#今週のTRANSIT編集部日誌
マヤのピラミッド巡りと
死者の日のお墓参り
津賀真希(TRANSIT.jp編集長)

連載:From the Editors’ Desk

#今週のTRANSIT編集部日誌
マヤのピラミッド巡りと
死者の日のお墓参り
津賀真希(TRANSIT.jp編集長)

TRAVEL

2025.11.14

7 min read

今、どんな記事をつくってる? 週末はどこへ行ってた? 最近気になっていることは? などなど、TRANSIT編集部のオンオフの日々を週単位でお届けします!

Photo & Text:Maki Tsuga(TRANSIT)

地球の裏側の友人に会いに!

どこか遠くに行きたくなること、ありますよね〜。
私は遅い夏休みで、グアテマラとメキシコへ行ってきました。できるだけ遠くの友人に会いたくなって、TRANSITのメキシコ特集で知り合ったオアハカ在住の筒井みさよさんへメール。

版画家の筒井みさよ(@misayotl)さん。グアテマラの湖が見えるフローレスの宿で。

  • こんどの死者の日、遊びに行っていいですか?

  • みさよ

    おいでおいで〜! 10月31日から11月3日くらいまで来るといいよ。

  • わーい! 東京-LA往復の航空券が10万円、ふむ。LA-オアハカ往復で10万円か……高い

  • みさよ

    死者の日付近は、メキシコ人も外国人旅行客も移動が増えるから、国際線も国内線も高いんだよね

  • 別ルートないかな(地図を見る)。オアハカとグアテマラ、近い??

  • みさよ

    近くないけどね、苦笑。でも、陸路でオアハカからグアテマラに行ったことあるよ。グアテマラで合流して一緒に行く? リスクを減らしたいから、日のあるうちに2人で移動しよう

  • いいんですか!? 陸路だとどんなルートがあるんだろ(ChatGPTに聞く)。「🚌 グアテマラのフローレス→国境超え→メキシコのパレンケ→サンクリストバル・デ・ラスカサス→オアハカ」これよさそう!

グアテマラ、メキシコの国境。グアテマラ側の事務所でパスポートにスタンプを押して、メキシコ側の事務所で入国税を払って入国カードを記入。荷物チェックをして車を乗り換える。

と、なんだかパワーをもらいつつ身も心も清められそうな「マヤのピラミッド巡りと死者の日のお墓参り」の旅がはじまった。
 
地図で近く見えたものの、やっぱりそんなことはなく、国境越えもメキシコ国内の移動も、乗合タクシーやADOのバスを使ってそれぞれ6〜12時間ほど。でも、ずっと窓の外を見て、ぐっすり眠って、それにたっぷり2人で話してたら、あっという間だった。遠くに行って話せることってある気がする。
 
マヤ文明のティカル遺跡は、とにかく壮大! 50m超えのピラミッドがジャングルからすっくと顔を出していて、発掘しきれていない草木に覆われたピラミッドがいくつもある。森の奥からホエザルが恐竜のような唸り声をあげているのが聞こえる。タイムスリップしたみたい。パレンケ遺跡は、風通しと日当たりがよい遺跡で、きれいな滝まである。ちょっと住みたくなるような場所だった。

1/グアテマラ北部にある世界遺産のティカル遺跡。縦長シルエットで頂上に壁がついたピラミッド。天文観測と風のサーキュレーションの目的も。

2/ジャングルから頭を出しているピラミッド。

3/山に見えるけど、これもピラミッド。まだまだ発掘途中。

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1/メキシコのチアパス州にある世界遺産のパレンケ遺跡。

2/壁に謎のTマークが。神様のかたちだそう。風通しをよくするための穴でもある。

3/パレンケ遺跡の棺から発掘されたパカル王。メキシコシティの国立人類学博物館に展示されている。

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10月31日にオアハカ入りして、いよいよ死者の日を迎える。セントロのパレードも、みさよさんに連れて行ってもらった友人の村のお墓参りも、どれも色彩、音、食、すべてが賑やか。

オアハカのセントロ。

マリーゴールドとケイトウの花でお墓を飾って、ろうそくを灯して。お墓や祭壇の前で、メスカルとコーラで乾杯。タマーレスと死者の日のパンを食べて、踊ったり、音楽を流したり。ふと涙を流して、次の瞬間には目を濡らしながらきらきらと笑っていたり。そんな姿を見て、私もこの夏に亡くなった人のことを思い出したりした。こっちの世界だけが絶対ではないと思えてしまうような時間。

1/祭壇には故人の写真と彼らが好きだった食べ物が並ぶ。10月31日が前夜祭、11月1、2、3日でお墓参りすることが多いけれど、村によって飾りつけやお墓参りする日 が少しずつ異なる。

2/みさよさんの友人で写真家のルビアさんと一緒にお墓参りへ。

3/花づくりをしている村は飾り付けもユニーク。声をかけながらお墓の写真を撮らせていただく。メスカルをご馳走になることも。

4/民藝店兼ギャラリーの祭壇には、オアハカを愛したアーティスト、故フランシスコ・トレドさんの写真も。

5/みさよさんの版画工房にも祭壇が。家族や友人たちの写真を並べる。

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メキシコもグアテマラも、ほんとうに美しくて、その反面、ほんとうにハードな国。グアテマラでは内戦で先住民の虐殺が起きていたこと、メキシコでは家族を誘拐殺人で亡くした人、強盗に遭った人、ぎょっとするような話を、目の前にいる人たちからたくさん訊いた。現地で住んでいる人でそうなのだから、旅をしている人ならなおさら気をつけないといけない。旅をするなら、暗い夜道を一人で歩かないように。無理はせず。海外旅行保険も忘れずに。

飛行機の乗り換えで立ち寄ったメキシコシティで。メキシコ特集でお世話になった長屋美保さん(@en_asian_food)にも会えた!長屋さんのガイドブック『新しいメキシコ・ガイド』もかわいいが溢れてるのでぜひ!

そんなこんなで、LA空港で帰りの飛行機待ち。ほんとはここに書ききれないくらいの出会いとアクシデントもあった旅だったけど、省略。帰ったら働くぞー。スペイン語の勉強したいな。家に祭壇つくりたい。あと自炊しよ……(メキシコもグアテマラも日本の1.5倍くらいの物価に感じた)。みんなの夏休み、秋休みの話も聞きたいな。それではまた、「¡Hasta luego! (アスタルエゴ)」!

MEXICO

TRANSIT 60号

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Yayoi Arimoto

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