#What's 韓国？
韓国男子の兵役DAYS
気になる徴兵制をシミュレーション

韓国

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2024.09.22

韓国男子の試練ともいえる「兵役」。日本人には未知の領域だが、韓国に限らず、北朝鮮、ロシア、イスラエル、イラン、ノルウェーなど、世界には徴兵制度をとっている国がいくつかある。国によって、強制力、期間、性差などはさまざま。ここでは韓国の徴兵制について見ていこう。

illustration : PEKO ASANO text : TAKASHI SAKURAI, TRANSIT

＊情報はTRANSIT42号発売当時のものです。

●徴兵制の背景にあるものは?

韓国の場合、兵役をする大きな理由が北朝鮮の脅威。「朝鮮統一」の声も高まっているが、北緯38度線を境に、北は朝鮮民主主義共和国、南は大韓民国に分かれている状況だ。そもそも38度線はいつ誰が決めたのか?
1945年8月に第二次世界大戦で日本が敗戦すると、日本の支配下にあった朝鮮半島はアメリカとソ連の間で占領地域を分け合うこととなり、北緯38度で南北が分断された。1948年に北に朝鮮民主主義人民共和国、南に韓国が誕生するが、1950年には、北朝鮮が国境としていた北緯38度線を越えて韓国側へ侵入。それを契機に朝鮮戦争が勃発。1953年に停戦というかたちをとっているが、いまだ南北は緊張状態にある。

●徴兵の条件は?

国によっては、イスラエルのように男女とも兵役義務がある場合もあるが、韓国の場合は男性が対象。近年、少子化や就職の不平等の観点からも、女性に兵役を課すことが議論されている。最近では、世界的なアーティストグループで莫大な経済効果をもつBTSの最年長メンバーが30歳になろうとしていることから、BTSメンバーのみ兵役を免除しようという改正案、通称「BTS兵役特例法」が検討されていることも話題になっている。今後の社会情勢によって変更される可能性もあるが、現在の韓国の徴兵制は以下のとおり。

性別：男性
年齢：満18歳〜30歳
徴兵検査：心理検査、身体検査、適性分類、兵役処分判定によって、1〜7級に分類される。兵役が難しいほどの病気や心身の障害がある場合、性転換者、脱北者などは兵役を免れる。
期間：21〜24カ月

©︎Ten Asia

●とある陸軍部隊の一日のスケジュール

では、兵役中はいったいどんな過ごし方をしているのだろうか? ここでは、兵役中の韓国男子の1日の過ごし方を大解剖してみたい。

6:00〜7:00▶︎起床・点呼

朝起きたらまず訓練着に着替えて点呼。兵役中に身につける衣服は、下着から靴下まですべて軍から支給される。このあとは朝食だが、入隊直後の見習い期間は、その前に早朝ランニングと筋トレもこなす。

7:00〜8:00▶︎朝食

食事は、韓国の学校でもお馴染みの四角いプレートの給食スタイル。一見少なそうだが、皿の深さが5cmほどあるので、実はご飯もスープもたっぷり。メニューは部隊ごとに決まっていて、味は調理担当者の腕次第。

<p>訓練兵期間の毎日の訓練はとにかく辛い。実弾を使っての射撃や、毒ガス訓練、行軍、模擬戦闘など、ハードなものばかり。訓練兵でなくなると、この時間は軍施設の整備などの「作業」も割り振られる。その後、給食スタイルで昼食を取るが、日によってはおにぎりを頬張って、すぐに訓練に戻る……なんてことも。</p>

8:00〜12:00▶︎午前訓練

訓練兵期間の毎日の訓練はとにかく辛い。実弾を使っての射撃や、毒ガス訓練、行軍、模擬戦闘など、ハードなものばかり。訓練兵でなくなると、この時間は軍施設の整備などの「作業」も割り振られる。その後、給食スタイルで昼食を取るが、日によってはおにぎりを頬張って、すぐに訓練に戻る……なんてことも。

13:00〜17:00▶︎午後訓練

午前中に引き続き、午後も地獄の訓練が待ち受けている。サボったり文句を言ったりすると罰則があるので要注意。頭を地面につけて体をくの字に曲げて反省させられる、「テガリパゴ」という伝統のお仕置きは恐怖。

18:00〜21:00▶︎夕食〜自由時間

夕食を済ませたら、あとは自由時間。シャワーを浴びたり、勉強したり、最近ではサークル活動などもある。家族や彼女に電話できるのもこのタイミング。施設内にある公衆電話から、コレクトコールで。

21:00〜22:00▶︎点呼〜消灯

兵役中は、連帯ごとに用意された部屋で過ごす。以前は布団を敷きつめての雑魚寝スタイルだったが、最近は環境改善が進み、二段ベッドが主流だ。夜の点呼が終わったら、22時には消灯、そして就寝。

2:00〜3:00▶︎深夜の見回り

1日もようやく終了……かと思いきや、夜中にも任務がある。交代制で施設内外の見張り番をするのだ。ぐっすり眠れないのは辛いが、幹部の目から逃れられる施設外の見張り番は、意外に息抜きにもなる!?

このように基本的にはハードな兵役生活だが、年に3回ほど人気アイドルや歌手が訪れて慰問ライブを行ったり、夏は軍所有のプールがレクリエーション用に開放されたり、10月にはスポーツ大会が開催され優勝チームには休日が授与されたり……と、適度な息抜きも用意されている。

しばしば議論の対象になる韓国の兵役制度。よりリアルな実情を知りたい場合は、身近にいる韓国人男性に聞いてみるといいかもしれない。