今、どんな記事をつくってる? 週末はどこへ行ってた? 最近気になっていることは? などなど、TRANSIT編集部のオンオフの日々をお届けします。
現在、編集部は2026年3月発売のベトナム特集に向けて、現地で滞在制作中。ベトナムにいる間は、編集部日誌を毎日更新!
10日間ほどハノイに滞在していた編集部の前半組。ちょっとずつハノイの輪郭を掴みかけてきた、旅の終わり。まだまだここにいたい、でもそろそろ日本へ帰らなきゃ……。帰国前のハノイ班のことを編集部・津賀がまるっとお届けします。
Text: Maki Tsuga(TRANSIT)
Index
7 min read
1月上旬から中旬まで、ハノイに滞在した編集部の鈴木、山崎、磯部、津賀の4人、それに写真家の林将平さん。
取材でフーコック島に飛んだり、近くのカフェに籠もってベトナムコーヒーを飲みながらデスクワークしたり、週末トリップで地方に足を延ばしたり、夜は同じ宿に戻ってきてタイミングが合えば一緒にごはんに出かけて、今日あったことや明日の予定を共有し合う。あっという間の10日間だった。
ふだんTRANSITで現地取材するときは、写真を撮る人、原稿を書く人(ライターや編集部の人間や写真家が原稿を執筆したり)の1、2人組で動くのがベースで、編集部から現場に飛ぶのはだいたい1〜3人ほど。それぞれ異なるエリアに行って別行動して、1つのテーマにぐっと向かっていく感が強い気がする。
こういう滞在制作だと、ひとりの時間、写真家と動く時間、編集部仲間で過ごす時間があって、そのときどきで場所の見え方が変わってくるからいい。
みんな、いったいどんな時間を過ごしたんだろう? 帰国前夜、夜ごはんを食べ終えた夜0時、Airbnbのリビングに集まって、トランプカードを配りながら大富豪をしつつ、333を飲みつつ、夜な夜な話した。
撮り漏れはないかな、と写真家・林将平さんのパソコンを囲むハノイ班。
鈴木
ハノイでもフーコック島でも、元気な子供たちにいっぱい会えた気がする。路上で遊んでる子をよく見かけたからそういうふうに思ったのかな。ローラースケートとかスケボーもはやってるよね。
磯部
編集部日誌にも書いたけど、路上でなにかが起きつづけてるのは、ハノイの楽しさかもしれない。内と外、店や家と道の境目があまりなくて、野菜や肉が道端で売られていたり、散髪してたり、窓が開いていて家の中の生活が丸見えだったり……。
津賀
たしかに、ただ散歩しているだけでも楽しめるのはベトナムの旅のいいところかも。宿から旧市街へ行くのに、毎日バイクと車の流れが激しい6車線の大通りを渡らないといけなくて、最初はひと苦労だったけど2、3日すると慣れてきたり。それにGrabバイクに乗ってるだけでも楽しいよね。車とバイクの車間距離が狭くて、すれ違うときに脚がもげるかと思った、苦笑。街にいるだけでベトナムが迫ってくる感じ。
林
ハノイでは、うかうかファインダーを覗いてられなかった。本当はいつでもシャッター切れるようにカメラ越しで景色と対峙していたいけど、一歩後ろに下がろうとするとバイクがすごい勢いで背中を通りすぎていって。肉眼でベトナムを見せつけられた気がする。
青信号で横断歩道を渡ろうとしても、左折右折バイクが勢いよく突っ込んでくるのでご注意を。360°視線を送りながら道路を渡る。
鈴木
ハノイは路上が楽しいけど、いろいろ規制がはじまってるのも感じたよね。ビアホイ通りで道端までせり出してテーブルと椅子を並べて飲んでいたけど、パトカーが来たら一斉に片付けて店内に入ったり。バイクで3、4人乗っているのをまだ見かけるけど、本当は乗車人数や年齢の規制も最近はじまったみたい。
津賀
ハノイは行政のお膝元だから、他の都市よりも取り締まりが厳しく見られていたりするのかな。警察に警告されたときに、路上の商品を早く撤収しないと没収されるらしい。でもパトカーがいなくなると、また品物を広げはじめて商売してた。そうした規制のなかでできることを楽しんでいたり、資本主義のスピードに乗らずに古いものが残っていたりするのも、ある意味でハノイらしさなのかな。
あとは、サパやバクハ―といった少数民族が暮らす北部の村を目指すなら、ハノイを拠点にするのもありだよね。そうした伝統的な文化にもアクセスしやすい。
山崎
ハノイのクラブで仲よくなった子も、ハノイもホーチミンもどっちも住んだことあるけど、自分にはハノイの音楽が合ってるって言ってたな。ホーチミンは海外の文化もミックスされてそれはそれで楽しいけど、ハノイの音のほうがより純粋な気がするって。
鈴木
あぁ、このままホーチミンに行きたいな。どれだけ街の雰囲気が違うか体感してみたい!
ハノイのクラブ〈unmute〉。クラブがある通りは夜は真っ暗、強面な人たちが集まる深夜のフォー屋(うまい!)があって、ローカル感たっぷり。夜道にそこまで怖さを感じないのは、社会主義国で監視の目が行き届いているからか。
山崎
僕は毎朝エッグコーヒー発祥のカフェ〈Café Giang〉に行ってたんだけど、あの濃厚な甘さとコーヒーの苦さが目を覚ますのにちょうどよくて。日本にもエッグコーヒー欲しいなぁ。エッグコーヒー、ソルトコーヒー、ヨーグルトコーヒー、ベトナムコーヒーとか、そういったコーヒーカルチャーの創造力がすごいよね。
林
ベトナム料理の香草使いも最高。パクチー、シソ、ミント、わからない草も。味つけが薄くて、だいたいどの食堂にも唐辛子、チリソース、ヌクマムが置いてあって、自分の味に調整できるからありがたい。ベトナムで食べたもの全部おいしかった。
山崎
唯一、僕と林さんと、津賀さんで食べにいった、北部料理の揚げ豆腐のブン(ブン・ダウ・マムトム/Bun Dau Mam Tom)はなかなかハードル高かったなぁ……。付け合わせの発酵エビのソース(マムトム)の味と匂いにかなりクセが。
なんでもよく食べる、山崎、林さん、津賀の箸がぴたりと止まった、ブン・ダウ・マムトム。ベトナム料理は奥が深い。
磯部
えー、その麺料理、食べてみたい! もっと食べたいものもいっぱいだし、10日いてなんとなく自分の頭の中にハノイの地図ができてきた頃だったから、もっといたかったなぁ。宿に近いホアンキエム湖は人通りが多くて賑やかで、北に行くと繁華街の旧市街が広がっていて、さらに北にいくと西湖があってもう少しスローなムードでいいカフェや古着屋があって……ハノイ、いい街だな。
大富豪は、だいたい林さん、鈴木、津賀が富豪で、山崎、磯部が貧民という結果に。最後は山崎が大富豪になって幕を閉じた(気がついたら明け方だった)。それぞれいろんな経験値を上げたハノイ滞在でした。
ベトナム出発前までは、南部のホーチミンは地下鉄も走るほど商業的に発展していて新しいお店も続々できているチャレンジのある街、首都ハノイはちょっと保守的で地味なんじゃないかと思っていた。
でも、ハノイにはハノイの楽しさが隠れてる。古い建物が残っていて、路地裏においしい食堂があったり、ボロボロのアパートの上にいい古着屋やカフェが潜んでいたり、シャッターの奥でクラブが深夜営業していたりして、そういう場所があるのがいい。西湖や川向こうのロングビエン地区は、まだまだ空間も時間も余白があって自然と呼吸がゆっくりになる。派手にやらずに静かに自分で楽しむ。ハノイのそんな空気が心地よく感じる。
川向こうにあるロングビエン地区。川沿いはカフェが並んでいてのんびり。
西湖にあるレストラン〈105 Hanoi〉。窓とドアが開け放たれていて気持ちのよい空間。店舗の窓枠、照明、家具、タイル……ほとんどが特注なのだと、設計者の大澤晃佑さん。職人との距離の近さ、価格の安さ含め、オーダーメイドしやすいのがベトナムのよさのひとつ。
翌日、いよいよ荷物をまとめて、Airbnbを21時にチェックアウト。
翌0:20発のベトナム航空成田行きに乗るべく、Grabタクシーでノイバイ空港へ向かう。
「ちゃんとパスポート持った?」「もしも宿に忘れてたら、もうそのままホーチミン班に合流するか」「このままハノイでもいいかも」なんてみんなで話しながら帰る。途中、体調を崩していたメンバーもいたけど、無事に帰国できそうでなにより。
車窓からフラワーマーケットが見える。夜の街灯に煌々と照らされて花が光ってる。ずっしりと花束を載せたバイクがどこかへ走っていく。まだまだずっと見ていたくなる、ハノイの路上。
というわけで、名残惜しいけどハノイ班の旅はここで終わり。Cảm ơn, Hà Nội!
編集部日誌のバトンはホーチミン班へ!
10日間泊まっていたホアンキエム湖の近くの宿。毎日、古いアパートの階段を上り下りして、ひとときハノイの住民になった気分。ありがとう、ハノイ!