2024年12月発売のTRANSITは「台湾特集」!
編集部は雑誌制作のために約1カ月の間、台北に拠点を移し、台湾の東西南北を旅します。
TRANSIT.jpでは、編集部メンバーが日替わりで「編集部日誌 in 台湾」をお届けしていきます。
本日は2日前に台湾編集部に合流した佐藤がお送りします。なぜ合流が遅れたかというと、台北の前に10日ほどインドへ行っていたからです。2カ国の文化の違いに馴染めないまま2日が過ぎました。
デリー、バラナシ、コルカタとかつてのバックパッカーが辿った黄金ルートを制覇し、ベンガル最大の祭りであるドゥルガー・プージャーも目に焼きつけてから台北へ。桃園国際空港に着いたときは立っているのがやっとの疲弊ぶりでした。
そんなこんなで目を覚ましたのはお昼前。インドとの時差2時間半の時差ボケを鑑みても結構な寝坊ですね。ほかの編集部はみな取材へ出てしまって不在。おまけに外は強い雨で雨具もなく、一人宿舎でようやくまともに台湾の地図と向き合います。
結局雨が上がったのは夕方前。とにかく一歩を踏み出そうと、期限切れのSIMカード入りのスマホとカメラを片手に宿を飛び出しました。
宿のすぐ裏手にはお寺があり、ごあいさつが遅れたお詫びもかねてお参り。すると、お寺の入り口にごく簡単な表記で「公園はこちら」の表示が。これがほかの編集部がたびたび登っていた象山への入り口ですね。始業前にプチハイキングしたと聞いていたので、軽い気持ちで階段へ足をかけました。
すると、序盤から結構な急勾配。加えて2日ほどは宿からほぼ出ない怠惰な生活+まだ若干残る疲労で早くも足をかけたことを後悔し始めます。そもそもまだまともに台北の街も見ていないのに、自然を謳歌している場合だろうか?
ひとまず最初の展望台へ着いたら引き返そうと思っていたら、そこに一人の女性が。
彼女はシンディさん。私たちの宿のすぐ近くに住んでいて、日課としてこの山に登っているのだそう。今こそ第二外国語で中国語を専攻していた実績を生かすチャンス……と思いきや、ほぼ忘れているので会話らしい会話は成り立たず。SIMが切れているため翻訳アプリも使えません。
しかし、不思議と言っていることはわかります。そこでシンディさんの案内の元、象山を一周することに。
奇しくも世界はトワイライトタイム。雨上がりで湿気を含んだ空はより幻想的な雰囲気に。これが最終日であれば台北の街に想いを馳せながらセンチメンタルに浸るところですが、まだ何の思い出もないままハイライトを迎えたようでやや複雑な気持ちに。
それでも、シンディさんは次々と眺めのよい展望台を案内してくれます。刻一刻と変わる台北の空と街並みは思い出のあるなしにかかわらず美しく、途端に2日間の怠惰を回収した気持ちになりました。
言葉がわからないまま数十分をともにし、下山後は「じゃあ、私はこっちだから」と何のあとくされもなく爽やかな笑顔で帰っていったシンディさん。台湾の人は親日と聞いていたけれど、それを身をもって体感しました。
そして、明日は午前中に街へ繰り出すことを心に誓ったのでした。
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