連載:47都道府県ローカルのすゝめ
TRAVEL&THINK EARTH
2024.11.29
5 min read
北は北海道から、南は沖縄まで、ひとくちに日本といっても、食べ物、お祭、習慣、自然まで個性はさまざま。その土地ならではの愉しみ方は、その土地の人に訊くのが一番! ということで、連載「47都道府県ローカルのすゝめ」はじまりました。 沖縄県からは、次世代のことまで考える旅の提案、「エシカルトラベル」について。 教えてくれたのは、沖縄県南城市出身の沖縄観光コンベンションビューローの城間盛悟さん!
Text:Seigo Shiroma Special Thanks:沖縄観光コンベンションビューロー
Index
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沖縄県は、美しい海や世界自然遺産に登録された独特の自然環境、歴史や文化など、さまざまな魅力で観光客を魅了しています。ここでは、その魅力を3つの視点からご紹介します。
まずは、「沖縄の自然」。
透明度の高いエメラルドグリーンの海や、色鮮やかな熱帯魚、南国の花々、満天の星空が広がり、心身を癒やす素晴らしい環境が整っています。
次に、「沖縄の文化」。
やちむんや琉球ガラス、三線や琉球舞踊など、長い歴史に培われた伝統工芸や芸能が今も大切に受け継がれています。
最後に、「うちなんちゅの精神」。
沖縄の人びとはつながりを重んじ、初対面でも温かく迎えてくれる「いちゃりばちょーでー」の心が息づいています。
沖縄の自然、文化、そして人びととの出会いをぜひ楽しんでください。
日本のなかでも、とりわけ旅行客が多い沖縄ですすめられているのが「エシカルトラベル」の取り組みです。
エシカルトラベルというのは、「100年先の旅人たちにもその感動を共有できるように、環境に優しい選択をしながら進む旅」であり、「沖縄の自然環境や伝統・産業に触れ、未来へとつなげるあたらしい旅の形」です。
以下の4つの考え方を大事にしています。
【エシカルトラベルの考え方】
01.自然環境を大切にする
使い捨てプラスチックを避け、代替素材を使用。省エネや再生可能エネルギーを導入し、フードロス削減やゴミ管理を行います。また、水資源の保護や動植物に対する配慮を徹底しています。
02.人と動物の命を大切にする
安全を最優先にし、適正な労働環境を提供。多様な生き物を尊重し、動物福祉に配慮した活動を行っています。
03.地域文化と伝統を尊重する
沖縄の歴史や文化を理解し、お客様に伝えるとともに、地域の雇用や地産地消を促進。地域行事への参加や支援にも積極的です。
04.公平性・透明性を守る
価格やサービス内容の透明化を図り、フェアトレードや認証原材料を積極的に利用。お客様の声を反映し、事業改善に努めています。
実際に「エシカルトラベル」を体験できる方法もあります。
たとえばエシカルトラベルオキナワに登録されている世界自然遺産「やんばるの森」をへ行くとしたら、どんな旅になるか見てみましょう。
●森を楽しみ学んで守る〜体験学習アクティビティ
世界自然遺産『やんばるの森』をガイドと一緒に散策
世界自然遺産登録地域を有し、地元の人に“やんばる”と呼ばれ親しまれている沖縄本島北部エリア。楽しく散策しながら、沖縄の森の多様性や自然保護の取り組みを体感することができます。
名護東道路の開通により、沖縄自動車道・許田(きょだ)ICから、東海岸に位置する東村までは30分ほどと身近になりました。窓の外には海あり山ありマングローブありと、絶好のドライブコースです。
ガイドさんに導かれて、いざ「やんばるの森」へ。
案内してくれたのは、オーストラリア世界遺産ガイドとして、グレートバリアリーフなど同国の世界自然・文化遺産の案内をしている鳥居信司さん。2015年11月よりヤンバルンチャーのガイド代表を務めています。
●日本の両生類、爬虫類の約60%が生息!
世界でも有数の多種多様な生態系
やんばるの森に足を踏み入れて気分が高まってきたところで、鳥居さんが芸人さんのような声と口調でレクチャーを始めてくれました。
「やんばるの森は、1億年前から生き続けている古い森なんです。この森には日本の両生類、爬虫類の約6割が生息し、多種多様な生態系を育んでいます。希少な固有種、絶滅危惧種も多く、2021年7月ユネスコ世界自然遺産に登録されました」
生きた化石とも呼ばれる、背の高いシダ植物「ヒカゲヘゴ」や、トトロの傘でおなじみの「クワズイモ」など、森では珍しい動植物をたくさん見ることができます。
●身近な世界自然遺産〜そのメリットとデメリット
「やんばるは那覇空港から車で2時間もかからないほどのアクセスの良さで、その他の世界自然遺産地域と比べて、気軽に行けるのが大きなメリットですよね。こうしたガイドツアーなどで、楽しみながら大自然と触れ合い、その自然を少しでも残していこうという意識をもっていただければと願っています」と、鳥居さんは笑顔で話します。
同時に、身近な世界自然遺産であるだけに、課題も抱えているそうです。
「アクセスしやすいということは、それだけ多くの人が訪れやすく、身近であるということは生活圏も近く、周辺にも集落が多い。人間の生活圏に近いやんばるの森は、それだけ生態系を壊されやすい、とても繊細な世界自然遺産なんです」
●やんばるアドベンチャーウォークを体験するためのポイント
「身近」=「私たち一人ひとりの行動が大きな影響を及ぼす」世界自然遺産でもある、やんばるの森。訪れる際には、周辺集落の住民への配慮や、山道での運転マナーなどに気をつけることが必要です。 事前の心得と準備をしっかりともつこと。安全に自然を楽しむことが、この世界の宝物を未来に受け継ぐことにもつながるのです。
やんばるの森と正しくふれあうためにツアーの前日は、「やんばる3村ルールブック」を読んでみてくださいね。(「やんばる3村ルールブック」はこちら)
沖縄本島北部の国頭村、大宜味村、東村の3つの村にまたがる「やんばるの森」を歩くときに、自然を楽しむために知っておきたい、アドバイスや注意事項、ルールや心得が書かれています。自分の身を守り、自然を楽しむために、予習しておきましょう。
みなさんも、自分が気になる「エシカルトラベルオキナワ」に参加してみませんか?
沖縄のことがもっと知りたくなったら!