旧暦の10月12日は、俳諧の旅人・松尾芭蕉がこの世を去った日、「芭蕉忌」です。
「時雨忌」とも呼ばれています。
時雨とは、秋の終わりから冬の初めにかけて降る、通り雨のこと。旧暦の10月は「時雨月(しぐれづき)」と呼ばれ、芭蕉が時雨という季語をこよなく愛したことから、命日の別名になったといわれています。
© Nicholas Elliott
ー初時雨 猿も小蓑を 欲しげなりー
今年初めての時雨が降ってきた。寒さに震える猿の姿は自分にも小さな蓑を着させてほしいと言っているようだ。ふるさとへ帰る途中に芭蕉が詠んだとされる一句です。
江戸を離れ、深川の草庵「芭蕉庵」に暮らし、「野ざらし紀行」「奥の細道」など、旅の中で言葉を磨き続けた芭蕉。彼の俳諧は、風景と心が溶け合う“生きる詩”でした。
© Niju Teshigawara
辞世の句で「旅に病で夢は枯野をかけ廻る」と詠んだように、彼の心は今も旅の途中にあるのかもしれません。
© Katie Griesar
四百年を経てもなお、芭蕉の言葉は私たちの胸の奥で、そっと雨音を響かせています。
晩秋の今日、多くの名句を残した松尾芭蕉に想いを馳せて、一句詠んでみるというのも良いかもしれませんね。
Yayoi Arimoto
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Naoko Maeda
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