うがい、入浴、マッサージ......
アーユルヴェーダで寒い季節を乗り切ろう!

うがい、入浴、マッサージ......
アーユルヴェーダで寒い季節を乗り切ろう!

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2024.11.15

4 min read

スリランカの伝統医療で、インド、バングラデシュ、ネパールなど南アジアを中心に実践されている、世界でもっとも古い伝統医学、アーユルヴェーダ。寒い冬におすすめの、手軽に実践できる養生法をみていこう。

text:ANNA HASHIMOTO supervision:NORIKO HONDA

うがい「ガンドゥーシャ」

アーユルヴェーダの伝統的なうがい法に、ガンドゥーシャというものがある。歯磨きと舌磨きのあとに、温水、冷水、オイルや薬草の煎じ液、ミルクなど目的によって使いわけてうがいをするもので、冬に向いているのは「太白ゴマ油」だ。寒い季節の口腔や喉の乾燥、声がれ、唇の亀裂、顎の強張りなどに効果がある。人肌程度に温めた太白ゴマ油を口いっぱいに含み、唾液や涙、鼻水などの分泌液が出てくるまで数分間そのまま保持する。それにより口腔内が浄化され、栄養が粘膜から中に入っていき、歯や顎がしっかりと丈夫になっていくと考えられている。
 
週1回など習慣化すると効果的で、口臭予防や味覚の向上、食欲増進、シワが伸びるなど、若返りの効果も期待できるという。毎日行う場合は、スプーン1杯の温かい太白ごま油を口に含み、口の中であらゆる方向にオイルを動かすだけでもよい。
 
初めてのオイルうがいは抵抗があるかもしれないが、意外にもサラッとしており、うがい後はスッキリとする。口の中のオイルは新聞紙を丸めたものなどに吐き出し、ぬるま湯で口をすすごう。オイルはハードルが高いという人は、クローブの粒を浸した水や甘草の煎じ液、ターメリックと岩塩を混ぜた水などでのうがいもおすすめで、カゼ予防やウィルス対策になる。
 
*オイルアレルギーや口腔内に炎症があるときは、オイルのうがい法は避ける。

入浴「朝風呂でスロータスを開く」

アーユルヴェーダでは、朝一番の入浴をよしとしている。その理由は朝風呂により夜の暗い性質(タマス)を断ち切って、精神的にもリフレッシュできると考えられているから。温かいお湯の入浴による温熱、水圧、浮力の効果で、閉じていた身体の脈管(スロータス)が開くのを助け、生理機能のスイッチが入る。就寝中に滞っていた老廃物の流れをよくして排出を促し、筋肉の強張りが取れることも期待できる。消化機能も活性化されるので食欲も湧いてきて、一日を元気に気持ちよくスタートさせるのに有効だ。
 
さらに、温浴効果が上がるショウガやターメリック、ヨモギ、大根干葉や、芳香性のあるローズマリー、トゥルシーなどのハーブを入浴剤として入れると、覚醒作用やリラックス効果が増進する。お腹が冷えてしまっている場合は、膝下くらいまでが浸かれる足湯を少し熱めのお湯で行うと、温まった静脈血が胃腸などの内臓を温めてくれる。また血行不良でしもやけになりやすい人は手足の温冷交互浴で予防できる。

オイルマッサージ「アビヤンガ」

© Amila Tennakoon

「アビヤンガ」は日本でももっとも有名なアーユルヴェーダのオイルマッサージだ。現地では、体質改善などを目的とする治療として、病院などで受けることができるが、自宅で太白ゴマ油を湯煎に掛け、セルフで行うこともできる。とくに、寒がりで体力の弱いヴァータ体質に適しており、乾燥から肌を守るだけでなく、疲労を回復させ、習慣化することで皮膚や身体も丈夫になり、老化を予防すると考えられている。またオイルの温性と重性が、身体だけでなく心も落ち着かせる作用もあり、よく眠れるようになる。

~セルフのオイルマッサージの方法~

まず食後と極度の空腹時は避けること。部屋を暖かくしておき、オイルを塗布する間は身体を冷やさないことが重要。下記、手順を説明する。
 
①人肌に温めたオイルを手に取り、身体の各部位に、毛並みに沿って、適度に圧を掛けながらしっかりと擦りこむ。肩やひざなど丸い所はくるくると円を描くように擦りこみ、お腹などは内側から外側へ円を描く。
 
②その後、温かいお風呂やスチームバス(ハーブ蒸しや、首から上を出したハーブテントなどでもよい)にジワッと発汗するまで入っておく。
 
汗をかくことで老廃物をはがして外に流し、ゴマ油の栄養が身体の中にまで浸透しやすくなり、筋肉組織や骨が丈夫になっていくとされる。また、冷えからくる関節痛なども改善するという。
 
さらに、オイルマッサージの前に絹を使った乾布摩擦(ガルシャナ)を毛並みに逆らって行っておくと、身体が温まって軽くなる。スロータスが開くのを助けて排毒作用を促し、オイルの肌への吸収が促進される。カパ体質や身体が重だるい人は、オイルマッサージの代わりにこのガルシャナを行うだけでも身体がラクになるという。
 
効果的な順番は、「ガルシャナ→オイルマッサージ→スチームもしくは入浴」。そして、もっとも効果が期待される時間帯は早朝だ。
 
*太白ゴマ油を一旦鍋に入れて100~120度までゆっくり温めると、さらにゴマ油の抗酸化作用が高まり、肌への吸収性もよくなる。
*頭皮の余分なオイルを取りたいときは、ベイスン粉(ひよこ豆の粉)、きなこ、米ぬかなどを擦りこみ洗い流すとよい。
*オイルアレルギー、発熱、消化不良、極度の疲労があるときはオイルの塗布は避ける。また、炎症などがある部分もガルシャナやオイル塗布は避ける。体質によって合うオイルの種類があり、使用しない方がよい場合もある。
 
寒い季節は毎日の全身のオイルマッサージが理想的だが、時間がないときは、頭部、耳、足首の3点をマッサージするだけでもよい。とくにヴァータ体質の人は耳のオイルマッサージをするだけでも不調が和らぐとされている。
 
 
1年でもっとも食欲と体力が衰えがちな冬。消化力の高まりに即してしっかりと食べ、うがいなどで風邪を予防し、入浴やオイルマッサージなどで血行を促進して身体を冷やさないことが肝心だ。日々の生活にアーユルヴェーダを取り入れて、冬を快適に過ごせるよう工夫してみてはどうだろうか。

Profile

本田典子(ほんだ・のりこ)

Dr.Bheema Bhattと澁谷るみ子医師に師事。主婦目線の家庭で使えるアーユルヴェーダの伝承を目指している。Svarna Ayurvedaフード&ハーバルコーディネーター、sVYASAヨーガセラピスト、ヘナヘアケアアドヴァイザー、日本アーユルヴェーダ学会会員、日本ヨーガ療法学会会員。

Dr.Bheema Bhattと澁谷るみ子医師に師事。主婦目線の家庭で使えるアーユルヴェーダの伝承を目指している。Svarna Ayurvedaフード&ハーバルコーディネーター、sVYASAヨーガセラピスト、ヘナヘアケアアドヴァイザー、日本アーユルヴェーダ学会会員、日本ヨーガ療法学会会員。

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