#万博に行こう!
駆け込み大阪・関西万博の1泊2日旅。
予約なしでも入れる!? 穴場パビリオン。
UAE、アンゴラ、ブラジル…more!

Promotions

#万博に行こう!
駆け込み大阪・関西万博の1泊2日旅。
予約なしでも入れる!? 穴場パビリオン。
UAE、アンゴラ、ブラジル…more!

TRAVEL

2025.09.25

11 min read

気づけば万博も、終了まであと1カ月弱。これはもう行くしかない!というわけで駆け込みの1泊2日で大阪旅へ。そもそも万博散策のハードルを上げているのは、「予約が取れないかも」という不安かもしれない。

そこで今回は、予約なしでも楽しめる5つのパビリオンをピックアップ。UAE、アンゴラ、ブラジル、ポルトガル、スイス……話題のパビリオンをはしごしてきた!

Photo : Yuko Shimada

Text:RIsa Isobe(TRANSIT)

1.「地球」と「未来」をめぐる旅へ

2025年4月13日(日)から10月13日(月)までの184日間、大阪・夢洲(ゆめしま)で開催されている「大阪・関西万博」。テーマは “Designing Future Society for Our Lives(いのち輝く未来社会のデザイン)”。「これから先、人間と地球がどうすれば心地よく共に生きていけるのか」を、世界中の知恵とアイデアで考える祭典だ。
 
舞台となる夢洲は人工島で、その広大な地に150を超える国や地域、国際機関、企業がパビリオンを構える。空飛ぶクルマのような最新技術の展示に未来を垣間見たかと思えば、各国の伝統工芸や芸術、食文化に出会うことも。まるで未来へのワープと、世界一周旅行に一気に出かけたような気分にさせてくれる。
日本で万博が開かれるのは2005年に開催された愛知の「愛・地球博」以来20年ぶりで、関西では1970年の大阪万博以来。55年前の大阪万博では、まだ見ぬ宇宙への期待感や、月の石に人びとが熱狂したけれど、今回はどんな「未来」が私たちを惹きつけるのだろう。

2. UAE館:香りに満ちた、開放的なオアシス空間

まずはじめに向かったのは、UAE(アラブ首長国連邦)。
1971年に7つの首長国が合併して誕生した、まだ建国54年の若い国だ。

人口は約1,000万人。そのうち約88%は200カ国以上から集まった外国人で、先住民の“エミラティ”はわずか12%ほど。東京とほぼ同じ人口規模なのに、ここまで多様なルーツをもつ人たちが暮らす国は珍しい。国土の8割が砂漠という厳しい環境にありながら、石油発見をきっかけに急成長を遂げている。

UAEの砂の展示。砂が織りなす多彩な色合いは、多様な自然と国家を象徴している。

パビリオンにひと足踏み入れた瞬間、目の前に広がるのは高さ最大16メートル、90本に及ぶナツメヤシの葉軸(ラキス)を巻きつけた柱が林立する圧巻の光景!
伝統建築「アリーシュ」をモチーフに、日本の匠の木工技術とナツメヤシの農業廃棄物を融合させてつくられているのだとか。
目を閉じて嗅覚を研ぎ澄ましてみると、ほんのりと甘い香りが。展示空間にナツメヤシや葉の香りが漂っていて、どこか懐かしさを彷彿とさせる。足元から差し込む陽光とともに、その香りが体全体に染み渡り、まるで現代のオアシスに迷い込んだかのような感覚に。

そして、UAEといえばコーヒー!ダッラと呼ばれるポットで淹れるガフワ(エミラティコーヒー)は、客人を迎えるときの最高のおもてなし。香ばしい一杯を差し出すその所作からも、砂漠の国らしい温かさが伝わってくる。
おもしろいのは、コーヒーを淹れるときにナツメヤシの葉をコーヒーフィルターに忍ばせ、ほのかな香りを添えることがあるということ。
ただし、おかわりの際に葉をたっぷり入れて出されたら、それは「そろそろお帰りを」という合図なのだそう。
どこか京文化の“奥ゆかしさ”にも通じていて、異国の風習のなかに、粋な心づかいを感じる。

UAEの展示テーマは、宇宙・医療・持続可能な技術と多岐にわたる。中央にあるのは、24枚の太陽パネルで構成されたインスタレーション。UAEの太陽パネルは、日本で一般的な固定型とは違い、太陽の動きに合わせて角度を変え、さらに砂嵐などの気候変化をAIが判断して稼働するのだそう。脱炭素や石油依存からの脱却へ向けた、クリーンエネルギーへの意気込みが感じられる。

オープンスペースでは映像を鑑賞でき、訪れる人が思い思いのスタイルで休みながら展示を楽しめる工夫も。

そして、UAE館での楽しみのひとつは、「エミラティ料理」。歴史や交易の影響を受けて多様に発展してきた食文化だ。
 
料理は、客人を迎えるときや家族が集まるとき、さらに「イード」と呼ばれる祝祭の場で振る舞われる特別料理をイメージしてつくられているのだそう。
今回は「ラム・ウージ ハリースサラダとアシーダ」(4,700円)のセットをいただくことに。
スパイスの香りがふわりと漂い、メインのラム肉は驚くほど柔らかく、奥行きのある旨みが口の中にじんわりと広がる。「カミールパン」は、ターメリックやカルダモン、クミンがほんのり香る、スパイシーなアクセント。
ナツメヤシ由来の素材を使ったお弁当箱やカトラリーも、サステナブルへのこだわりを感じさせてくれる。

そんな魅力が詰まったUAEパビリオンについて、副代表でクリエイティブ・ディレクターでもあるシャイカ・アル・ケトビさんにお話を伺うと、「UAEの空気感を五感で受け取り、文化を体感することができる、“1対1の体験”ができるパビリオンを目指しました。音や匂いを感じながらリラックスしてほしいですね。それにUAEパビリオンのロゴは、水の一滴が広がるようにデザインされていて、UAEから世界へとよい影響を波及させていく国の志を象徴しているんです」と教えてくれた。

大地に根を張り、天空へと伸びるナツメヤシは、UAEの人びとの精神を表す象徴。展示空間や体験の一つひとつが、シャイカさんが語った思いとリンクしていることに気づかされる。

Information

UAE(アラブ首長国連邦)・パビリオン

所在地

エンパワーリング・ゾーン

営業時間

9:00 - 21:00

01

3. アンゴラ館:命の物語に耳を澄ませて

つづいて訪れたのが、南西アフリカにあるアンゴラ共和国・パビリオン。
アンゴラでは「命を守る教育」をテーマに、命の尊さと社会変革への意志を発信している。展示の核は約10分のドキュメンタリー。マラリアを乗り越え、医療従事者を目指す少女の実話を描いた物語で、観ているとどこか遠い国の出来事が、ぐっと身近に迫ってくる。実はアンゴラは、サハラ以南アフリカの中でもマラリア感染リスクが高い国なのだ。
また、アンゴラからやってきたアーティストやダンサーによるショーも定期開催されており、そのリズムは力強い鼓動のように体の芯に響いてくる。

レストランでは、Octávio Neto(オクタヴィオ・ネト)シェフが来日し、郷土料理を味わえるなど、普段なかなか出合えない食文化に触れられる。「これが人生初のアンゴラ料理!」と選んだのは、ピーナッツグレービーで鶏肉を煮込んだ郷土料理「チキン・ムアンバ」。ほろりと柔らかい鶏肉には自然な甘みがあり、どこか日本のカレーを思わせる親しみやすい風味だった。

※実際の提供イメージとは異なります

Information

アンゴラ共和国・パビリオン

所在地

セービングゾーン

営業時間

9:00 - 21:00

01

4. ブラジル館:光と影が呼吸する空間

ブラジル・パビリオンでは、「よりよい世界への変革を願って」というテーマのもと、音楽や光、デザイン、詩を組み合わせたインスタレーションを体感できる。
館内でまず目に入るのは、柔らかく揺れる光の波と、白く透けた不思議な人影のようなオブジェが空間いっぱいに置かれた光景。よく見ると、人間、動物や自然などの形が、膨張と収縮を繰り返しながらまるで、“呼吸”しているかのよう……! 生と死の循環、自然との共生の大切さを象徴しているのだとか。
壁一面に広がる膨らませたビニール袋は、プラスチック汚染への警鐘を示す仕掛け。
さらに、アートギャラリーや先住民風のフェイスペイント体験コーナーなど、見て触って、感じて楽しめる展示が盛りだくさん。五感を通して、ブラジルの自然や文化、環境へのメッセージを受け取れる空間になっている。

Information

ブラジル・パビリオン

所在地

エンパワーリングゾーン

営業時間

9:00 - 21:00

01

5.ポルトガル館:西の果ての国の、海との対話

ポルトガル館のテーマは「海洋:青の対話」。このパビリオンでは、持続可能性や循環型経済のコンセプトを肌で感じることができる。

まずは、海をテーマにしたインタラクティブなマルチメディア体験で、波の音や光の揺らめきを体感。続いて待っているのは、360度のパネルに映し出される約5分間の映像体験。
太古から人と海が結ばれてきた歴史や、環境問題への警鐘、これからの共生の姿が、圧倒的な没入感とともに描かれている。
青く揺らめく光と音に包まれると、まるで自分が海の中を漂っているよう。空間そのものがひとつになり、私たちが日常のなかで置き去りにしてしまった「海への感謝」と「存在の大きさ」に、改めて気づかされる。

Information

ポルトガル・パビリオン

所在地

エンパワーリングゾーン

営業時間

9:00 - 21:00

01

6.スイス館:遊び心あふれるハイジの世界

スイス館のテーマは「ハイジと共に、テクノロジーの頂へ」。
アルプス文化と最先端技術が融合したスイスの姿を表現している。

館内では「Augmented Human(人間拡張)」「Life(生命)」「Planet(地球)」の3つのテーマを軸に、最新のテクノロジーと自然環境の調和など、クリエイティビティ溢れる空間を体感することができる。
日本でも世代を超えて親しまれるハイジがスイス・パビリオンの公式マスコットキャラクターを務めており、パネルとともにハイジと写真が撮れるなど、遊び心も満載。

Information

スイス・パビリオン

所在地

エンパワーリングゾーン

営業時間

9:00 - 21:00

01

7.これから万博に行く方へ

目当てのパビリオンが長蛇の列でなかなか入れなくても大丈夫。
日中は大屋根リングを散策したり、レストランで食事を楽しんだりしながら、19時以降にふらりと歩いてみると、思いがけないパビリオンにふっと入れる瞬間があるかもしれない。

もっとも印象に残っていることの1つは、夕暮れどき、大屋根リングから見た景色。
凪いだ水面と、柔らかにほどけていく夕日の光。リング上の通路脇の茂みから、力強く音を響かせる秋虫たちの鳴き声。「あれ、六甲山かな」「あっちのほう、船が出てるね」周囲から聞こえる声に耳を澄ましてみる。

  • ©︎TRANSIT

  • ©︎TRANSIT

02

もうすぐ万博が幕を閉じる。生まれも育った環境も異なる見知らぬ人たちと、目前の息を呑むような景色を分かち合うこと。目に入るすべてが尊く思えて、この光景を見られただけでも足を運んだ意味があった。
日本の小さな島で、世界を巡る旅。大阪・関西万博にはそれぞれの旅が待っていて、「行ってよかった」そんなふうに感じるはず。

Information

EXPO 2025 大阪・関西万博

開催期間

2025年4月13日(日) 〜10月13日(月)

住所

大阪府大阪市此花区夢洲東1丁目

営業時間

9:00 - 22:00

01

TRaNSIT STORE 購入する?

ABOUT
Photo by

Yayoi Arimoto

NEWSLETTERS 編集後記やイベント情報を定期的にお届け!