじまり、江戸時代から昭和にかけて約400年間にわたり金や銀の採掘が行われました。とくに「道遊の割戸(どうゆうのわりと)」と呼ばれる巨大な切り立った露天掘りの跡は、そのスケールの大きさからも有名です。

「佐渡金山 道遊坑 道遊の割戸」。壮大な採掘跡を残す佐渡金山のシンボル。人力によって巨大な金脈を掘り進むうちに、山がV字に割れたような姿になりました。

今では、佐渡金山は観光地として整備されており、坑道や採掘設備を見学することができるほか、当時の鉱夫たちの生活や採掘の展示などから歴史的な価値を学ぶこともできます。

「佐渡金山 宗太夫坑(そうだゆうこう)」では、江戸時代から伝わる、金山独自の神事芸「やわらぎ」など、当時の鉱夫たちの生活を見ることができます。

佐渡ヶ島は鬼ヶ島? 鬼が棲む不思議な島

桃太郎が鬼を退治する話で有名なのは岡山県ですが、新潟県の佐渡にも鬼が棲んでいるんですよ。
 
佐渡島に伝わる「鬼太鼓(おにだいこ)」は、五穀豊穣祈願や厄払いを目的とした伝統芸能の一つ。島開きの4月15日は約40カ所の集落で祭礼が行われ、地元の鬼太鼓が地区の家一軒一軒をまわり、玄関先で踊りを披露します。また、「さどやニッポン」では、鬼太鼓の鬼のお面作りや踊りの稽古、太鼓などを体験できるワークショップを開催しています。
 
鬼と聞くと悪者のイメージですが、佐渡島の鬼は地域と暮らしを守るヒーローとされ親しまれています。集落ごとに鬼のお面や衣装、踊り方などが異なることが特徴です。

鬼太鼓のほかにも、能の大成者である世阿弥(ぜあみ)に縁をもち、江戸時代に広く発展を遂げて地域に根づいた能文化や、北前船をとおして伝わったとされる「佐渡おけさ」など、さまざまな伝統芸能が現在も大切に受け継がれています。

海の幸とフルーツも! 佐渡島のガストロノミー

地域の風土、歴史や文化を料理に表現する「ローカル・ガストロノミー」。
佐渡島の食の象徴といえる新鮮な魚介は、寒ブリをはじめとして、南蛮エビ、ベニズワイガニ、カキ、真イカなど盛りだくさん。とろけるような食感とうまみが感じられて絶品です。

島内ではソバの栽培が行われており、佐渡産のソバを提供するお店も点在。トビウオ節で取ったアゴダシで、冷たいつゆのぶっかけで味わうのが定番です。

また、柿、黒イチジク、リンゴ、ミカンなどが栽培されるフルーツの島としても有名です。佐渡島を代表する特産品である「おけさ柿」は、島の民謡「佐渡おけさ」から名づけられました。種が無いので食べやすく、柔らかな舌触りとまろやかな甘みがたまりません。

おけさ柿(左)と黒イチジク(右)。

食材の素性を深く探る楽しみを与えてくれる、島ならではの美食時間をぜひご堪能ください。ほかの食も気になる人は、「新潟ガストロノミーアワード」をチェックしてみてください。

ecoでslowなクルーズ「はんぎり(たらい舟)」

古くより小木半島の人々の生活になくてはならない漁具であった「はんぎり(たらい舟)」。狭く入りくんだ岩礁が多い小木海岸で、ワカメやアワビ、サザエ採りのために、小廻りがきき自由に操作できるように考案されたといわれています。
佐渡島内には、全3カ所のたらい舟体験スポットがあります。はんぎりに乗って、長い時をかけて大地が創り出した、異世界感漂う岩場をゆったりとめぐってみるのも楽しいですよ。

最後の日本産トキの里

佐渡島のシンボルである特別天然記念物のトキ。佐渡島は、日本産トキの最後の生息地として知られており、長年にわたり保護活動に取り組んだ結果、現在は約500羽のトキが生息しています。絶滅危惧種であったトキの野生復帰が実現した背景には、農薬や化学肥料を抑制してトキの餌場となる田んぼの環境を整えるなど、農法の工夫がありました。「トキの森公園」では、飼育されているトキを間近に観察することができるほか、「トキのテラス」では運が良ければ屋内観察室からトキに出会えるかもしれません。

佐渡島ならではのサステナブルな島づくり

ほかにも、金銀の精錬で使った石臼が街の石垣に再利用されるなど、昔から持続可能な島づくりへ取り組んでいたことがわかります。
このような佐渡市の取組が評価され、令和4年度「SDGs未来都市」に選定されているんですよ。
 
魅力あふれる佐渡島を満喫していただくなかで、きっとたくさんの発見があり、佐渡島が大好きになるはず。ぜひ島での穏やかなひとときを過ごしてみてくださいね。

波で削られた浅い海底が地震で持ち上がってできた「宿根木の隆起波食台(りゅうきはしょくだい)」。

新潟県をもっと知りたくなったら!

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Masumi Ishida

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