1585年の今日は、「天正遣欧少年使節団」が、当時のローマ教皇グレゴリウス13世に謁見を果たした日です。
ローマの画家が描いた、グレゴリウス13世との謁見の場面
「天正遣欧少年使節団」とは、九州のキリシタン大名がローマへ派遣した使節団のこと。メンバーはいずれも13〜14歳の少年で、とくに成績優秀だった4名(伊東マンショ、千々石ミゲル、中浦ジュリアン、原マルティノ)でした。
派遣の目的は、
・ローマ教皇に日本での宣教の援助を依頼すること
・ヨーロッパのキリスト教世界の偉大さを体験させ、布教に役立てること
の二つでしたが、結果としてほかにも思わぬ成果を日本にもたらすことになりました。
1586年にドイツのアウグスブルグで印刷された、使節団の肖像画
例えば印刷技術の発展。彼らが持ち帰ったグーテンベルクの活版印刷機によって、それまで手書きで模写するしかなかった書物の製作に革新をもたらします。また、彼らは日本史上初めて公式的にヨーロッパを訪問した団体だったため、ヨーロッパの人びとに日本という国の存在を認知させることにもなりました。
© Joostv
使節団はマカオやインド、南太平洋の島、ポルトガルやスペインを経由して、ついに本来の目的である「ローマ教皇との謁見」を果たします。その舞台となったのが、今なおカトリックの総本山として君臨するバチカン宮殿でした。
バチカン宮殿は、今日ではカトリック教徒に限らずイタリアを旅するなら外せないスポットとなっています。その大きな理由の一つは、歴史的な芸術作品の数々を鑑賞できること。
システィナ礼拝堂の天井画
© Nan Palmero
ミケランジェロがシスティナ礼拝堂の天井に描いた「最後の審判」や、古代ギリシャの彫刻「ラオコーン像」、ラファエロの最高傑作とされる「アテネの学堂」もここに展示されています。歴史の教科書にも載っているような名作の数々を、直接目の当たりにすることができるのです。
ラファエロ「アテネの学堂」
バチカンを実際に訪れてみれば、遥々日本からキリスト教の聖地にやってきた少年たちの興奮を追体験できるかもしれません。
Yayoi Arimoto
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Yuki Kumagai
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