連載:編集部日誌 in 台湾
TRAVEL
2024.10.03
3 min read
2024年12月発売のTRANSITは「台湾特集」!
編集部は雑誌制作のために約1カ月の間、台北に拠点を移し、台湾の東西南北を旅します。
TRANSIT.jpでは、編集部メンバーが日替わりで「編集部日誌 in 台湾」をお届けしていきます。
少なくとも10年以上前からこの島を賞賛する声を耳にしてきたが、ついに初めて台湾に上陸した。
台北松山空港に到着してまず、編集部のほかの2人と台湾の交通カードである「悠遊カード」を購入しにセブンイレブンへ。おびただしいデザインのバリエーションのなか、美少女戦士・セーラーマーズのカードを選び、テンションがあがる。
Airbnbに向かうために乗ったUberの運転手は無口だが、彼の車が代わりに物語っている。ギアボックスの近くにはチューインガムがこびりつき、ハンドブレーキの周りにはタバコの吸殻が散らばり、懐かしいメロディがカーステレオから流れてくる。最高のゆるさに感動。
象山近くのAirbnbに到着するとホストが出迎えてくれた。いろいろなジョークを飛ばしながら、私たちに近所の案内をしてくれた。新しいものを見ると時間の流れが速くなる。もう夕方だ。台北の取材を共にするカメラマンのテイさんに会いに行かなければならない。その前に、編集部のほかのメンバーと一緒にAirbnbを点検したのだが、驚いたことに、冷蔵庫にはワイン、空っぽのソジュビン、棚に並べている英語の本は偽物……このホストはもしかしたら、パリピ?
真面目できれいすぎることが嫌いな私にとって、これは嬉しいことで、グッドムードでテイと決めたレストランへ。セーラーマーズを使って地下鉄に乗り、店のドアを開けたらそこには私を待つ7人の台湾人がいた。テイの説明によると、台北の若手クリエイターを私に見せたいということを言い訳に、たくさんたくさんお酒を飲むことになっていた。
おいしい食事の後、客のひとりであるトニが、私たちのために特別に彼のギャラリー〈Whimsy Works〉を開いてくれて、夜を続けようと提案してくれた。若い画家たちの作品に囲まれ、台湾の新しいインディ・バンドの曲を聴きながら、ジントニックを飲む。トニに宇多田ヒカルが台湾でどれだけ有名か熱く説明され、最後にスピーカーから『First Love』が流れた。この場所とは少し対照的かも。
3軒目に向かうと、そこでは誰もが互いに話し込んでいた。中国語を勉強しておけばよかったという反省を抱えながら、きっと貴重な情報が、理解できないまま目の前でこぼれていたのだろうと感じる。日本語で「頭コンクリート」と書かれたステッカーの前で、今年行われた総統選挙へのみんなの関わりや、台湾ではみんなが政治に関心をもっているという会話があった。すると「日本ではタブーだよね。話さないほうがいいのかもしれない」と謝られた。自分の国の将来や、それを決めるのは誰なのかに興味があることについて謝るとは、何とも奇妙だ。逆にもっと教えてほしかった。
午前1時に帰宅し、幸せな気分で、Duolingoを携帯に入れる。台湾、私たちの関係性はまだ始まったばかりですが、勇気をもって、打ち明けます。あなたに恋しそうです。
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