12月21日は、ルネサンス初期のイタリア人画家、マサッチオの誕生日です。
フィレンツェ共和国のサン・ジョヴァンニ・ヴァルダルノに生まれたマサッチオは、まるで生きているかのように人物とその身体の動きを再現するタッチと自然な三次元描写から、当時最高の画家であったとされています。
彼の師とされるマソリーノの画風が中世・ゴシック風を色濃く留めるのに対し、マサッチオの画風は現実的な人物表現や空間把握、人物の自然な感情の表現などが卓越しています。
26歳という若さでこの世を去った短命な画家ですが、初期ルネサンスの画風を革新し、あのレオナルド・ダ・ヴィンチも、マサッチオの壁画を模写して腕を磨いたといわれるほど、多くの芸術家たちに多大な影響をあたえたのです。
『楽園追放』
イタリアのブランカッチ礼拝堂には、当時「腕のいい高名な2人組」といわれていたマサッチオとマソリーノで共作した『楽園追放』が展示されています。禁断の木の実を食べたことにより楽園を追放されることになってしまったアダムとイブの悲観に暮れる様子を描いたフレスコ画です。
実はこの作品、絵画完成前に2人ともこの仕事を放棄してしまったため未完成なのです。
『貢の銭』
ほかにもこの礼拝堂には、 一点透視図法を最初に使用したといわれる作品『貢の銭』などがあります。いまにも動き出しそうなマサッチオの画風は、どの作品も巧妙な技法が散りばめられていて、観る人を圧倒します。イタリアに訪れる際には、ぜひ生のマサッチオの絵を感じてみてください。
Yayoi Arimoto
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Yuki Kumagai
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