#What'sアルプス山脈?
ユングフラウ、マッターホルン、モンブラン

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#What'sアルプス山脈?
ユングフラウ、マッターホルン、モンブラン
"ヨーロッパの屋根"を徹底解剖!

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2024.09.22

古代ローマ時代の言葉で「高い山」が語源という説もあるアルプス。 スイス国内の6割を占め、8カ国にまたがる"ヨーロッパの屋根"を紐解いてみよう。

illustration : TAKASHI TAIMA / text : TRANSIT

【基本情報】

エリア:スイス、オーストリア、リヒテンシュタイン、ドイツ、フランス、イタリア、スロヴェニア、モナコ
長さ:約1200㎞、幅100〜400㎞
構造:太古の時代、現代のアフリカ大陸(ゴンドワナ大陸)とユーラシア大陸(旧・パンゲア大陸)とが太古の地殻変動で衝突して隆起してできた。

【歴史】

<p>先史時代より、水路、酪農、林業などで利用されてきたアルプス山脈。ローマの支配が及ぶ前は、ケルト人が暮らしていた。紀元前、カルタゴのハンニバルがアルプスを越えてローマ帝国に攻め入った歴史は有名。<br />
中世には魔物が棲む場所と恐れられていたが、1786年にスイス人自然科学者ソシュールの指導によるモンブラン初登頂を機に、近代登山史の幕を開けた。登山がスポーツとなり、より困難な条件で競われるように。</p>
<p>©︎Seiler Hotels</p>

先史時代より、水路、酪農、林業などで利用されてきたアルプス山脈。ローマの支配が及ぶ前は、ケルト人が暮らしていた。紀元前、カルタゴのハンニバルがアルプスを越えてローマ帝国に攻め入った歴史は有名。
中世には魔物が棲む場所と恐れられていたが、1786年にスイス人自然科学者ソシュールの指導によるモンブラン初登頂を機に、近代登山史の幕を開けた。登山がスポーツとなり、より困難な条件で競われるように。

©︎Seiler Hotels

【山】

<p>アイガー、メンヒと並び三名山と称されるユングフラウ。登山鉄道で行ける欧州最高峰の駅ユングフラウヨッホが名所。</p>
<p>©︎jungfraubahnen</p>

●ユングフラウ

アイガー、メンヒと並び三名山と称されるユングフラウ。登山鉄道で行ける欧州最高峰の駅ユングフラウヨッホが名所。

©︎jungfraubahnen

<p>4478mの美しい姿が名峰たる由縁。ツェルマットから登山鉄道でゴルナーグラート展望台へ行けば、360度の絶景に会える。</p>
<p>©︎Kurt Muller</p>

●マッターホルン

4478mの美しい姿が名峰たる由縁。ツェルマットから登山鉄道でゴルナーグラート展望台へ行けば、360度の絶景に会える。

©︎Kurt Muller

<p>標高4810m、フランスとイタリアの国境に位置するアルプス山脈の最高峰。フランス語で「白い山」を意味する。</p>

●モンブラン

標高4810m、フランスとイタリアの国境に位置するアルプス山脈の最高峰。フランス語で「白い山」を意味する。

【街】

<p>スイス中央部、ユングフラウ地方の三名山の麓に位置する。アルプス観光の一大拠点で、ブリエンツ湖とトゥーン湖の間にある。</p>
<p>©︎Switzerland Tourism</p>

●インターラーケン(スイス)

スイス中央部、ユングフラウ地方の三名山の麓に位置する。アルプス観光の一大拠点で、ブリエンツ湖とトゥーン湖の間にある。

©︎Switzerland Tourism

<p>マッターホルンやモンテ・ローザなど、4000m級の山々に囲まれたリゾート地。イタリアへ、スキーで国境越えもできる。</p>
<p>©︎Pascal Gertschen</p>

●ツェルマット(スイス)

マッターホルンやモンテ・ローザなど、4000m級の山々に囲まれたリゾート地。イタリアへ、スキーで国境越えもできる。

©︎Pascal Gertschen

<p>モンブランの麓、フランス・アルプスの玄関口。3842mのエギューユ・デュ・ミディ展望台までロープウェイで約20分。</p>

●シャモニー(フランス)

モンブランの麓、フランス・アルプスの玄関口。3842mのエギューユ・デュ・ミディ展望台までロープウェイで約20分。

【産業】

<p>イギリスを中心とした上流階級にアルプスの魅力が広まり、19世紀後半にアルピニズムブームが到来。ユングフラウ地方やツェルマットなど山麓には高級ホテルが誕生し、世界の紳士淑女が訪れるリゾート地となった。すみずみまで行き渡る交通アクセスで現在も観光産業が盛ん。冬は雪上ゴルフや雪上ポロ、雪上競馬も。</p>
<p>©︎jungfraubahnen</p>

イギリスを中心とした上流階級にアルプスの魅力が広まり、19世紀後半にアルピニズムブームが到来。ユングフラウ地方やツェルマットなど山麓には高級ホテルが誕生し、世界の紳士淑女が訪れるリゾート地となった。すみずみまで行き渡る交通アクセスで現在も観光産業が盛ん。冬は雪上ゴルフや雪上ポロ、雪上競馬も。

©︎jungfraubahnen

【植物】

<p>標高約800mの野原から、約4000mの岩地まで、600種類以上の花々が咲くスイス・アルプス。希少な種類が多く、植物学者たちの関心も高い。標高や環境によって開花期は異なるが、雪解け後に咲き誇る花々を目的に訪れる人びとは多い。白のエーデルワイス、ピンクのアルペンローゼ、青のエンツィアンなどが有名。</p>

標高約800mの野原から、約4000mの岩地まで、600種類以上の花々が咲くスイス・アルプス。希少な種類が多く、植物学者たちの関心も高い。標高や環境によって開花期は異なるが、雪解け後に咲き誇る花々を目的に訪れる人びとは多い。白のエーデルワイス、ピンクのアルペンローゼ、青のエンツィアンなどが有名。

【氷河】

<p>地殻変動で誕生したアルプス山脈は、氷河期をへて、氷に覆われた氷土となった。気候が温暖化したあと、標高の高い山頂は当時の氷が氷河として残った。<br />
全長約23㎞、アルプス最長のアレッチ氷河や、クライミングやキャニオニングもできるグリンデルワルト氷河渓谷など、スイスには約1800カ所の氷河が点在している。</p>
<p>©︎jungfraubahnen</p>

地殻変動で誕生したアルプス山脈は、氷河期をへて、氷に覆われた氷土となった。気候が温暖化したあと、標高の高い山頂は当時の氷が氷河として残った。
全長約23㎞、アルプス最長のアレッチ氷河や、クライミングやキャニオニングもできるグリンデルワルト氷河渓谷など、スイスには約1800カ所の氷河が点在している。

©︎jungfraubahnen

【動物】

<p>山の牧草地で飼育・放牧されている牛や羊を見られるのは、スイスが放牧酪農を推奨しているため。また、過酷な立地・気象条件などの環境に適応して生き延びてきた野生動物も見ることができる。<br />
大きな角が印象的なアルパイン・アイベックスや、なかなか巣穴から出てこないアルパイン・マーモットが人気。</p>
<p>©︎Leandeer Wenger</p>

山の牧草地で飼育・放牧されている牛や羊を見られるのは、スイスが放牧酪農を推奨しているため。また、過酷な立地・気象条件などの環境に適応して生き延びてきた野生動物も見ることができる。
大きな角が印象的なアルパイン・アイベックスや、なかなか巣穴から出てこないアルパイン・マーモットが人気。

©︎Leandeer Wenger

【湖・川】

<p>アルプスの山々から雪や氷が解けて流れ出る清らかな水が、ライン川、ローヌ川、ドナウ川に流れ込んでいる。小さな山上湖も無数に点在し、山々を湖面に映し出す「ミラーレイク(鏡の湖)」もハイキング途中に見られる。<br />
スイスの飲料水はアルプスの源泉か地下水からの天然水が約8割を占め、水道水も安全に飲める。</p>
<p>©︎jungfraubahnenc</p>

アルプスの山々から雪や氷が解けて流れ出る清らかな水が、ライン川、ローヌ川、ドナウ川に流れ込んでいる。小さな山上湖も無数に点在し、山々を湖面に映し出す「ミラーレイク(鏡の湖)」もハイキング途中に見られる。
スイスの飲料水はアルプスの源泉か地下水からの天然水が約8割を占め、水道水も安全に飲める。

©︎jungfraubahnenc

【祭り・イベント】

<p>アルプス山脈に暮らす村人たちの意思疎通に使われたアルプホルンは、今はスイスのシンボル。7月にナンダで開催される国際アルプホルン・フェスティバルでは、200人ものアルプホルン奏者が一堂に会する。<br />
9月から10月初め頃、夏の山での放牧が終わり、牧夫たちが牛を連れて麓に下りてくる「り」という伝統行事が各地で行われる。</p>
<p>©︎SACHIE ABIKO</p>

アルプス山脈に暮らす村人たちの意思疎通に使われたアルプホルンは、今はスイスのシンボル。7月にナンダで開催される国際アルプホルン・フェスティバルでは、200人ものアルプホルン奏者が一堂に会する。
9月から10月初め頃、夏の山での放牧が終わり、牧夫たちが牛を連れて麓に下りてくる「り」という伝統行事が各地で行われる。

©︎SACHIE ABIKO

【交通】

<p>全土をくまなく結ぶ交通ネットワークがある鉄道王国スイス。中央スイスからリギ山山頂へと向かうヨーロッパ最古の登山鉄道が1871年に誕生、そこから次々とアルプス山麓の村々を結ぶ鉄道やバス、ロープウェイなどの山岳交通が生まれ、同時に観光業も発達した。「電車で山に登れる」のがアルプスの醍醐味。写真はユングフラウ鉄道。</p>
<p>©︎jungfraubahnen</p>

全土をくまなく結ぶ交通ネットワークがある鉄道王国スイス。中央スイスからリギ山山頂へと向かうヨーロッパ最古の登山鉄道が1871年に誕生、そこから次々とアルプス山麓の村々を結ぶ鉄道やバス、ロープウェイなどの山岳交通が生まれ、同時に観光業も発達した。「電車で山に登れる」のがアルプスの醍醐味。写真はユングフラウ鉄道。

©︎jungfraubahnen

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