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今回は、台湾の南の都市、高雄と嘉義へ編集部の小野が旅した話。
Photo & Text: Haruka Ono (TRANSIT)
なぜなのかは改めてお知らせできたらと思うが、私は今初めて、台湾の高雄(カオシュン)にいる。
高雄のイメージは現代的なビルがいくつもある、水辺の都心。私のイメージする「ノスタルジックな台湾」とは少し離れていた。でも、去年津賀さんも訪れていて気になっていた街だ。
高雄はれっきとした歴史のある街だった。なかでも鹽埕(イェンチェン)と呼ばれる地区の歴史は古い。オランダ統治時代前に漁業の中心地として興り、清の時代には製塩業が盛んに。1908年以降の日本統治時代には塩田が埋め立てられ、高雄の中心地として栄えた。のちに中心地が東に移り寂れてしまったそうだが、現在は倉庫群がカルチャー・アートの複合施設としてリノベーションされたり、若い世代がUターンやIターンで移住するなど、新しい盛り上がりを見せている。
そんな今の高雄を象徴する場所が「鹽埕第一公有零售市場」だ。日本統治時代に栄えた商店街で、ここ数年は若い世代による飲食店や雑貨店が入り、レトロな雰囲気と活気が程よく同居している。
古い看板や鉄窓花で飾られた建物を眺めながら、どんな暮らしがあるのだろう、中に入ってみたいなぁ、と思っていたら、まさにそこに今夜泊まる宿〈銀座聚場 House of TAKAO GINZA〉があった。
オーナーの邱承漢さんは高雄市と協力して鹽埕第一公有零售市場に若い出店者を集め、新しい風を吹き込んだキーパーソンだ。2024年12月に発売したTRANSITの台湾特集でもお世話になっている。
銀座聚場 House of TAKAO GINZAはかつて「高雄銀座」と呼ばれた一角、百貨店だった建物をリノベーションした1日1組限定の一棟貸しの宿で、1・2階は宿泊客以外も使えるカフェスペース、3・4階が客室、5階がダイニングとなっている。
内部はモダンに改装されているが、階段や壁、インテリアとして置かれた小物に昔の面影が残る。そして3階のベランダは渡り廊下で隣の物件と繋がっており、驚くべきことに、そこは民家だった。とてもハイセンスなのに日常の暮らしもすぐそばに感じる、不思議と落ち着ける宿だ。
夜は高雄でよく食べられているという「鴨肉」の人気店へ。客がひっきりなしに訪れ、道路に露出している洗い場もフル稼働だった。
店頭で手際よくアヒル肉をカット。
スープや麺、丼などいろいろな食べ方がある。
翌朝、高雄から北へ1時間半ほど鉄道に乗り、嘉義(ジァーイー)という街に到着した。
嘉義はオランダ統治時代に拓かれ、台湾でもっとも早くにつくられた街ともいわれている。お茶の生産や林業が盛んな阿里山の麓にあり、嘉義は日本統治時代に製材所や従業員の宿舎などがつくられ林業の拠点として発展した。
その影響か木造の建物が多いそうで、最近はそれらを活かした新しいカフェも増えているというが、悪目立ちすることなく、昔ながらの暮らしの風景ととてもよくなじんでいる。
そんな嘉義のキーパーソンが黃銘彰さん。彼が企画した嘉義の博覧会「320+1嘉義市城市博覽會 Chiayi City Expo」を案内してもらった。木造文化を中心に、さまざまな「嘉義らしさ」をポップに、斬新なアイデアとともに紹介している。
「私は色気とは文化の蓄積の中にしかないものだと思う」と、三島由紀夫が書いていたのを読んだことがあって、なるほど私は色気のある街に惹かれるんだなというようなことを考える。
「台湾らしさ」というものは定義しづらい、とか、台湾人は今アイデンティティを模索しているところだ、というようなことをよく聞く。でも、台湾には短くとも濃い歴史があり(そこに良くも悪くも日本が影響し)、台湾にしかない文化があり、台湾の人にしかない感情があり、台湾にしかない色気があると私は思う。それが具体的に何なのかは、たしかに一言では言えないのだけど。だから私は何度でも台湾へ足を運ぶのだろう。
今回の旅は成田発のタイガーエア台湾直行便に乗って高雄へ。台湾人の利用客でにぎわい、機内食も台湾風で、乗った瞬間から現地気分。
銀座聚場 House of TAKAO GINZA
住所
HP
320+1嘉義市城市博覽會 Chiayi City Expo
日程
時間
HP
タイガーエア台湾
【運航スケジュール】
HP
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