Day11-14/日没後の台北、
派手なウィッグ&遊ぶ若者たち。

連載:編集部日誌 in 台湾

Day11-14/日没後の台北、
派手なウィッグ&遊ぶ若者たち。

People : Jeremy Benkemoun(TRANSIT)

TRAVEL

2024.10.15

3 min read

2024年12月発売のTRANSITは「台湾特集」!
編集部は雑誌制作のために約1カ月の間、台北に拠点を移し、台湾の東西南北を旅します。
TRANSIT.jpでは、編集部メンバーが日替わりで「編集部日誌 in 台湾」をお届けしていきます。

出会ってから5分も経っていないYuyu Pucciさん。

 
カメラマンのテイと一緒に台北の若者を取材する一環として、ある晩、台北でパーティーをすることにした。台北のドラァグシーンは、地元のスター、Nymphia Wind(ニンフィア・ウィンド)が今年アメリカのルポール・ドラァグレースで優勝して以来、注目を集めているらしくて、まずは西門地区にある〈Locker Room〉にドラァグクイーンショーを見に行く。
 
入店前から、アンドロイドに扮してパーティーの準備をしているYuyu Pucciに出くわす。ショーは夜11時半に始まり、観客はステージ上の2人のドラァグクイーンに夢中。ロックバンドのライブに行っても同じようなエネルギーだと感じるほど、お客さんたちはパーフォーマーに夢中。ただし、ここでは派手なカツラとゴーゴーボーイがいる。

MCの質問に正解すると、観客はフリードリンクをもらえる。「台湾の一番楽しいバーは?」という質問の答えは、もちろん〈Locker Room〉に決まっている。

 
その場のエネルギーに浸り、検閲されそうな名前のカクテルを飲み、バーテンダーとおしゃべりをした後、私たちは信義(シンイー)へと出発した。テイの説明によると、ここは18歳から25歳までの若者にとって絶対的なスポットであり、パーティーするための新しい地区だという。
 
人ごみはハロウィーンの渋谷を彷彿とさせ、誰もが若く、酔っ払っていて、みんなと話をしている。ファミリーマートには、前の晩に酒を盗んだ人たちの監視カメラで撮られた写真が飾られている。台北はワイルドだ。

コンビニの店内に飾られた、万引きをした人たちの面々。

 
一緒にきたYuyu Pucciが普通に道を歩くと、みんなが彼女に話しかけ始める。「なんと綺麗なメイクだわ!」「そのウィッグ、マジで最高」「カッコいい!」。攻撃的なコメントや奇妙なコメントはひとつもなく、ドラァグクイーンであることは、一瞬にしてその場の女王になるようだ。
 
Yuyuの説明によると、ニンフィアがアメリカで優勝して以来、LGBTQ+に馴染みのなかったたくさんの人たちも、そのカルチャーに興味をもつようになり、コメントも概して親切だという。私はYuyuの人気にあやかって、話しかけた何人かに夢や不安、希望や絶望について話を聞いてみる。もちろんみんな違うが、共通しているのは、生きることへの欲望。そして、私が忘れていた人生は今から始まるという勢いだ。

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Masumi Ishida

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